北海道博物館 プレスリリース (研究成果情報) 2015.11.20 北太平洋地域で最後まで生き残っていたアンモナイトであることが判明 【概要】 2012年8月に、十勝郡浦幌町で産出したアンモナイト化石が、 アンモナイトの絶滅する直前の約6680万年前のもので あることが推定され、北太平洋地域で最後まで生き残っていたアンモナイトであったことが判明した。 この成果をまと めた論文は、 日本古生物学会発行の国際誌「Paleontological Research」 に受理され、今後掲載予定である。 ■本化石について 化石は、 2012年8月に十勝郡浦幌町の茂川流布(モカワルップ) 川沿いの露頭 で発見された。古生物調査の結果、異常巻きアンモナイト類の一種である ディプロモセラス シリンドラセアム (Diplomoceras cylindraceum) と同定さ れた。 さらに、 この化石の産出年代は、約6680万年前であったと推定された。 ■アンモナイトについて アンモナイト類は、約4億年前の古生代デボン紀から約6600万年前の白亜 紀末まで存在したイカやタコと同じ仲間である頭足類と呼ばれるグループに 属する。 そして、 アンモナイト類の絶滅した白亜紀末は、恐竜など生物の大量 絶滅が起こった時期として知られ、 その主な要因は、直径10kmの巨大隕石が メキシコのユカタン半島付近に衝突したことによる影響が考えられている。 ■意義 今回発見されたアンモナイト (ディプロモセラス シリンドラセアム) は、 こ れまで世界中から報告されており、巨大隕石衝突の影響によって絶滅したア ンモナイトの1種であると考えられていた。 しかし、北太平洋地域では、浦幌町のモカワルップ川沿いにしか、巨大隕石 が衝突したことによる影響で作られたと考えられる地層(黒色粘土層) の存 在が知られておらず、 アンモナイトの産出もこれまで報告されていなかった。 し たがって、絶滅イベント時にどのようなアンモナイトが繁栄していたのか一切 不明であったが、今回の研究成果により、本種が北太平洋地域においても巨 大隕石衝突の直前まで繁栄していたことが初めて明らかにされた。 ■公開(共同研究機関4館による同時公開) 標本は、北海道博物館で11月28日 (土) から開催される企画テーマ展「北 海道のアンモナイトとその魅力」 で公開される (1/17まで)。 また、今回の研究 の共同研究機関である三笠市立博物館、足寄動物化石博物館、浦幌町立博 物館でも同日からレプリカ (複製) を公開し、本研究成果を広く公開する。 5 cm ディプロモセラス シリンドラセアム (Diplomoceras cylindraceum) (浦幌町立博物館所蔵) ※画像提供:北海道博物館 ■問い合わせ先:北海道博物館(TEL:011-898-0456) ① 取材・画像提供に関すること ・甲地理恵([email protected]) 社会貢献グループ 研究成果発信担当 青柳かつら([email protected]) ※報道機関には、本資料に掲載されている画像をデジタルデータで提供可能です。お問い合わせください。使用の際は所蔵・提供先を明記して下さい。 ② 研究内容に関すること 論文執筆者(筆頭著者) 北海道博物館 栗原憲一(くりはら・けんいち) 学芸員 (36歳)[email protected] 論文名:The last surviving ammonoid at the end of the Cretaceous in the north Pacific region (北太平洋地域の白亜紀末に最後まで生き残っていたアンモノイド類) 著 者:栗原憲一(北海道博物館) ・加納 学(三笠市立博物館) ・澤村 寛(足寄動物化石博物館) ・佐藤芳雄(浦幌町立博物館) 雑誌名:Paleontological Research (パレオントロジカル リサーチ) 【日本古生物学会発行の国際誌】 ※論文は,現在早期無料公開中 (http://www.palaeo-soc-japan.jp/download/PR_in_press/2015PR027_Kurihara_et_al.pdf)
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