2015年第2四半期 金利商品の四半期レビュー

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2015年第2四半期
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How the world advances
金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
四半期展望
Bluford Putnam(CMEグループ チーフエコノミスト)のマーケットインサイト
米 FRB が連邦公開市場委員会(FOMC)で合意に達し、9 月 15 日-16 日の会合でゼロ金利を解除
することを示唆する兆候が多く見られる。利上げの決定がいつ行われるかについては、依然として曖
昧さも残る。しかし、諸々の経済データを見ると、利上げの判断が前倒しされることはあっても、先送り
される可能性は低い。以下は、そのデータに関する論評である。
毎月の雇用者数の増加と失業率の水準は、きわめて健全だ。平均的なボラティリティ下において、米国経済では毎月 22 万 5 千人
ほどの新規雇用が生み出されており、失業率は 5.5%以下で安定している。過去 40 年以上に渡り、米国の失業率は平均 6.2%で
推移しており、5.5%を下回ったのは全体の約 40%の期間に過ぎない。
ジャネット・イエレン議長を始めとする何人かの FOMC 委員は、より大きな観点で労働市場を眺めており、労働参加率の低下と時間
給の伸び悩みを不安視している。しかし、これらは経済の課題というよりも構造的な性質であり、FRB の量的緩和や金利政策とは無
縁のものである。
労働参加率の低下は、2008 年-2009 年の大停滞(グレートリセッション)からではなく、それよりずっと前の 2000 年から続いている。
アナリストは様々な理由を述べているが、すべての要因を説明することは容易ではない。労働人口が高齢化してきていることは周知
の事実だ。就業不能者に対する所得補償保険(DI)が改善されたことも一因だろう。加えて、起業家精神が旺盛なミレニアル世代
(Millennials)の出現により、長期雇用が以前に比べて減少していることも要因になり得る。一つだけ確かなのは、金利の水準と労働
参加率の間には因果関係がないということだ。FRB が労働参加率の低下を心配したとしても、それを防ぐために FRB ができることは
何もない。いずれにしても、米国経済は健全なペースで新規雇用を生み出し続けている。
時間あたりの賃金は、コア・インフレ率の上昇ペースを上回っているものの、緩やかな上昇にとどまっている。インフレ調整後の実質
賃金の上昇率は、ごく僅かしかない。この課題は、雇用の構造的変化に由来すると考えられる。問題解決型の仕事が売り手市場に
なっている一方で、単純労働や小売、工場生産といった仕事は世界的な厳しい競争に直面している。考慮すべきことは 2 点ある。
第一に、労働参加率と同じく、時間給の上昇が金利の水準に影響されているとは考えにくい。第二に、時間給の上昇率だけを見る
と、過去 5 年間の米国における賃金総額の増加を過小評価することになる。賃金総額の増加率は、時間あたりの賃金上昇率に加
えて、新規雇用の創出によっても押し上げられる。米国経済では、前者がそれほど大きくない一方で、後者がひときわ健全な成長を
示している。
最後に、FRB はコア・インフレ率の長期目標を 2%としているが、現在の数値はこれを少しだけ下回っている点に留意したい。コア・
インフレ率は過去 20 年間に渡って 0.90%から 2.45%の間で推移しているが、こうした小さな変動が単なるノイズ以上の意味を持た
ないことは、あまり広く理解されていない。1994 年から現在に至るまで、コア・インフレ率はきわめて安定している。IT バブルの発生
と崩壊、住宅バブル、金融危機、そして 5 年以上に渡る量的緩和とゼロ金利政策の期間を経ても、コア・インフレ率はほとんど動い
ていない。FRB にとって重要な点は、現状ではデフレの圧力がなく、彼らが目標とする 2%に近いインフレ率になっていることだ。
ベストケースは、実質 GDP と労働市場の成長が 5 年以上続き、FRB がゼロ金利をはじめとするバーナンキ体制下の緊急政策を打
ち切ってもよいと判断することだ。FOMC のタカ派とハト派の委員は、9 月の会合(またはその直後の会合)で妥協点を見出し、最初
に 0.25%の利上げを行う可能性がある。その後、いくつかの会合をとばして、最終的に 1.5%から 2.0%の金利に落ち着かせると予
想される。そのとき、政策金利はコア・インフレ率と同程度になるだろう。
Putnam 氏のさらなる⾒解やコメントは「cmegroup.com/putnam」をご覧ください。
本レポートに掲載された例は、いずれも状況を仮定的に解釈したものです。あくまで説明のために使⽤しています。 また、本レポートに記載されて
いる⾒解は、著者個人のものです。必ずしも CME グループならびにその関連機関の⾒解ではありません。 本レポートおよびその情報を、投資助
言もしくは実際に市場で経験した結果として受け取らないようにしてください。
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金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
商品概況
ユーロドル先物・オプション
オプションの電子取引が増加
Eurodollar Options ADV and % Electronic



