基礎数学 1 の補助資料 (担当: 谷戸光昭) 1 逆三角関数の定義 定義 1 (逆正弦関数). −1 ≦ y ≦ 1 なる任意の実数 y を与える. このとき, y = sin x を満たす実数 x は無数に存在する. (例えば, y = 12 ならば, 三角方程式 sin x = 12 のすべての解は x = π6 + 2nπ, 5π 6 + 2nπ (n は整数) である.) ところが, − π2 ≦ x ≦ π2 の範囲に限ると, y = sin x となる実数 x はただひとつに決まる. (例えば, y = 21 ならば, 三角方程式 sin x = 12 (ただし − π2 ≦ x ≦ π2 ) の解は x = π6 のみ.) そこで, 任意の実数 y (ただし −1 ≦ y ≦ 1) に対して y = sin x となる実数 x (ただし − π2 ≦ x ≦ π2 ) を対応さ せる規則を逆正弦関数といい, x = Arcsin y あるいは x = Sin−1 y と表す. 読むときはいずれもアークサインと 読む. y = sin x (定義域 − π2 ≦ x ≦ π2 , 値域 −1 ≦ y ≦ 1) ⇐⇒ x = Arcsin y (定義域 −1 ≦ y ≦ 1, 値域 − π2 ≦ x ≦ π2 ) (1) x と y の文字を入れ替え, 次のように表すこともできる. y = Arcsin x (定義域 −1 ≦ x ≦ 1, 値域 − π2 ≦ y ≦ π2 ) ⇐⇒ x = sin y (定義域 − π2 ≦ y ≦ π2 , 値域 −1 ≦ x ≦ 1) (2) 定義 2 (逆余弦関数). −1 ≦ y ≦ 1 なる任意の実数 y を与える. このとき, y = cos x を満たす実数 x は無数に存在する. ところが, 0 ≦ x ≦ π の範囲に限ると, y = cos x となる実数 x はただひとつに決まる. そこで, 任意の実数 y (ただし −1 ≦ y ≦ 1) に対して y = cos x となる実数 x (ただし 0 ≦ x ≦ π) を対応させる 規則を逆余弦関数といい, x = Arccos y あるいは x = Cos−1 y と表す. 読むときはいずれもアークコサインと 読む. y = cos x (定義域 0 ≦ x ≦ π, 値域 −1 ≦ y ≦ 1) ⇐⇒ x = Arccos y (定義域 −1 ≦ y ≦ 1, 値域 0 ≦ x ≦ π) (3) x と y の文字を入れ替え, 次のように表すこともできる. y = Arccos x (定義域 −1 ≦ x ≦ 1, 値域 0 ≦ y ≦ π) ⇐⇒ x = cos y (定義域 0 ≦ y ≦ π, 値域 −1 ≦ x ≦ 1) (4) 定義 3 (逆正接関数). 任意の実数 y を与える. このとき, y = tan x を満たす実数 x は無数に存在する. ところが, − π2 < x < π2 の範囲に限ると, y = tan x となる実数 x はただひとつに決まる. そこで, 任意の実数 y に対して y = tan x となる実数 x (ただし − π2 < x < π2 ) を対応させる規則を逆正接関数 といい, x = Arctan y あるいは x = Tan−1 y と表す. 読むときはいずれもアークタンジェントと読む. y = tan x (定義域 − π2 < x < π2 , 値域 −∞ < y < ∞) ⇐⇒ x = Arctan y (定義域 −∞ < y < ∞, 値域 − π2 < x < π2 ) (5) x と y の文字を入れ替え, 次のように表すこともできる. y = Arctan x (定義域 −∞ < x < ∞, 値域 − π2 < y < π2 ) ⇐⇒ x = tan y (定義域 − π2 < y < π2 , 値域 −∞ < x < ∞) (6)
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