2015年4月 ◆不動産分野の集客はすでにウェブが主戦場 ◆新築分野ではウェブ集客に消極的な企業が多い一方で、成功例も生まれている ◆ウェブでの情報収集客は今後さらに増える可能性が高いため、早めの対策が必要 「住宅会社のウェブ営業戦略」 不動産分野の集客はすでにウェブが主戦場 住宅業界の中でも、分譲・売買・賃貸などの不動産マーケットは、すでにウェブが集客の主戦場となりました。 ウェブ集客で広く活用されているのは、ポータルサイトと呼ばれる、SUUMO・HOME’S・Yahoo!不動産などの住宅 情報サイトです。より多くの見込み客獲得のため、1つではなく複数のサイトに物件情報を出稿する企業が、大手・ 中小を問わず多いようです。また、大手を中心に、自社のウェブサイトにおいても物件情報や住まい探し関連の 情報を多数掲載し、見込み客の囲い込みを図るケースが多く見られます。検索エンジン連動型広告をはじめとす るウェブ広告への出稿も盛んです。 新築分野ではウェブ集客に消極的な企業が多い一方で、成功例も生まれている 一方、建築マーケット、とりわけ注文住宅においては、営業におけるウェブ活用は不動産業界ほど進んでいません。 自社ウェブサイトを持たない企業はさすがに少ないですが、サイト経由の資料請求が思うように獲得できず、苦戦 しているという声を多く聞きます。また、資料請求はあるものの商談・成約への歩留まりが上がらないという悩みも 多いようです。大手住宅メーカーにおいても、資料請求数に対する成約率は伸び悩んでいます。 このため、ウェブに対して「受注にならない」「薄いお客様ばかり」とネガティブなイメージを持つ会社が少なくありません。 ポータルサイトやウェブ広告などへの投資も、大手住宅メーカーなど一部を除いては、あまり積極的ではないようです。 しかし一方で、ウェブによる営業・集客活動で、高い成果を挙げる企業も増えています。特に、年間20~50棟規 模の工務店・ビルダーで、成功事例が多く見られます。 東海地方で年間25棟程度を手掛ける工務店では、自社ウェブサイト経由で、年間50組以上のモデルハウス来 場客を獲得しています。資料請求が年100件弱ということなので、来場歩留まりは50%以上ということになります。 高い歩留まりを実現した要因として、ウェブサイト内におけるモデルハウスの詳細な紹介が挙げられます。写真を 多用して内観・外観を紹介するほか、建物内の間取り図や見どころも紹介しています。多くの情報を見せることで、 モデルハウスへの来場意欲を促進している事例です。 九州地方で年間30棟程度を手掛ける工務店でも、成約客のおよそ70%がウェブサイト経由のお客様と言います。 自社ウェブサイトに訪問する見込み客を「家づくりの情報を集め始めたばかりの一次取得客」と仮定し、家づくりの 進め方や会社選びのアドバイスなど、検討初期段階のお客様に向けたアドバイスを多く掲載しています。 自社の宣伝ではなく、家づくりの一般的な情報を伝えることで、見込み客の囲い込みに成功している事例です。 今回はごく一部の事例のみ紹介しましたが、この他にも、ウェブを集客の柱とする企業は多数存在します。これらの 企業では、従来の新聞折込・ポスティングなどの広告を縮小・廃止し、広告宣伝費の圧縮に成功しているケースも多 いです。一般的にウェブ媒体は紙媒体に比べて低コストであるため、ウェブ集客の成功は、集客のコストダウンにつ ながるのです。 ウェブでの情報収集客は今後さらに増える可能性が高いため、早めの対策が必要 国土交通省の住宅市場動向調査によると、注文住宅の 施工会社をウェブで見つけた人の割合は約16%で、不動産 分野と比べると、まだ高くありません。 しかし、この5年間で「ウェブで見つけた人」は3倍に増加 しており、雑誌・新聞折込を上回りました。 注文住宅分野におけるウェブ集客の重要性は、ここ数年で 飛躍的に高まっているのです。そして今後の一次取得層は、 賃貸の部屋探しなどを通じて『ウェブでの住宅情報探しに 慣れた世代』が多数派となります。 自社におけるウェブ営業の勝ちパターンは、一朝一夕には 確立できないもの。「薄いお客様ばかりだから…」などの理由 で対応が後手に回ると、後々大きな代償を支払うことになる かもしれません。 【 契約会社・契約物件をウェブで見つけた人の割合】 注文住宅は大幅に増加!! (国土交通省「住宅市場動向調査」より)
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