27年度生物応用化学専門科目(三次)(PDFファイル)

平成27年度専攻科入学者選抜検査
( 学力三次)試験問題
生物応用化学専攻
専 門 科 目
(試験時間
120分)
(注)
1 問題用紙は、表紙を含めて1~7ページです。
2 無機化学、有機化学、物理化学、分析化学の4科目は必須で
す。さらに、化学工学、生物化学の2科目のうち1科目を選
択して解答してください。
3 電卓は、所定のものを使用可能です。
4 解答は、全て解答用紙に記入してください。
5 試験終了後、試験問題は持ち帰ってください。
1
科目名:無機化学 (1/全 1 枚)
1.以下の問いに答えよ。
(1)同位体について説明せよ。
(2)同素体について説明せよ。
(3)酸化と還元について説明せよ。
(4)アルカリ金属は、どうして強いアルカリ性を示すか説明せよ。
2.アルミニウムが硬貨や窓枠の材料に多く用いられている理由を述べよ。
3.錯体は発色するものが一般的であるが、無色の錯体も存在する。中心金属イオンのd軌道がどのような場
合に無色の錯体になるか説明せよ。
4.
「ランタノイド収縮」とは、どんな現象か述べよ。また、その原因を説明せよ。
2
科目名:有機化学 (1/全 1 枚)
1.アルカンを R-H とすると、アルキル基は R-である。モノ置換アルカンを R-X として、化合物の種類ごと
に一般式(R-X)と官能基(-X)を書け。
化合物の種類
一般式
官能基
アルコール
チオール
アルデヒド
カルボン酸
ハロゲン化アシル
アミン
ニトリル
ニトロ化合物
ニトロソ化合物
ヒドロキシルアミン
2.有機化合物の酸と塩基について次の問に答えよ。
(1)ブレンステッド-ローリーの酸と塩基の定義について簡単に書け。
(2)ルイスの酸と塩基の定義について簡単に書け。
(3)次の反応の左辺の化学種は、酸と塩基のどちらになるか( )内にそれぞれ書け。
(イ)
(
) (
(ロ)
)
(
) (
)
3.次の化合物を IUPAC の規則に従い命名せよ。
IUPAC 命名
構造式
4.次の反応の反応機構を書け。
CH3OCH3
+
2 HI
→
2 CH3I
3
+
H2O
科目名:物理化学 (1/全 1 枚)
1.
純液体の蒸気圧の温度変化 dP/dT は次に示す Clapeyron-Clausius の式で表わせる。
以下の問いに答えよ。
∆𝐻𝑣𝑎𝑝
d𝑃
=
d𝑇 𝑇(𝑉𝑔 − 𝑉𝑙 )
ただし、Hvap は液体のモル蒸発熱、Vg、Vl はそれぞれ蒸気および液体のモル体積である。
(1)液体の体積は蒸気の体積に比べて無視でき、蒸気には理想気体の法則が成立するとして、上式の右
辺を圧力 P と温度 T の関数で表わせ。ただし、気体定数は R とせよ。
(2)
(1/P)dP/dT = d ln P/dT の関係を利用して、
P = P1 のとき T = T1、P = P2 のとき T = T2 の条件で(1)
で導出した式を定積分せよ。ただし、Hvap は T1 から T2 の温度範囲において一定とする。
(3)水の蒸気圧は 50℃で 12.3 kPa、60℃で 19.9 kPa である。気体定数 R = 8.31 J/(mol・K)として、
(2)
で導出した式を用いて水のモル蒸発熱を求めよ。
2.酵素の作用機構として Michaelis と Menten によって提案され、その簡単なものは次のような反応機構で
表される。
k1
k2
E+S→
← ES → E + P
k-1
ここで、酵素は E、基質は S、酵素に基質が結合した複合体は ES、生成物は P で表している。また、各反応
の速度定数は k1、k-1、k2 で与えられるとする。次の問に答えよ。
(1)生成物 P に対する微分速度式を示せ。
(2)複合体 ES に対する微分速度式を示せ。
(3)定常状態近似を用いて[ES]と[E]、[S]の関係を求めよ。
3.溶液の性質について、以下の問いに答えよ。
(1)溶液の束一的性質とは何か、例を挙げて説明せよ。