ユーロドル先物は想定元本ベースで一日平均
2.5 兆ドルの取引高を記録。期近 8 限月の取引
は 2014 年第 2 四半期に比べて 12%増となった
160,000
2015 年第 2 四半期のユーロドル・オプションの
一日平均出来高(ADV)は 827,427 枚。取組高
は 6 月限の満期前に 3,140 万枚に到達
100,000
12%
80,000
10%
60,000
8%
6 月は、CME Globex におけるユーロドル・オプ
ションの出来高が 1 日平均 176,000 枚を突破。
2015 年第 2 四半期は、オプションの電子取引比
率が過去最高の 19%となった
140,000
20%
Globex ADV
18%
% Electronic
16%
120,000
14%
6%
40,000
4%
20,000
2%
0
0%
Q1-2014
Q2-2014
Q3-2014
Q4-2014
Q1-2015
Q2-2015
ユーロドル・オプションの取引は四半期とシリア
ル限月に移る

ユーロドル・オプションの取引の増加は、主に四
半期限月によって牽引された(右記グラフの灰
色の棒グラフ)

このことは、利回り曲線の始点に注目する市場
参加者が増えていることを示唆しており、直近の
限月は 2011 年以降で最も活発な取引となって
いる

ミッドカーブ・オプションの取引は引き続き堅調。
2011 年の一日平均出来高(ADV)は 366,000
枚であったが、直近では 500,000 枚以上の
ADV を維持
フェデラルファンド
フェデラルファンドの大口建玉保有者数が増加
傾向

フェデラルファンド先物取引は、過去 12 ヶ月間
で大きく回復

大口建玉保有者数レポートによると、新規の会
社による取引が増加傾向となっている

2015 年におけるオプションの 1 日平均出来高
は 1,400 枚超
1
金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
米国債先物・オプション
現金市場に対する先物の 1 日平均出来高
(ADV)の割合が急増

右のチャートは、過去 10 年間の米国債先物
の想定元本取引高と、現金市場で取引された
米国債の想定元本金額を示している

現金市場に対する先物の取引金額の割合は
上昇し続けており、今年はこれまでのところ
78%に達している
超長期債の先物取引が増加傾向

長期金利に対する見通しをポジションに反映さ
せたいと考える市場参加者の間で、超長期米国
債先物(2010 年に上場)への関心が高まり続け
ている

2015 年第 2 四半期の 1 日平均出来高(ADV)は
115,000 枚。前年比 21%増

第 2 四半期末時点の取組高は 587,000 枚に達
し、前年同期比で 22%の増加となった
米国債週次オプションの 1 日平均出来高(ADV)が過去最高を更新

2015 年第 2 四半期の米国債オプションは、1
日当たり 636,000 枚の出来高となった

特定の経済イベントに合わせて取引することを
望む市場参加者の間で、週次オプションへの
関心が高まり続けている。米国債週次オプショ
ンの 1 日平均出来高は、前年比 86%増の
107,000 枚に到達

7 月 1 日 (水) には 348,899 枚の週次オプショ
ンが取引され、過去最高の 1 日出来高を更新。
この日に取引された米国債オプションのうち、出
来高の 45%を週次オプションが占めた。さらに、
過去最高の取組高(597,000 枚)も同日に記録
した

CME グループの ツールを利用すれば、活発に
取引されている週次オプションを知ることができる
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金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
金利市場の動向とイベント
ユーロドル・バンドルの先物とオプション
CME グループのユーロドル先物との間で、100%の証拠金相殺が可能に
CME のユーロドル・バンドルの先物とオプションは、世界で最も潤沢な流動性を誇る先物市場の中で、ユーロド
ルの長期的なポジションを取引するための優れた運用効率、そして資本効率を実現する手段となります。バンドル
の先物は、2 年物、3 年物、および 5 年物が取引可能で、オプションも同時に上場されます。ユーロドルのバンド
ルには、次のような特長があります。

