生理的変動について

FAQ(ヘマトロジー)
生理的変動について
Q 血算データの生理的変動要因を教えてください。
A
血算データの生理的変動要因には、大きく以下の3つがあります。
1.日内・日差・季節変動
a)赤血球
日内、日差、季節変動とも5%前後ですが、日内では午前に若干高く、午後減少します。
b)白血球
赤血球数の変動と逆に、朝少なく夕方にかけ増加し、その変動幅は10%です。日差変動は約15%、季節
変動では冬に高く、夏に低い傾向があります。白血球分類の日内変動は、好中球は朝低く、夕方にかけ
て増加した後減少し、リンパ球は夕方から夜にかけて増加、好酸球は昼間に低く、夜から朝にかけて増
加します。
2.食事・運動・生活習慣
a)赤血球
食事の影響は摂取水分量による希釈が考えられますが、食後2時間以上経過すれば影響はなくなります。
運動や発熱による発汗で血液が濃縮するため赤血球は増加しますが、長時間の過激な運動では血管内溶
血が起こり減少することもあります。
喫煙者では一酸化炭素ヘモグロビンが増加するため、代償的に赤血球増加をきたします。
高地に居住している人も酸素濃度の低下に応じて増加します。
b)白血球
高蛋白食後は20~40%増加します。
運動後2時間以内は好中球が辺縁プールから循環血中へ移動し、増加します。
喫煙者ではリンパ球と好中球が増加し、好酸球が減少します。
c)血小板
激しい運動の直後に増加する例が報告されています。
3.採血部位・体位
a)赤血球
毛細管血は赤血球がうっ滞し、水分量が少ないため静脈血より約10%高くなります。
立位では血液濃縮、臥位では血液希釈が起こるため、立位に比べ臥位は約8%低くなります。
b)白血球
毛細管血では静脈血より5~15%多くなります。
c)血小板
一般に毛細管血では静脈血より少なくなります。これは穿刺部位に血小板が粘着凝集するのが一因と考
えられています。
桑島 実.血液一般検査-血液一般検査サンプリングの誤差要因と対策-.臨床病理.1996;103:115-122