説明のしかたを考えよう「アップとルーズで伝える」~光村4年下~ 1 説明的な文章の学習と板書 説明的な文章の学習では、子どもが説明内容を正しく理解するだけでなく、説 明方法の工夫を解釈することを大切にしていきたいと考えています。なぜなら、 説明方法の効果を感じることで、自分の話し方や書き方にその説明方法を活用す ることができるからです。 説明方法の工夫について話し合う際に、板書が重要な役割を果たします。 対応 する部分を同じ色で囲んだり、観点によって整理したりすることで、目には見え にくい説明方法の工夫をとらえやすくなります。板書についての支援を中心に紹 介します。 2 授業実践から ~説明のしかたを考えよう「アップとルーズで伝える」4年 光村図書~ 学習の流れ 第1次 自分の書いた文と本文とを比べる(3時間) 第2次 説明内容を確認したり、説明方法について話し合ったりする(3時間) 第3次 学習したことを生かして説明的な文章を書く(4時間) 第1次1・2時の板書 図1 説明内容に関する発言を整理した板書 単元の導入に、教科書にある写真の提示や補足説明を行い、子どもの気付きを 板書上に整理していきました(図1)。そうすることで、子どもは、写真資料と 文とを対応させて、説明内容の大体を捉えることができました。 第2次2時の板書 第 2 次 2 時 に は「 僕 た ち は 、ア ッ プ と ル ー ズ で 分 か る こ と を 書 い た の に 、筆 者 は ど う し て 4 、5 段 落 に 分 か ら な い こ と を 書 い て い る の か 」と い う 課 題 に つ い て 話 し 合 い ま し た 。話 し 合 い の 中 で、アップとルーズそれぞれの長所、 図2 教科書の本文どおりの板書 短 所 を 確 認 し 、子 ど も の 発 言 に 合 わ せ て 同 じ 色 で 線 を 引 い た り( 図 3 )、黒 板に提示した本文を段落相互の関係 が分かるように短冊状に表したりし ま し た 。( 図 4 )す る と 、子 ど も は 板 書 を 見 な が ら「 ア ッ プ と ル ー ズ を 比 べ て い る か ら 分 か り や す い 」と 対 比 し て 説 明 す る よ さ を 話 し て い ま し た 。そ の 中 で T 児 が「 長 所 だ け で も 違 い が 分 か 図3 子どもの発言に合わせて整理 る と 思 う よ 。ぼ く は 長 所 だ け 書 い た の だ け れ ど 、そ れ で も 一 番 伝 え た い こ と は 分 か る よ 」と 筆 者 の 説 明 方 法 に 反 対 す る 意 見 を 出 し ま し た 。T 児 は 、自 分 の書き方にこだわりをもっていた子 ど も で す 。T 児 の 発 言 に 対 し 、別 の 子 ど も が 、板 書 上 の 本 文 を 移 動 さ せ な が ら 、そ れ ぞ れ の 長 所 が そ れ ぞ れ の 短 所 図4 段落相互の関係を整理した板書 を補完していることを説明しました。 ( 図 5 )こ れ に よ り 、目 に は 見 え に く い段落相互の関係が板書上で整理さ れたため多くの子どもの納得を生み ました。 このようなやりとりを生み出す板 書 の 支 援 に よ り 、自 分 の 意 見 に こ だ わ り を も っ て い た T 児 を 含 め 、多 く の 子 どもが筆者の説明方法の工夫につい 図5 補完関係を整理した板書 て理解を深めることができました。
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