宅森昭吉に聞く「2016年の景気」(日本)

2016年1月4日
(No.1,732)
〈マーケットレポートNo.4,594〉
宅森昭吉に聞く「2016年の景気」(日本)
宅森昭吉チーフエコノミストは、現状の景気はやや足踏み状態を示すものもあるが、よく見ると明るい
動きがみられるとしています。「下町ロケット」や「あさが来た」などのTVドラマが人気を集めたように日本
経済を支える中小企業の景況感改善をサポートする動きが見られるうえ、各指標にはバブル期直後
の水準まで回復しているものが多くみられるためです。
中小企業経営者を応援する世の中の風潮
「下町ロケット」人気で、設備投資意欲に点火
■GDP統計や「景気ウォッチャー調査」など、足元の景気指標には足踏み状態を示すものが多くみられます。身
近な指標では、プロ野球の日本シリーズの組み合わせで、ソフトバンク対ヤクルトの人気度ランキング合計6が
景気足踏み状態と整合的です。
■ただし、景気と身近な社会現象は、景気の底堅さを示唆するものが多い状況が続いています。10-12月期
のTVドラマで人気を博したのは「下町ロケット」と「あさが来た」。いずれも中小企業の経営者を応援する世の
中の風潮を示しています。それを受けてか、中小企業の設備投資の先行指標となる代理店受注は、
10‐12月期まで3四半期連続で増加見込みとなっています。
約24年ぶりの水準示すデータ多い
非製造業の景況感や有効求人倍率に注目
■また、12月の日銀短観では、大企業・非製造業の業況
判断DIの+25は、91年11月以来約24年ぶりの高い水
準となっています。11月の有効求人倍率の1.25倍も
92年11月以来の高い数字です。
■したがって、過去20年間なかったからといって、政府見通
しの2016年度の名目成長率3.1%がありえないと現時
点で決めつけるのもいけないかもしれません。
宅森昭吉(たくもりあきよし)。三井住友アセットマネジメント(以
下弊社)理事・チーフエコノミスト。1957年東京生まれ。三井銀
行(現三井住友銀行)入行後、同行調査部、市場営業部など
を経て、2002年弊社チーフエコノミストとなり、2012年4月より現
職。著書に「ジンクスで読む日本経済」など。
春闘での賃上げに注目、懸念材料はあるが良い年になりそう
■賃上げがポイント
■エルニーニョが懸念材料
2016年を見る上で、最大の注目点は春闘での賃上
げです。企業収益は史上最高益の連続更新が見込
まれる中、人手不足が進行しているわけですから、設
備投資の拡大、さらには賃金上昇が実現し、それが
消費拡大へつながるという好循環を期待したいもので
す。
懸念材料はエルニーニョ現象です。現在発生している
ものは、20世紀最大級だった1997‐98年並みに強く
なっており、既に暖冬の悪影響が11月の消費に出て
います。ただし、桜の開花が早い年には、景気は悪くな
らないという傾向もあります。夏ごろにはエルニーニョは
おさまり正常化すると期待されています。
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