Referee reportの役割、書き方、読み方

2015/10/13
Referee reportの役割、
書き方、読み方
一橋大学
古沢泰治
役割
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2015/10/13
レフリーは学界への「奉仕活動」
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“Referee’s job is to reject the paper”という人もいる
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論文掲載可否の決定に関してエディターを手助けする役目
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論文掲載可否を決めるのはあくまで担当エディターの役割
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レポートには論文掲載の可否については記載しない


論文掲載可否についての意見はエディターへのレターに記入
論文の質向上につながるコメントをすることにより著者・学問に貢献

これをやり過ぎる人が多い
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論文はあくまで著者のものであり、レフリーとの共同論文ではない

論文掲載の可否はあくまで現在のバージョンから判断

不必要に論文掲載までの時間を長くしてしまう
書き方
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まずは形式的なこと
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担当エディターへのレターとreferee report
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前者は記名、後者は無記名
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Pdf fileでreportを書くときは、propertyで自分の名前等が記入されていないことを
確認!
エディターへのレター
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ここには論文掲載可否についての自分の意見を述べる
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ウェブ上での選択になっていないときは、少々曖昧な言い方でもよい


例: I am not sure if it’s good enough. But I don’t mind reading a revised version.
掲載の可否を決めるのはあくまで担当エディター
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可否について一所懸命考える必要はない
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論文のサマリーは書いても書かなくてもよい
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論文掲載可否判断を助けるようなレターを書く
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新規性や結果の重要性
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Referee report
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1ページから3ページくらいのものが大半(平均1.2ページ)
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論文のサマリーとコメントの2部構成
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サマリー
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エディターが論文の内容を把握するのを手助け
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エディターは全ての論文を読むわけではない
コメント
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Major comments
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Is research question addressed properly?
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Is research novel?
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Is the analytical framework appropriate?
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Are there any flaws?
Minor comments(R&Rのときに重要性が増す)
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Expressions

Typos
注意すべきこと
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期限を守りなるべく早くやる
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エディターや著者のためになる
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自分のためにもなる
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長期間放っておくとBlack listに載る危険性あり
時間をかけすぎない
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特に「論文の体をなしていない」、「明らかに貢献がない(少ない)」などの場合
は、早めに簡潔なレポートを書く
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いいレポートを書くことにより自分を売り込む
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英語のミスがないよう読み返す(特にグラマー)


ただそう考えすぎることなく、リラックスして取り組む
ただそう考えすぎることなく、リラックスして取り組む
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読み方(著者の立場から)
Rejection letterを受け取った場合
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カーッとならない
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なるべく冷静に
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謙虚に受け止める
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参考になるコメントは積極的に取り入れ次のステップへ
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同じレフリーに行く可能性はかなり高い
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短期間でreviseして次のジャーナルに投稿
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Don’t be discouraged!
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Revise & Resubmit letterのとき
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絶対ものにする!
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Tough revisionだと言われても挑戦
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別のジャーナルに移行すると一からの出直しになる
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落ち着こう(喜ぶのは構わない)

コメントを謙虚に受け止める

「わかっていないんじゃないか?」と思うようなコメントは、自分の書き方が悪
かったのだと思うように
改訂にあたって

エディター、レフリーからのコメントは全て答える

それぞれのコメントにつき、ゼロ回答はしない

コメントに沿って改訂しないときには、レターを通じて正当化

その場合も、論文改訂に反映させることが重要

コメントに対する回答は全て論文に反映させる

エディターとレフリーへのレターに、各改訂点について詳しく記述


エディターとレフリーに、「改訂版は読まなくてもいいな」と思わせるようにする
エディターとレフリーが内容を忘れる前に改訂版を提出

まっさらな気持ちで読み返されると気が変わるかも
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関連文献
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Hamermesh, Daniel S. (1994), “Facts and Myths about Refereeing”, Journal of
Economic Perspectives, 8, 153-163
おわりに
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Referee reportを読む機会が増えると、いいreportを書けるようになってくる

全てはlearning by doing!
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