第 2 回児童部会 配布資料 児童部会事務局 2015.7.16 児童部会「基本図書から学ぶ 絵本について② 絵本の評価について」 <参考書> 『絵本論―瀬田貞二 子どもの本評論集―』瀬田貞二著 福音館書店 1985 「 (1) よい絵本は、はっきりしたテーマを持っています。 作者ののべたいことをすっきりした筋でのべています。その筋には、はじめと中ごろと おわりとがくっきりと示されています。 (2) 小さい子のわかる、親しい主人公がでてきます。 みている子がその主人公に同化できる本です。ただし、筋が空想的で奇抜でも、知らな いものに発展してもかまいません。むしろそうなれば、小さい子のせまい環境をのりこえ て、その子の地平線を高めることになりましょう。 (3) よい絵本とは、りっぱな絵で挿絵してあることです。 物語のただの説明でもなく、勝手な解釈でもなくて、生き生きと語りかける絵でなくて はこまります。物語のおもしろさが何倍にもふくれていく絵、細部まで楽しくくり返して みられる絵、動きがあり色感のゆたかな絵、造型的にしっかりしていて、生命力のあふれ た絵が必要です。 」 (P48,P49) 『児童文学論』リリアン H.スミス著 石井桃子・瀬田貞二・渡辺茂男訳 岩波書店 1964 「絵本はこうあるべきだとして、子どもたちの出している基準に合うものとして、いまこ こで、五つの絵本を見てきたが、私たちは、これらの本の中に、いくつかの共通点を見る ことができる。どの本の場合も、その発想は新鮮で、独自の空想に富んでいる。どの本の 中にも、しっかりしたテーマがある、テーマは、アクションによって展開されて、単純化 された形であるとはいえ、よいストーリーがかならずもっているべき条件をみたしている。 つまり、はじめがあり、中間があり、終りがあるという、はっきりとしたプロットをもつ。 どの本も、ひとりの主人公について語られ、その主人公は、象であっても、中国のアヒル であっても、サルであっても、または、ただの男の子や女の子の場合でも、読者である子 どもが同一視できるものである。題材は空想的なもの―そして、時には、途方もないもの である場合でも、子どもの身近なものと関連がなければならない。この関連は、幼児を喜 ばせる。しかしまた、こうした関連のある一方で、主人公の境遇と、絵を見、話を聞く子 どもの境遇とのあいだには、ちがいもあって、そのちがいにより、子どもは、自分のせま い環境がひろげられ、新しい視野がひらけたという実感をもつ。 」(P232) 第 2 回児童部会 配布資料 児童部会事務局 2015.7.16 <各自治体の収集方針> 「江戸川区立図書館 資料収集方針と選定基準」平成 17 年 3 月 14 日決裁 江戸川区立中 央図書館 <http://www.city.edogawa.tokyo.jp/saiyoboshu/shiteikanrisha/h21boshu/tosyokan.fi les/shiryou_houshin.pdf>(2015/8/10 アクセス) 資料別選定基準 7 児童資料選定基準 (3)分野別選定基準 < 絵 本 > 子どもが初めて手にするのが絵本であり、図書との関り合いの導入となるものなので慎重に収集す る。 ア 絵と文章とが一体となって構成され、絵はそれ自体でストーリーを語っていてしかも質が高い もの。 イ 子どもの興味や発達段階にふさわしいテーマを持ち、起承転結があるもの。 ウ 特定の主人公について語られ、読んでいる子どもが自分と同一視できるもの。 エ 言葉がわかりやすく適切で、日本語として美しい文章で書かれているもの。 オ 子どもが楽しめ、子どもの支持があるもの。 カ 長く読み継がれているもの、定評のあるもの。 千代田区立図書館「資料収集方針」 <https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/about/collection/>(2015/8/10 アクセス) 3.資料種別の収集基準 (5)児童資料 「絵本」 a 絵と文が一体になっており、ストーリーに起承転結があるもの、美しい言葉で表現されている ものを収集する。 b 多くの人に長く読み継がれてきたものは積極的に収集する。 c 装丁・造本がしっかりしたものを収集する。 第 2 回児童部会 配布資料 児童部会事務局 2015.7.16 「練馬区立図書館資料収集方針」 平成 24 年 4 月 1 日施行 <https://www.lib.nerima.tokyo.jp/pdf/plancollect.pdf>(2015/8/10 アクセス) 3資料収集の考え方 (2)各分野および資料の種類ごとの考え方は、つぎのとおりにする オ 児童資料 (キ) 児童資料の各分野は、以下のものを収集する。 a 絵本 (a) 絵と文章が一体となって構成され、絵はそれ自体で物語を表現しているもの。 (b) 絵に芸術性があり、表現力が豊かなもの。 (c) 子供が理解できる内容や表現で描かれ、興味や発達段階にあったテーマを扱ったもの。 (d) 言葉がわかりやすく適切であり、リズム、響きといった、言語の有する表現特性を発揮 しているもの。 (e) 多くの人に長く読み継がれてきたもの。
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