遺伝標識と法医学

遺伝標識と法医学
血液型とは?
血液型とは?
 血液の構成成分(赤血球,白血球,血小板,血
清,(赤血球)酵素に由来する.唾液タンパクを
含めることもある.
 いくつかのタイプに分けられる=多型性を示す.
 遺伝する.
 上記の形質をコードするDNAの多型も広い意味で含
まれる.
ABO式血液型の頻度
ABO式血液型の判定法
抗A
++ strong
抗B
抗H
+~++
-
+ , or weak
判定
A
1
++ strong
A2
-
++
+~++
B
++
++
±~+
AB
-
-
+++
O
ABO式血液型の亜型
抗Aとの反応が強いA型はA1型と呼び,抗
Aとの反応が弱いA型はA2型と呼ぶ
普通,A型と呼んでいるのはA1型
A2型をA型の亜型(Subgroup)と呼ぶ
抗Hについて
Heterospecific anti-Oの略
O型と強く反応し,A, B, ABの血球とも
反応する抗体
抗HはふつうUlex,ハリエニシダと呼ば
れる植物のたねの浸出液を使う
これを植物性凝集素または
レクチンという
ABO式血液型の抗原決定基
ABOの血液型を構成する物質
(血液型物質)は糖タンパクあるいは
糖脂質である
抗体と特異的に反応する部分を
抗原決定基と呼び次のような構造である
特異性を決定している遺伝子
O型を構成する物質はO型だけに特有では
ないのでH物質と呼ぶ.
A型はHの構造にNアセチルガラクトサミン
という糖がついた構造で,B型にはガラク
トースが結合した構造である.この糖を
結合させる転移酵素が遺伝する
MN式血液型
MとNの遺伝子は相互に優劣の関係はない
Ss式血液型
Sとsの遺伝子は相互に優劣の関係はない
MN式とSs式血液型抗原を支配する遺伝子は第4番目の染色体上に近接
してその座位をしめており,リンクして遺伝することがわかり,
MNSs式血液型としてひとつにまとめられた
ABO式血液型抗原の分布
臓器,組織
多い-----胃,十二指腸,腎臓,唾液腺,食道
少ない-----脳,脂肪組織,硝子体,水晶体
分泌液,体液
多い-----唾液,精液,胃液,卵巣嚢腫液
唾液中に分泌されるABO式血液型抗原量は遺伝
する
分泌型・非分泌型とルイス式血液
型
ルイス式血液型と分泌型・非分泌型は非常に密接な
関係がある
白血球型(HLA型)
HLA -A, -B, -C座(クラス・抗原)-----有核細胞や血小板,血漿中に分布
HLA-D, -DR, DQ, DP座(クラス・抗原) -----Bリンパ球,活性T細胞単球など一部の細胞
HLAの検査法
HLA -A, -B, -C, -D, -DR, -DQは
リンパ球細胞毒試験
HLA-Dは
混合リンパ球培養試験
DPの抗原は
PLTと呼ばれる検査によって同定される.
またHLA領域の遺伝子についてもDNA タイピ
ングが確立されつつある.
HLAの遺伝と臨床との関連
遺伝----HLA遺伝子は第6番目の常染色体上に
あって,遺伝に優劣は無く,各座の遺伝子が
組合わさって遺伝する.
きわめて多数の対立遺伝子によって支配され,
親子鑑定や卵性診断にはきわめて有用.
臨床との関連---臓器移植の際に組織適合性を
決める重要な血液型.
骨髄移植のときにはA, B, C, DR を
腎移植にはB, DRを合わせる.
またHLA抗原と疾患の遺伝的素因の関連に
ついては,多くの疾患との相関が解析されている.
血清タンパク型
 血清タンパクの多型は電気泳動による移動度
の違いを検出する(Gm等は除く)
 血清タンパクの多型は人類遺伝学だけでなく
疾患との関連を知る上に重要である
 血清タンパクの違いは重い輸血副作用の原因
になることはまれである.