(2)Raoult の法則とは何か、式を示して説明せよ。ただし、純溶媒の蒸気圧を pA*、溶液の蒸気圧を
pA、溶媒のモル分率を xA とする。
4
科目名 分析化学 (1/全 1 枚)
1. 次の各問に答えよ。ただし、原子量を H=1, Cl=35.5 とする。
(1)12 mol/L の塩酸の密度は 1.2 g/cm3 である。この塩酸は質量で何%か。
(2) 1 価の酸 0.24 g を中和するのに,0.20 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液 16 mL を必要とした。こ
の酸の分子量はいくらか。
(3) 0.1 mol/L 酢酸水溶液 100 mL と 0.1 mol/L 酢酸ナトリウム 100 mL を混合した溶液の pH を求め
よ。ただし、酢酸の解離定数は 1.75×10-5 とする。
2. ある波長の光を厚さ 1 cm の液層に当てたところ透過光の強さが入射光の強さの 1/2 に減じた。もし液層
の厚さを 4 cm に増やしたら透過光は入射光の何分の1に減ずるか。(Lambert-Beer の法則が成り立つ
ものとする。
)
3. 25℃における酢酸の無限希釈当量導電率 Λ0 を次のデータから求めよ。
HCl の Λ0 (25℃) = 426.1 S・cm2
CH3COONa の Λ0 (25℃) = 91.0 S・cm2
NaCl の Λ0 (25℃) = 126.5 S・cm2
5
科目名:化学工学 (1/全 1 枚)
1.次の単位換算を行え。下の単位換算表を利用してもよい。
(1)357 ns =
(2)25.0
kgf/cm2
s
=
Pa
(3)1.24×103 kcal/(m2・h・℃) =
(4)49.5 lb/ft3 =
m
W/(m2・K)
kg/m3
ft
kg
(フィート)
lb
(ポンド)
1
3.281
1
2.205
0.3048
1
0.4536
1
2.20.0 wt% KNO3 水溶液を 300 kg/h で蒸発器に供給し、水を一部蒸発させて濃縮液を作る。次にこの濃縮
液を結晶析出器に供給して 20℃まで冷却させ、飽和溶液と無水結晶を得る。このプロセスにより無水結晶が
18.0 kg/h で得られた。20℃の飽和溶液の KNO3 濃度を 25.0 wt%とするとき、濃縮液の KNO3 濃度は何 wt%
か。
3.二重管型熱交換器の環状部に 20℃の冷却水(比熱 4.2 kJ/(kg・K)、流量 1.2 kg/s)を流し、内管を流れる
75℃のベンゼン(比熱 1.8 kJ/(kg・K)、流量 0.80 kg/s)を 40℃まで冷却する。冷却水の出口温度は何℃か。
4.内径 52.9 mm、長さ 8.5 m の直管内にエタノールを 1.20 kg/s で流している。摩擦損失は何 J/kg か。た
だし、エタノールの密度は 789 kg/m3、粘度は 1.24×10-3 kg/(m・s)であり、摩擦係数は層流のとき f = 16/Re、
乱流の時 f = 0.0791Re-0.25 で求められるとする。
6
科目名:生物化学 (1/全 1 枚)
1.以下に図示した化合物について問う。
H2N
N
N
N
O
O
NH
N
OH
NH
OH
O
OH
1
(1) 化合物 1 の分子式を記せ。
(2) この化合物の名前を記せ。
(3) この化合物が活性化されたのち関与して生体内で行われている重要な反応の一つに、以下の化合
物 2 が関係するものがある。化合物 2 の名前を記せ。
O
O
HO P O
O
N
OH
N
OH
OH
2
(4) 化合物 1 と 2 が細胞内代謝系でどのような関係にあるかについて述べよ。
2.以下の酵素が触媒する主たる反応を化学反応式で示せ。
(1)ピルベートカルボキシラーゼ
(2)シトレートシンターゼ
3.ヒトがアミノ酸を代謝するときに生成するアンモニアは生体にとって毒性が高いものである。
(1) このアンモニアを解毒する代謝系の名前を記せ。
(2) その反応の概略を述べよ。
7