「米国の政策金利引き上げ〜2006年6月以来初〜」を参考資料として

ご参考資料
2015年12月17日
米国の政策金利引き上げ
-2006年6月以来初ポイント① 雇用改善を背景に利上げを決断
12月15、16日に開催された米国の金融政策決定の場で
あるFOMC(米連邦公開市場委員会)で、FRB(米連邦
準備制度理事会)は政策金利であるフェデラルファンド目標
金利を、従来の0~0.25%から0.25~0.5%に引き上げまし
た。政策金利の引き上げは2006年6月以来、約9年半ぶり
です。
米国の利上げ観測は以前からくすぶり続けてきましたが、今
回利上げに踏み切った背景には、米国経済の緩やかな成長
のもとで、雇用の増大が続き、失業率が5.0%と歴史的に見
ても、かなり低い水準に低下したことが挙げられます。賃金や物
価の上昇率は依然緩やかですが、FRBは労働需給の引き締
まりが徐々に賃金、物価の上昇率を高めると判断しているよう
です。
ポイント② 概ね市場の予想通りの動き
FOMC後の記者会見でイエレンFRB議長は、今後の利上げ
ペースは景気や物価等の動向次第だが、総じて緩やかなもの
になることを示唆しています。FOMCのメンバーによる2016年
末の目標金利の予想値の中央値は、1.375%となっており、
2016年中に1%程度の利上げが行なわれるとの見通しになっ
ています。
米国の株式市場では、緩やかな景気回復下の緩やかな利
上げは、悪い環境ではないとの見方から安心感が出ているよう
です。利上げの決定を受けて、米国債利回りや米ドルは若干
上昇しましたが、今回の利上げはほぼ織り込まれていたため、
比較的小幅な動きのようです。
ポイント③ 外部環境の変化に注意
ただ、原油などの商品価格が下落していることや、最近人民
元が緩やかな下落基調にあることから、資源国、新興国の通
貨や資源関連企業の社債などが売られやすい状況にあります。
また、米ドルは円やユーロなどの先進国通貨に対しては既に
かなり上昇したものの、人民元等の新興国通貨に対しては全
体的には小幅の上昇に留まっており、新興国通貨の方が米ド
ルに対して下がる余地が大きいように見受けられます。
米国の利上げの直接的影響はそれほど大きくなくても、追加
利上げ観測と、新興国通貨や資源関連企業の債券価格等
の下落が重なると、国際金融市場が混乱する可能性があるこ
とには注意が必要と考えられます。
図1:米国の失業率、賃金とフェデラルファンド目標金利
期間:1990年1月~2015年11月、月次
(%)
9
フェデラルファンド目標金利(左軸)
時間当たり賃金(左軸、前年同月比)
失業率(右軸、逆目盛)
8
7
3
4
6
5
5
6
4
7
3
8
2
9
1
10
0
1990
1993
1996
1999
2002
2005
2008
2011
2014
11
(年)
(注)フェデラルファンド目標金利は2015年12月まで(12月16日時点の値)。
今回の利上げ前は0~0.25%、利上げ後は0.25~0.5%だが、グラフ上
ではぞれぞれ0.25%、0.5%として示している。時間当たり賃金は民間非
農業企業の生産・非管理職労働者の賃金。
図2:米ドル実効為替レートと商品価格
期間:2009年1月2日~2015年12月11日、週次
(2009年初=100、逆目盛)
85
(1967年=100)
380
90
340
95
300
100
260
米ドル高、商品価格安
105
110
115
09/1
220
米ドル広義実効為替レート(左軸)
180
トムソン・ロイター・コア・コモディティCRB指数(右軸)
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
140
(年/月)
図3:米ドル実質実効為替レート
(2010年=100、逆目盛)
80
期間:1973年1月~2015年11月、月次
90
100
110
120
130
米ドル高
140
重要
イベント
(%)
2
12月23日
米個人消費・所得(11月)
150
2016年1月4日
米ISM製造業景況感指数
(12月)
160
1973
2016年1月8日
米雇用統計(12月)
対先進国通貨
1978
1983
1988
1993
1998
対新興国通貨
2003
2008
2013 (年)
(出所)ブルームバーグデータより野村アセットマネジメント作成
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