IAIR 認定プラクティショナー ベーシックⅡ ∼下肢∼ ■ 股関節の骨格調整テクニック 意義: 股関節のクリアランスを確保しコントロール性を高める。 方法: <股関節テクニック①> ① 背臥位で股、膝関節を屈曲。 ② 骨頭を尾側方向と外側に交互に牽引をかける。 ③ エンドフィールまで牽引をかけ、尾側方向へアジャストする。 <股関節テクニック②> ① 股関節屈曲、外旋させる。 ② エンドフィールまで詰めたら、膝関節方向(大腿骨長軸)に牽引をかけ、 アジャストする。 * 骨頭を意識。出来ないと身体がずれる。密着させる。 理論的背景: 臼蓋から骨頭を引き出す事で、股関節内の陰圧状態を 一時的に緩め、スペースを作ることで関節内運動を促通する。 これにより、骨頭周囲の筋が緩み仙腸関節の可動性にも 影響を及ぼす。 ■ 外側ハムストリング間のリリーステクニック 意義: 膝関節の伸筋と屈筋、筋膜の癒着を剥がし、 膝のコントロール性を高める。 方法: ① 腸脛靱帯と外側ハムストリングス間に指を入れリリースする。 * 外側やや後方にリリースポイント。 * 痛みがある部分が癒着のポイント。 * 痛みが強い時は、その周囲から行う。 * 自動運動(ムーブメント)を利用すると効果的。 理論的背景: 屈筋と伸筋間の癒着が起こることで、分離した筋の活動を妨げる。また、これによる異常筋 緊張を引き起こす。 ■ 内側ハムストリングスと下腿三頭筋間のリリーステクニック 意義: 内側ハムストリングスと下腿三頭筋の筋膜癒着を剥がす テクニック。膝のコントロール性、下腿部の血流改善、 下腿部の内圧減圧に効果。 方法: ① 膝窩部の内側ハム、下腿三頭筋間に指を入れる。 ② この状態から、膝関節を屈伸させる。 (自動運動を利用すると効果的) *片麻痺の場合、内・外側ハムスト間もやると膝のコントロール性が上がる。 理論的背景: この間の癒着は、大腿部では内転筋群の機能障害を生み、 恥骨への付着もあるとこから、仙腸関節、恥骨結合の 可動性に関わる。また、下腿部では腓腹筋内側の機能不全に より、外側のみ活動性が高まり外側荷重を促したり、 下腿の外側ずれを助長するなど多方面に障害を生む。 ■ 膝関節の調整テクニック①② 意義: 大腿骨と脛骨間のクリアランスを確保し、膝関節のスライディングを円滑にする。 方法: <①> ①膝窩部に前腕近位部を入れ、膝関節を屈曲する。 ②アジャストする。 <②> ①下腿を前方へ牽引。(大腿骨長軸方向に引き出す) ②その状態で下腿をローテーションさせる。(可動域のある方から) *膝関節の調整順位は、骨格→筋膜の順にすると効果的。 理論的背景: screw-home movement は最終膝伸展域での強制外旋が起こるが、実際には、内旋で終わ っている場合も少なくはない。また、下腿の回旋は終末だけではなく膝関節屈伸運動中何度 も繰り返されている事が分かっている。その回旋運動における運動学的理論背景は諸説ある が、筋膜、靱帯の流れをリセットする意味で関節間のクリアランスを整えることで改善され る。 ■ 腓骨アライメント調整テクニック 意義: 外側下方に変位しがちな腓骨のリアライメントテクニック。 脛骨にしっかり重心が乗る。 方法: ① 腓骨を上方に圧迫。 ② アジャストする。(股関節外転自動運動を利用) * 腓骨を上方に圧迫した状態で、深呼吸をすると形状記憶される。 理論的背景: 腓骨が下方(尾側方向)にずれている場合、多くは外側足底アーチの低下による場合が多い。 これにより荷重バランスが外側にずれることで腓骨荷重になっている。 ■ 下腿骨間のリリーステクニック 意義: 脛骨と腓骨間の筋膜をリリースし、下腿部の過緊張を緩和するテクニック。 方法: ① 下腿の皮膚、筋膜を内旋又は外旋につめる。 ② その状態から足関節の底屈、背屈を繰り返す。 理論的背景: 骨間には膜組織が存在し、そこに血管、神経が通る。 この膜の可動性を促すことで、関節運動だけでなく、 血流、神経、リンパなどの流れに対するアプローチも可能で ある。また、骨間膜滑走性低下や筋間の滑走性の低下による 筋緊張に影響を及ぼしている。 ■ 足関節の調整テクニック 意義: 足関節のクリアランスを確保するテクニック。 方法: ① 距骨と脛骨間に牽引をかける。 ② この状態から牽引方向にアジャストする。 *踵を支点にし、距腿関節を開く。 理論的背景: 関節の老化は詰まって広がるという法則がある。その為足関節でも同様に脛骨と距骨間のク リアランスを確保するために関節間に牽引をかけクリアランスを確保する。また、踵骨を支 点にするこのテクニックでは脛骨軸に対して距骨、踵骨を合わせるため荷重線を脛骨軸に持 ってくることが出来る。 ■ 立方骨の調整テクニック 意義: 立方骨の脱落によって生じる足部アーチの崩れを改善 するテクニック。 方法: ① 立方骨を頭側方向へ押し上げる。 ② 足部アーチを作り、足関節底屈位にし、アジャスト する。 理論的背景: 立方骨の構造上、各楔状骨は立方骨の上に乗っている状態である。そのため、立方骨が下制 すると楔状骨がそれに伴い下制する事でアーチの低下が起きる。外側アーチの低下は横並び に内側立てアーチに影響し足底全体のウィンドランス機構、トラス機構に障害が起きる。こ れによる立位バランス低下を起こす。筋で言えば腓骨筋と後脛骨筋が交差するクロスサポー トの部分でもあるため足関節の動的安定性に関与する。 ■ 足根中足関節の調整テクニック 意義: リスフラン関節中足骨間のクリアランスを引き出 すテクニック。 方法: ① リスフラン関節全体をねじる。 理論的背景: 足部モビライゼーションによって関節間のモビリティを出すが、さらに足部全体の筋のトー ン、靱帯の張力、筋膜の動きを一度にリリースするためには中足骨間のリリースが効果的で ある。骨間には膜が存在し、そこを血管が貫く。この骨間の癒着によって血管の圧迫を受け 循環機能の低下が生まれ、筋緊張の亢進、関節間のモビリティ低下などが引き起こされる。 ■ 足底筋膜のリリーステクニック 意義:足底筋膜をリリースし、感覚入力しやすい足底を作る。 方法:足指を背屈させ足底筋膜をこする。 理論的背景: 足底筋膜は言わずとしれた足底全体のウィンドランス機構、トラス機構など身体全体のバラ ンス機能に重要な機能を担っている。しかし、片麻痺や骨折によるギプス固定などにより足 底は肥大し感覚入力が低下する。これに対して足底筋膜をリリースすることで感覚入力のし やすい足底を作ることが出来る。
© Copyright 2024 ExpyDoc