三田評論「宝塚百周年」三人閑談「アイ・ラブ・宝塚 アイ・ラブ・宝塚」 アイ・ラブ・宝塚 毎号、三田評論は読んでいますが、三田評論で「宝塚」の記事(三田評論 2014 年 1 月号「アイ・ラブ・宝塚」)にお目にかかれるとは、思いもかけませんでした。でも読 み進むと、とても惹きつけられ、私の知識が乏しいせいで、ところどころ理解できない 箇所もありましたが、忘れ難く、皆さんにもご紹介したいと思いつきました。私の宝塚 観劇経験は 2 度ほどありますが、最近はチケットを申し込んでも買えないことが多く、 少し諦め気味です。 三人閑談のメンバーは、宝塚に詳しい二人の女性と、塾の大学の先生(男性)一人で した。そして司会役である塾の先生が、宝塚観劇や「宝塚ファンクラブ(愛宝会という 塾員の団体)」への加入のきっかけを、女性の側から聞かれるという形でスタートしま した。お二人の女性のうち、お一人はお母様以来の伝統的な宝塚ファンの家系、もう一 人の方は小学生以来、宝塚大劇場(宝塚市)にも行かれ、そして中学生の時には大ファ ンになっていたという方でした。 閑談では、『ベルサイユのばら』(1974 年「月組」初演)や『エリザベート』、『風と 共に去りぬ』など、いくつかの作品と当時のタカラジェンヌ(出演者)の思い出につい て語られるとともに、『ベルばら』以前の宝塚の作品、ポスト『ベルばら』以降の作品 とその魅力等について、いろいろな意見を交わされていました。宝塚百年の歴史は、途 中戦争もあり、苦難の時代もあったようですが、特に『ベルばら』が出る直前あたりは お客が入らず、また何十年か前は下手物扱いなところがあり、歌舞伎や新劇からはすご く低く見られているような気がする(日本文化の中にある、一種のマイノリティ文化に 対する差別意識のようなもの)と話をされていました。それが、 『ベルばら』以降は、国 民劇として大衆に圧倒的に受け、連日満員で、とてつもない人が行くように変化してき たと話されていました。塾員の新しい若手演出家(小池修一郎氏)の登場等も大きく貢 献しているとのことです。また、「レビューショ-」の魅力についても触れられていま した。私自身、「レビューショ-」がどんなものであるか分からなかったため、調べた ところ、「元々は、社会を風刺・批評(レビュー)したものをダンスと歌で表現したも の。ミュージカルのような芝居は入らないので、歌とダンスによるショーと考えてよい」 と書かれていました。いま観ている宝塚の形式になったのは、百年前からではなく、昭 和二年のレビューが始まってからだそうです。出席者のお一人が「一時間半お芝居があ って、三十分休憩があって、一時間レビューショーがある、このパターンがやはり魅力 だと思っている。最近、一本ものも増えてきている。でもやはりレビューもあるものが いい」と語られていました。 作品の魅力から、宝塚の魅力の根源までに話が遡る中で、宝塚の「学校」という仕組 みについても話題が及び、「宝塚の魅力を知る上で、一番大事なものの一つは、一貫し て「学校」という制度を使っているところです。だから、宝塚音楽学校を卒業しなかっ 1/2 た人は、絶対宝塚歌劇団に入れず(入団できず)、舞台に立てない。それから、音楽学校 の序列というか、クラスがそのまま続くんです。入団後は研究科生と言います。辞めて いくのは自由ですが、「退団」と言わずに「卒業」と言いますよね」と語られていました。 学校制度を採用したのは、宝塚だけで、規律を大切にした伝統でもあります。 その他にも、いろいろと興味深いお話が語られていましたが、詳細は割愛させて頂き、 最後に、宝塚(宝塚歌劇団)の基本的なことを、補足的に若干ご紹介します。 【補足部分】 宝塚歌劇団は、1914 年に初公演を行って以来、今日も人気を集める未婚の女性だけで構成さ れた歌劇団である。年間公演数約 1300 回、観客動員数約 250 万人、歌劇団員総数約 400 人。現 在は、花(はな)、月(つき)、雪(ゆき)、星(ほし)、宙(そら)の 5 組と、いずれの組にも所 属しない専科に分かれている。 「宝塚」 「ヅカ」などと略して呼ばれることも多い。団員は、歌劇 団付属の宝塚音楽学校で予科 1 年、 本科 1 年のあわせて 2 年間の教育を受けることになっている。 また、宝塚歌劇団の入団の条件も、同音楽学校の卒業生に限られている。歌劇団入団後も、団員 は「生徒」と呼ばれる。入団 1 年目は、研究科 1 年生(研 1 生)。入団手続き後、その後の稽古 を経て、春の大劇場公演に研 1 生全員が出演し、 「初舞台生」全員でラインダンスの披露が慣例。 初舞台公演を経て、研 1 生は組の所属が決定する。 楽しいことを描ききれずに、長々と補足まで書きましたが、若さと情熱・バイタリテ ィ・団結力で、百年余の伝統を背景に、今後も、独自の「スターシステム」 (組ごとに、 所属の生徒の中から「主演男役」あるいは「トップスター」、その相手役を務める娘役 「主演娘役」あるいは「トップ娘役」を選任。それ以外は、2 番手、3 番手などという 呼び方をするが、明確に固定された地位ではないため、変動することがある)の下で、 歌劇団の活動を支え、益々発展していくことが期待されます。 (石川 2/2 武)
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