研究会概要 特定課題研究「巨大負熱膨張材料を用いた革新的熱膨張制御技術の開発」 第 3 回研究会(公開) 日時:平成 27 年 8 月 5 日 13:15-17:00 場所:東京工業大学 田町キャンパス (東京都港区) キャンパス・イノベーションセンター G156(多目的室 2) 主題:電子相エントロピーの学理とその制御~熱体積機能の創出に向けて~ 固体中の電子は、電子間斥力(電子相関)と、電子軌道の個性や結晶格子など他の自由 度が絡み合って、多彩な状態相を形成する。それは、電子が固体の中で結晶のように規 則正しく配列したり、粘りの強い液体になったりすることに相当し、「電子相」と呼ば れる。電子相では、電荷、スピン、軌道、結晶格子といった様々な自由度が絡み合って おり、相変態に際して時として巨大なエントロピー変化が生じる。このエントロピー変 化は、巨大な負熱膨張や熱量効果をはじめとする特異な熱・体積機能を物質に賦与する。 例えば最近のトピックスとして、フラストレーション効果による「高エントロピー状態」 の存在と、それによる特異な物性の発現が注目を集めている。熱輸送、熱電変換、蓄熱・ 蓄冷、冷凍、さらには熱膨張・形状・歪の制御などの熱・体積機能は、例えば廃熱を有 効活用するシステムの構築など、工学的視点からも、極めて関心が高い。電子相エント ロピーの学理は、これら新しい時代に求められる機能性材料の強力な開発指針を提示す ると期待される。本研究会では、電子相ならびにその変態をエントロピーの視点で眺め、 新しい物理的描像や新物質・新機能の開拓を展望する。 13:15-13:20 はじめに 竹中康司(名古屋大学工学研究科) (座長: 東 正樹) 13:20-13:00 カルコゲナイド化合物で観測される異常熱伝導度とそれを利用した 固体熱流制御材料の創製 竹内恒博(豊田工業大学工学研究科) 13:50-14:20 軌道・電荷整列物質と熱物性 勝藤拓郎(早稲田大学先進理工学部) 14:20-14:50 HAADF-STEM 法による Mn3(Cu1-xGex)N の局所構造解析 森 14:50-15:00 (休 茂生(大阪府立大学工学研究科) 憩) (座長: 森 茂生) 15:00-15:30 フラストレート系金属磁性体の磁気体積熱量効果 竹中康司(名古屋大学工学研究科) 15:30-16:00 マルチフェロイックスにおける電荷・スピン・格子結合と熱揺らぎの物理 望月維人(青山学院大学理工学部) 16:00-16:30 巨大負熱膨張物質 BiNiO3 における価数転移の理論 中 惇 (東北大学理学研究科) 16:30-17:00 ビスマス・鉛ペロブスカイトの系統的な価数状態変化と巨大負熱膨張 東 正樹(東京工業大学応用セラミックス研究所)
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