論理物理学的多体論 - 基礎論理物理学研究所

論理物理学的多体論
スピン・ループ軌道相互作用
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時間反転対称性の破れ
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基礎論理物理学研究所
小林
隆光
理学博士
序
金属をはじめとする固体中の電子の振る舞いは、単純な不純物ポテンシャルとの散
乱、その散乱に伴うスピンー軌道散乱、磁性ポテンシャルとの散乱、そして、アンダー
ソン局在に特徴的な非弾性散乱で理解できるとされてきました。特にスピン―軌道散乱
は時間反転対称性を保つと言われてきました。しかし、低次元化された超伝導電子対の
振る舞いの研究から、磁性ポテンシャルや磁場が無い状態で、超伝導電子対間の時間反
転対称性が破られていることが確認されました。
時間反転対称性は、じつは超伝導電子対が壊れないために必要であるというだけでな
く、宇宙の創生に深くかかわりを持っています。というのも、すべてが時間反転対称で
あれば、宇宙が創生された時、すべては時間反転されうることから、創生された宇宙も
コーヒーレントな時間以内に消滅してしまうからです。しかし、宇宙は十分に長い間存
在しています。これは、宇宙の創生時に時間反転対称性が破られたことを示唆します。
なにが時間反転対称性を破ったかは未だ不明です。ただ、外因的ではなく内因的である
ことは類推できます。また、宇宙が創生するくらいの大事ですので、多体論の範疇であ
ることも類推できます。もし、多体論で時間反転対称性を破る内因的プロセスが見つか
れば宇宙創成の謎を解くことも可能となります。
本書では、スピン軌道相互作用に着目し、その具体的でわかりやすい描像のためにル
ープ軌道という概念を提唱し、スピン―ループ軌道には二つのチャンネルがあり、片方
は時間反転対称性を保つのに対し、もう一方は時間反転対称性が保たれず、超伝導電子
対はこのチャンネルを通ることを示します。
目次
第 1 章 固体中の電子散乱 __________________ 1
第 2 章 超伝導電子対破壊 ___________________ 2
第 3 章 スピン―軌道相互作用 _______________ 9
第 4 章 ループ軌道 _______________________ 14
第 5 章 2体ループ軌道効果 ________________ 23
第 6 章 ビッグバン _______________________ 29
第 7 章 まとめ ___________________________ 31
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第1章 固体中の電子散乱
固体中で電子は様々なものに散乱されながら、進んでいきます。たとえば、格子欠陥、
格子内原子、異種原子、フォノン、他の電子などに散乱されます。散乱は古典的散乱と
量子的散乱と区別して考えられなければなりません。電子は量子散乱の前後で自分自身
と、もしくは、他の電子と干渉し合うことが可能です。一方、古典的散乱においては、
干渉し合うことができません。このような散乱を非弾性散乱と言います。非弾性散乱か
ら非弾性散乱までの平均的時間は絶対零度からどんどん短くなり、ある程度高くなる
と、弾性散乱時間とほぼ等しくなってしまい、もはや電子は干渉効果を示さなくなりま
す。したがって、低温では電子は弾性散乱の前後で干渉効果を示すことが可能となりま
す。
干渉効果も二つの干渉効果に分かれます。ひとつは、単純に電子波を大きくしたり小
さくしたりする効果で、もう一つは、移動する電子波が定在波となるような効果です。
特に後者は出発する電子波に出発して戻ってきた電子波が重なった時に起きます。
干渉は、エネルギー、波数(運動量)、スピン状態が同じでなければなりません。そ
して、これらを変えることのできる機構が存在します。エネルギーは非弾性散乱により
かえられ、波数は弾性散乱によりかえられ、スピンはスピン―軌道散乱によりかえられ
ます。
著者略歴
小林隆光(こばやし
たかみつ)
1982 年 3 月
名古屋大学理学部物理学科卒業
1987 年 7 月
東京工業大学総合理工学研究科博士課程 修了
高エネルギー物理学研究所助手
9月
理学博士号
取得
2005 年 9 月
高エネルギー加速器研究機構
2008 年 4 月
基礎論理物理学研究所
退職
設立
論理物理学的多体論
平成 21年05 月15 日 初版
著者
小林
隆光
発行者
小林
隆光
発行・印刷所
基礎論理物理学研究所
〒300-1256
茨城県つくば市森の里5−6
電話
© 小林 隆光
029−876−5423
2009
ISBN978-4-904401-04-0
32
定価30,000 円
ISBN978-4-904401-04-0
C3042 ¥30000E
9784904401040
1923042300008