2015.09月号 - SATO行政書士法人

Back office
会社が得する!行政書士のバックオフィスサポ―ト
公正証書遺言について
人が生きていく上で避けては通れない「老いと死」について考える
近年、家族形態が複雑になり、多くの方が自分の死後についての手続きを考えるようになって
おります。今回は遺言の中から公正証書遺言についての基本をご紹介致します。 はじめに
の遺言に利害関係のない方)も必要になります。時間と費用はか
かりますが、一番確実な方法であると思われます。公証役場に行
自分が亡くなった後、財産をどのようにしたいのかをはっきり
けない場合は、別途費用がかかりますが、公証人に自宅や療養施
させておきたい時には、
「遺言」
を作成する事が有効だと考えます。
設等に来て頂く事も可能です。
その遺言の中でも公正証書遺言についてご説明致します。
しかし、公正証書遺言は絶対的な拘束力を持つものではありま
公正証書遺言について
せん。よく勘違いをされる方がいらっしゃるのですが、例えば子
供が3人いて長男と次男には財産を渡したくない、三男に全ての
最近、遺言を作成されたいという方が多くなっていると思いま
財産を渡したいので遺言書を作成したいと言う場合、確かに遺言
す。昔の様に面倒をみるはずの長男がみない、子供がいない、相
書は作成出来ますがご自身が亡くなられた後それを見た2人はど
続の権利がない人に財産を渡したいなど理由は様々ですが増えて
う思うでしょう。兄弟の関係が悪くなるばかりか、最悪は絶縁状
います。遺言がない場合は法定相続になります。詳しい事は述べ
態になるかもしれません。法律的に本来相続権のある方には遺留
ませんが、相続の権利がある方に決まった比率で財産(負債も含
分(財産の最低補償のようなもの)があります。おそらく2人の
む)を分ける事になります。その比率を無視し、自分の意思で財
兄はこの遺留分の請求で弟と裁判になる事も考えられます。
産分与出来るのが遺言です。特に下記の様な方は遺言を作成する
こうした事を防ぐため、遺留分を考慮した上で作成されるのが
ことをお勧めします。
宜しいかと思います。また付言事項と言って遺言者の思い
(願い)
・不動産を多く所有している場合
(特に建物は分けるのが難しい)
・子供がいない夫婦の場合
(親や兄弟にも相続権がある)
・家族関係が複雑な場合
(離婚した配偶者との間にこどもがいる)
・相続権がない人に財産を渡したい場合
・会社経営をしている場合
(後継者に株式を渡すなど会社経営の円滑な継続が必要)
を記載することも出来ます。ここで遺言者の財産分与の理由を記
載頂ければ少しは残された方に理解をして頂けると思います。気
をつけて頂きたいのは、
あまりにも偏ったものにならない事です。
遺言は残された者に送る最後の手紙になります。遺言者が亡くな
った後、家族関係に問題が起こらないように作成には十分ご注意
頂きたいと思います。
遺言を作成する事を親族に相談すると内容が外部に漏れる可能
性があるため、なかなか行動にうつせないことだと思います。ご
自身の思いを正確に、また納得出来るものを作成する為にも、公
証役場や専門家への相談をお勧めいたします。
遺言にはいくつか種類がありますが公正証書遺言に絞ってお話
し致します。こちらは最寄りの公証役場で作成することができま
す。公正証書にしておくメリットは、一つ目に公証人が作成する
ので法的に確実な遺言になります。いつでも変更することが可能
ですし、一番新しい日付で作成されたものが効力を持つことにな
ります。二つ目として原本は公証役場が保管するので、偽造・紛
失等の心配がありません。原則、遺言者が亡くなるまで預かりま
すので安心です
(保管期間は通常20年となりますが、
遺言の場合、
遺言者が亡くなるまで保管されないと意味をなさない為、20年
経過後も保管されているのが一般的です)
。三つ目は家庭裁判所
での検認(確認手続き)が不要です。公正証書以外は全てこの検
認が必要になります。最後に不動産登記等の手続きがスムーズに
行えます。メリットばかりではありません。当然デメリットもあ
ります。例えば公証人との打合せ時間が必要なこと、作成には費
用がかかること、また、この遺言に対する証人2名の立会い(こ
執筆者紹介
∼グループ総従業員数1,060名!∼
SATO GROUP
SATO行政書士法人
東京オフィス 副所長 今城 貴愉
SATO GROUPは、
創業35年余の実績と
品質を誇る業界最高水準のアウトソーサー
です。
当法人ではBtoBに特化したサービ
スを提供しており、
大企業をターゲットと
した
「許認可総合管理サービス」
「ビザ・在留資格サポートサービ
ス」
「開業支援ワンストップサービス」
を主要業務とし、
お客様企業
に点在している
「リスク管理」
「法令遵守」
「業務の大量処理」
などを
徹底サポートするサービス体制を構築しています。
近年は、
周辺業務をアウトソーシングし、
コアコンピタンスに集
中するというグローバルな経営文化が浸透しつつあります。
ご興味がございましたら是非一度お気軽にご相談ください。
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