簡単な運用: 一つの商品項目は 100 万ドルの想定元本に相当し、注文執行が容易

資本効率: 複数の限月が一つの商品項目にまとめられ、証拠金の優遇を受けられる。ユーロドル先物と
の間で 100%の証拠金相殺が可能

シンプルで透明性の高い価格: 平均価格の表示により、直近の利回り水準に近い価格で取引可能

オプション: OTC 商品への効率的な代替商品を提供
ユーロドル・バンドルのツールキットについては、こちらをご参照ください。
追加の情報源

商品概況の説明資料

先物のリファレンスガイド

オプションのリファレンスガイド

過去の価格データ

想定元本に関するレポート

受渡し手順に関するレポート

金利スワップのヘッジに関するレポート
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金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
金利市場の動向とイベント
CBOT の受渡決済金利スワップ先物
資本効率に優れた商品を、清算型スワップのポートフォリオに追加
米国の内国歳入庁(IRS)は、不定期の利払いを伴うスワップ取引における新しい規則を発表し、受渡決済金利ス
ワップ(DSF)を取引する際の税金面での心配はなくなりました。受渡決済金利スワップは、金利取引において最
大級の流動性を誇る指値注文集中板(CLOB)で取引されており、想定元本ベースで 1 日当たり 6 億 4,700 万ド
ルの取引高、および 90 億ドル以上の取組高があります。
受渡決済金利スワップ(DSF)と店頭金利スワップ(IRS)をポートフォリオに融合することで、79%から
85%の証拠金を節約可能
ドル建て DSF 戦略*
別々に清算した
場合の証拠金
CME のポート
フォリオ管理に
よる証拠金
節約された
証拠金
節約額の割合
5 年物 DSF vs 5 年物 IRS
49,138,068
9,918,624
39,219,444
80%
10 年物 DSF vs 10 年物 IRS
48,028,638
7,070,027
40,958,611
85%
30 年物 DSF vs 30 年物 IRS
52,165,783
10,893,739
41,272,044
79%
*ドル建て DSF 戦略の例では、100 万ドルの DV01(1 ベーシス・ポイント当たりのドル価格)を持つ債券(5 年物、10 年物、30
年物)を用いています。
受渡決済金利スワップのメリット

標準化された商品に先物の資本効率が適用され、市場合意クーポンへの受渡しが保証される。

ユーロドル先物と米国債先物に対して、自動的に証拠金相殺が適用される。資本の節約により、市場間
の相対価格戦略が容易となる。

ブロック取引(ロールオーバーを含む)の最低枚数が低く設定されている。
詳しくは、 cmegroup.com/dsf をご覧ください。
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金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
金利市場の動向とイベント
クーポンブレンディングによる月間のポジション圧縮が過去最高を記録
6月には 1.8 兆ドルの想定元本額を削減
CME グループのクーポンブレンディングによる圧縮は、ポートフォリオ内の保有ポジションと想定元本の総額を削
減し、資本の圧迫を心配する多くの顧客にレバレッジのメリットを提供しています。

サービスの開始以来、181,000 の取引が融合され、そのうち 86%が削減された。

総額で約 10 兆ドルの想定元本が削減された。2015 年 6 月には 1.8 兆ドルが削減され、月間の最高額を
記録。
資本の圧迫を和らげ、より効率的な運用を
あなたのポートフォリオに
クーポンブレンディングによるポジション圧縮を利用するには、 こちらをクリックして詳細をご覧ください。
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金利商品の四半期レビュー 2015 年第 2 四半期
金利のリソース
CME Direct は、「EOS Trader」のすべての機能に加えて、ブロック取
引の新機能も搭載
金利の先物、オプション、ブロック取引 ― すべてを一つの画面で
CME Directは、インターネット上で安全に配信されるフロントエンドの取引ツールです。ユーザーは設定を柔軟に
変更することができ、CMEグループの取引の全過程において完全なソリューションを得られます。
• 板情報を含む気配値をリアルタイムで配信
• 複数の口座から迅速に発注・取引が可能
• Globexのすべての注文タイプ、注文期間、注文保護機能をサポート
• ストレート スルー プロセッシング(STP)によるリスク管理は、上場商品とブロック取引に対応
• オプションの「Hyper-fast」機能によってRFQ(気配値要求)を送信し、カバード戦略やスプレッド戦略を
CME Globex上で取引可能
• ユーロドル、米国債、フェデラルファンド、受渡決済金利スワップ先物など、Globexのすべての先物・オ
プション市場にアクセス可能
新着情報: 先物・オプションのブロック取引 - レファレンスガイド
ブロック取引とは、資格を持った二者間で行われる個別交渉の先物取引のことです。ブロック取引を行った当事者
は、記録管理のために CME の清算機関に報告する義務があります。
機関投資家は、ブロック取引の個別交渉を利用することで、適切な資格を持つ選ばれた相手方と先物を取引する
ことができます。CME の中央清算機関(CCP)が提供する金融上の保障を享受しながら、大量の注文を同一価格
で執行したいと考える機関投資家も多いです。
先物のリファレンスガイドを見る
オプションのリファレンスガイドを見る
より詳しい情報:
金利のブロック取引については、cmegroup.com/interestrateblocks をご覧ください。
CME Directについては、cmegroup.com/direct をご覧ください。
商品に関するご質問や、CME Directのデモをご希望のお客様は、[email protected] に
お問い合わせください。
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