Ex. 6-1 一直線上を運動する 2 つの球 A および B がある.質量はそれぞれ m および M である.はじめ B が静止していて,これに A が速度 u で衝突するものとする.衝 突が完全に弾性的であるとして,球 A から球 B に移るエネルギーを求めよ.また 移るエネルギーが最大となるのはどのような場合か?そのときどれだけのエネル ギーが移るか? 解答例) 衝突前後の運動量の保存より mu = mUA + M UB 運動エネルギーの保存則より 1 1 1 mu2 = mUA2 + M UB2 2 2 2 両式よりそれぞれ次式が得られる M UB = m(u − UA ), M UB2 = m(u − UA )(u + UA ) よって UB = u + UA , UA = UB − u これを運動量保存則に代入すると UB = 2m u m+M B の運動エネルギーは 1 1 4m2 2M u2 2 M UB2 = M u = 2 2 (m + M )2 (1 + M/m)2 これが最大となるのは M/m がゼロ(すなわち M << m)のときでそのとき 最大値は 2M u2 . これは M が一定の下では正しいが,m が一定の下では次のようになる.M = mt とすると 2M m2 u2 2mtu2 1 M UB2 = = 2 (m + M )2 (1 + t)2 t/(1 + t)2 を t で微分すると d 1−t t = dt (1 + t)2 (1 + t)3 よって t = 1 のとき極大となる.すなわち M = m の時で,その時の運動エネル ギーは mu2 /2.すなわち A の運動エネルギーが全て B に移った時となる. Ans.6–1 Ex. 6-2 質量 2M の物体が速度 V で飛んできて棒に当り同じ質量を持った 2 つにわかれ, どちらも速度 V /2 で進行方向から 60 度の方向に飛んで行った.棒が受けた力積を 求めよ. 解答例) 衝突前の進行方向の運動量は 2M V ,衝突後の進行方向の運動量は M V π 1 cos × 2 = M V 2 3 2 棒が物体に与えた力積を −F ∆t(進行方向と逆方向に F ∆t)とすると運動量保存 則より 1 M V − 2M V = −F ∆t 2 よって棒が受けた力積は F ∆t(進行方向)で 3 F ∆t = M V 2 Ans.6–2 Ex. 6-3 質量 m の球が壁面に直角に V の速さで飛んできたとする.完全弾性的に跳ね 返って飛び去った場合に壁が受ける力積はどれだけか?また,跳ね返らずに壁に めり込んだ場合に壁が受ける力積はどれだけか?同じ球が 1 秒間に N 個飛んでき て,完全弾性的に跳ね返って飛び去った場合,跳ね返らずに全て壁にめり込んだ 場合それぞれについて壁が受ける力はどれだけか? 解答例) • 完全弾性の場合: 壁に衝突する前の運動量は mV ,衝突後の運動量は −mV .壁が受ける力積 を −F ∆t(球の進行方向と逆向きに F ∆t)とすると,運動量と力積の関係 から −mV − mV = −F ∆t よって壁が受ける力積は進行方向に F ∆t で F ∆t = 2mV • 完全非弾性の場合: 壁に衝突する前の運動量は mV ,衝突後の運動量は 0.壁が受ける力積を −F ∆t(球の進行方向と逆向きに F ∆t)とすると,運動量と力積の関係から 0 − mV = −F ∆t よって壁が受ける力積は進行方向に F ∆t で F ∆t = mV • N 個飛んでくる場合: 1 秒間に N 個飛んでくるから 1 秒間に与える力積は N F ∆t である.したがっ て完全弾性衝突の場合,2mN V ,完全非弾性衝突の場合,mN V となる. Ans.6–3 Ex. 6-4 右図のように,床の上に置かれた鎖の一方の端に力を加え一 定の速さ v で鉛直上方に引き上げる.鎖の単位長さ当りの質量 が ρ であり,鉛直の部分の長さが x になっている時,鎖を引き 上げるのに必要な力 F を次の手順で求めよ. (1) 鎖の鉛直部分の長さが x であるとき,微小時間 dt の間に 鎖に与えられた力積を求めよ. F v x (2) 鎖の鉛直部分の長さが x であるとき,微小時間 dt の間に 変化した運動量を求めよ. (3) 鎖を引き上げるのに必要な力 F を,x および v ,ρ と重力 加速度 g を用いて表せ. 解答例) (1) 鎖に働く力は,上向きに引っ張る力 F と下向きの重力である.時刻 t におけ る鎖の質量は ρx だから重力は ρxg .したがって力は F − ρxg で,力積は (F − ρxg) dt 時刻 t+dt における鎖の質量は ρ(x+vdt) だから鎖にかかる重力は ρ(x+vdt)g . よって力積は [F − ρ(x + vdt)g] dt = (F − ρxg) dt − ρvg(dt)2 dt が微小であるから dt の 2 次以上を無視するとやはり力積は (F − ρxg) dt となる.すなわち力積は時刻 t から t + dt の間ほとんど変化しないと考えて もよい. (2) 時刻 t における鎖の質量は ρx であるから運動量は ρxv 時刻 t + dt における鎖の質量は ρ(x + vdt) であるから運動量は ρ (x + vdt) v したがって運動量は ρv 2 dt だけ増加したことになる. Ans.6–4 (3) 与えられた力積が運動量の増加分に等しいから (F − ρxg) dt = ρv 2 dt 上式を解いて F = ρxg + ρv 2 Ans.6–5 Ex. 6-5 次の手順で半径 a,厚さ d,密度 ρ の半円盤の重心の位置を求めよ. (1) 半円盤上の微小要素の面積を極座標 (r, θ) で表すと rdθdr となる.このとき, この微小要素の質量 dm を求めよ. (2) 半円盤の中心を原点とし,中心から弧に向かう対称軸を y 軸とする座標系を 取る.このとき半円盤上の位置 (x, y) を極座標 (r, θ) で表せ. ∫ ∫ (3) 重心の位置の x 座標および y 座標が xcm = xdm/ dm,ycm = で表されることを用いて,重心の位置を求めよ. ∫ ∫ ydm/ dm 解答例) (1) dm = ρdrdθdr (2) x = r cos θ, y = r sin θ (3) 対称性から xcm = 0 であるのは明らか.ycm は次のように計算される. ∫ a∫ ∫ ycm = ∫ ρd ydm 0 ∫0 = dm π r2 sin θdθdr a∫ π ρd ∫ a [ −r2 cos θ ∫ 0 = rdθdr 0 0 a πrdr ∫ = 0 a 2r2 dr 0[ ]a π r2 /2 [ 3 ]a0 2r /3 = πa2 /2 4a = 3π Ans.6–6 0 ]π 0 dr
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