●[特集]半導体 (1)東レリサーチセンターの半導体分野への取り組み [特集]半導体 (1)東レリサーチセンターの 半導体分野への取り組み 技術開発企画部 杉山 直之 半導体分野の進化と共に進められてきたとも言える。 2014年度の半導体デバイスセミナーでは、 ① 新規導入装置紹介(FIB、TOF-SIMS) 、 ② 新規分析手法(過渡熱測定) 、 ③ 技術開発の深化(分光、SPM) 半導体デバイスの市場規模は、グローバルな観点から という3つの手法的な切り口と、微細デバイス(プロ は、スマートフォン、タブレットにけん引されて、成長 セッサ/メモリ)とパワーデバイスという2つの対象物 を続けている。一方で、日本国内に限れば、半導体分野 からの切り口で弊社の技術開発への取り組みを紹介させ からの撤退が相次いでおり、現在はほぼ半導体メモリと て頂いた。その中でもトピックスとしては、「過渡熱測 パワーデバイス(新材料含む)の2分野に集約されてき 定による実デバイスの熱特性評価」を挙げたい。その理 た感がある。ただし、この2分野における研究開発・生 由として、熱特性の測定は、弊社のデバイスセミナーで 産活動は非常に活発に行われており、分析評価に対する は初めて取り上げた手法であるという点が挙げられる。 ニーズも非常に旺盛である。 パワーデバイスの分野では、デバイスが実装されたパッ 東レリサーチセンターでは、半導体デバイス分野を、 ケージ/モジュールの放熱特性を評価する必要性が高 「機能デバイス」 、 「材料・環境」 、 「医薬・バイオ」分野 まっており、弊社が高分子材料の評価で培ってきた熱特 と並ぶコア事業の一つとしてとらえ、日々お客様のニー 性の評価技術をデバイス分野に応用した一例であり、新 ズ・シーズにお応えさせて頂くための技術開発に取り組 規メニューとして、是非一度お試し頂きたい。 み、さらに積極的な設備投資を行ってきた。 この他にも電気特性評価の手段として水銀プローブ、 こうした半導体デバイスの解析に対する技術開発の進 材料中の微細空孔などを評価する手法として陽電子消滅 捗の発表の場として、毎年5月に「半導体デバイス分析 法などを新たに導入し、半導体デバイス/材料の評価メ セミナー」を開催してきた。今年度でちょうど区切りと ニューの充実に努めている。また、来年度には、微細デ なる10回目を数え、延べ1,000名超のお客様にご来場頂 バイスの評価能力の増強を目的として、球面収差補正装 いたことになる。この場を借りて、ご来場頂いたお客様 置を備えた分析電子顕微鏡の増設も予定している。今後 に感謝の意を表したい。今回の特集号では、2014年度の も継続的に設備投資、技術開発を推進し、高(難)度化 デバイス分析セミナーで発表した内容をベースに各種分 するお客様のニーズ・シーズにお応えすることによっ 析技術の展開について、紹介させて頂く。 て、日本の半導体産業を支援させて頂きたいと考えてい さて、弊社の過去のセミナーで紹介させて頂いた弊社 る。 社員の発表内容を振り返ってみると、対象が半導体デバ イスということもあり、やはりTEM、SIMSに関する発 表例が多い。中でもTEMについては、先端デバイス/パ ワーデバイスに拘わらず、ほぼ毎年技術の進捗を紹介さ ■杉山 直之(すぎやま なおゆき) 技術開発企画部 先端分析推進室 室長 趣味:少年野球のコーチ/観戦 せて頂いている。これは、TEMが現在最も進歩の著しい 手法であるということを反映した結果であり、また半導 体デバイス分野におけるTEM評価の比重が大きくなっ ていることを示すものでもある。 一方、SIMS、IR /ラマン/ PL / CLに代表される 分光法、およびSPM(SCM/SSRM)ついては、半導体 デバイスの評価には欠かせない手法である反面、原理的 な問題から、装置自体の大きなブレークスルーはないも のの、前処理方法の進歩などによって、適用範囲の拡大 が年々図られている。その技術開発に対する進捗を定期 的に報告させて頂いているが、これらの分野は弊社独自 の技術が多く盛り込まれており、お客さまからの関心も 非常に高い。 また、対象となるデバイス・材料分野については、微 細デバイスに限らず、発光デバイス、ワイドギャップ半 導体、新材料(カーボン) 、新構造(MEMS / TSV)な ど幅広い分野について、取り扱ってきたことも特徴であ る。以上のことから、弊社の先端分析技術の技術開発が ・11 東レリサーチセンター The TRC News No.121(Oct.2015)
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