陳言コラム-3 中国雑談 20 兆円を超える中国の充電ステーション市場 研究所や大手企業を取材するために、東奔西走の毎日を送っている。このごろ、研究所 などに行くと、駐車場に充電ステーションが設置されていることをよく目にする。日本と 違い、一軒家は大都会では少なく、これでは電気自動車の普及、少なくとも自宅で充電で きないので、あまり進まないのではないかと思ったが、中国では勤め先で電気自動車に充 電する方法を取り、悪くないやり方だ。 「ちょっとお出かけ」できる電気自動車 テスラのような米国電気自動車は、北京ではニューリッチとして自己誇示のシンボルと なっているが、町中に見えるのは、電気オートバイであり、さもなければ、 「老年代歩車」 と称する三輪または四輪の小型電気自動車は、赤信号を無視して道を颯爽と走っていく。 違う風景も現れている。7 月に北京や成都などの都市に限定して発売された知豆 D2 電 気自動車。これは小型の純粋な電気自動車だ。知豆は「微行(ちょっとお出かけ) 」とい う新しい概念を打ち出しており、自転車やバス、地下鉄、ガソリン自動車に続く 5 番目の 外出方式といわれている。知豆車はベンツの Smart より小さく、連続走行距離は 180 キロ に達し、100 キロで 8 キロワット消費する。北京の胡同(横丁)や上海の弄堂(横丁)など の狭い場所を自由に行き来できるため、交通の混み合う大都市では確かに理想的な外出方 式だ。 知豆電気自動車のもう一つの特色は高度なインターネット化で、モバイルや「モノのイ ンターネット=Internet of things(IoT) 」などの技術と融合し、遠隔操作ができること だ。知豆は 60 の新エネルギー自動車実験都市に 400 カ所の体験センターと 2000 カ所のサ ービス拠点を設置した。ちなみに、知豆電気自動車公司は吉利ホールディング集団、新大 洋機電集団などが共同出資して設立した企業である。 通行料ゼロ、駐車料ゼロのエコカー優遇策 通行料ゼロ、駐車料ゼロのエコカー優遇政策があわせて相次いで打ち出されているなか、 北京市民の新エネ自動車購入ブームは昨年末以来ずっと高まっている。 充電施設も急速に増加している。Aastocks(阿思達克)通信社は 7 月 13 日、「自動車 業界の権威ある人物の話」として表題の情報を報じた。計画目標によると、2020 年まで に充電・電池交換ステーションを 1 万 2000 カ所増やし、充電パイル 450 万本を設置する という。中国証券ネットの 7 月 27 日の報道では、国家エネルギー局が作成した「電気自 動車充電インフラガイド」と「充電インフラ整備の意見」はまもなく発表され、同時に電 気自動車充電の国家標準の改訂も推進されるところだという。ある専門家は、2020 年ま でに国内の充電ステーション市場規模は 1 兆元(約 20 兆円)を超えると予測した。 充電スタンドは欧米の CCS 規格にするか 中国における充電スタンドの国家基準の改定作業がほぼ完了し、パブリックコメントを 経て今年 8 月に正式発表される模様だ。 現在、充電スタンドのコネクタ規格は互換性のない二大陣営に分かれている。一つは米 国自動車技術者協会の SAE 規格および欧州自動車工業会の ACEA 規格を基礎とする CCS 規 格で、もう一つは日本電気自動車協会とチャデモ協議会が推奨する CHAdeMO 規格だ。現在、 中国とドイツの間で充電スタンドをめぐる協力が深まっており、中国においては CCS 規格 が今後主流となり、CCS が占める割合が高まっていくと一般世論は見ている。 陳言 日本語日刊紙『速読中国』編集長。 連絡先:[email protected]
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