【プレスリリース】道内最古のヤベオオツノジカ化石を確認

北海道博物館
プレスリリース(研究成果情報)
2015.07.31
道内最古のヤベオオツノジカ化石を確認
【概要】
以前に忠類村(現幕別町忠類)で発見された化石が、詳細な調査により「ヤベオオツノジカ」の歯であることが
明らかとなった。ヤベオオツノジカ化石としては道内で2例目、かつ先例より7万年遡る最古のものであり、日
本全体でも最東の産出記録である。
1.本化石について
この化石は 1970 年に忠類村でナウマンゾウ化石
の発掘調査の際に発見され、北海道開拓記念館(現
在は北海道博物館)が所蔵してきた。偶蹄類(ウシ
やシカの仲間)の歯の破片であると考えられたもの
の詳細は不明であったが、群馬県立自然史博物館の
高桒学芸員の研究によってヤベオオツノジカの右
上臼歯片であることが明らかとなった。
大きさ……長さ約 2.3cm 幅約 1.8cm(大人の親
指の爪ほどの大きさ)
年代………約 12 万年前(地形や火山灰の年代による)
推定年齢…2歳程度(若い個体)
道内最古のヤベオオツノジカであることが判明した化石
(北海道博物館所蔵)
2.ヤベオオツノジカについて
1万5千年前頃に絶滅した巨大なシカ。角の端が大きく手の平状に広がり、地面から角ま
での高さが約 2.5m に達する。日本の固有種で、45∼35 万年前にナウマンゾウらととも
にユーラシア大陸から日本南部に渡ってきたシカ類から発生したと推定される。化石は主
に本州、四国、九州から発見され、温帯域のシカと考えられているが、今回の研究成果に
よって、少なくとも約 12 万年前には北海道に到達していたことが判明した。
3.意義
ヤベオオツノジカ全身骨格
(群馬県立自然史博物館提供)
・これまで北海道におけるヤベオオツノジカの化石は由仁町で発見された角だけであった
が、本化石で2例目となり、日本最東の産出記録となった。
・由仁町産の化石は約4万9千年前のもので、本化石は約 12 万年前のものであることか
ら、一気に7万年以上も古くなり、北海道最古のヤベオオツノジカ化石となった。
・約4万9千年前ごろは地球上の氷河が大規模に発達した寒冷な時代であり、北海道では北方系のゾウであるマンモスゾウの
化石も発見されていたことから、なぜ南方系のオオツノジカがそのような時代に北海道にいたのか謎であった。しかし本化
石により、少なくとも約 12 万年前の温暖な時期にナウマンゾウなどとともに北海道まで北上し、道東の十勝地方まで分布
を広げていたことが判明した。
4.公開
本化石は北海道博物館総合展示にて常時公開中。
問い合わせ先
①北海道博物館(TEL: 011-898-0456)
社会貢献グループ 青柳かつら(研究成果発信担当)
※報道機関には、本資料に掲載されている画像をデジタルデータで提供可能です。お問い合わせください。使用の際は所蔵・提供先を明記して下さい。
②論文執筆者
・群馬県立自然史博物館(TEL: 0274-60-1200)
高桒祐司(たかくわ・ゆうじ)学芸員(46 才)
・北海道博物館 添田雄二(そえだ・ゆうじ) 学芸員(42 才)
本件については北海道開拓記念館研究紀要第 43 号(2015 年3月刊行)にて発表されたが、その後、他の専門家の検討により信頼性が確実となったため、この
たび公表するものである。