第 33 回日本受精着床学会総会・学術講演会 2015.11.26-27、東京 凍結融解胚移植における Time-lapsemonitoringsystem を使用した移植胚の選択 岡 奈緒、青野展也、小幡隆一郎、奥山紀之、前川紗耶香、小倉友里奈、相良恵里、遠藤舞美、 奥田 剛、竹内 巧、京野廣一 【目的】 凍結融解胚移植において、複数個凍結胚盤胞がある場合、グレードおよび胚盤胞形成日を参考に し、移植胚を選択する場合が多い。しかし、グレードや胚盤胞形成日が同じ場合、どの胚盤胞を 移植胚とするか選択に苦慮する場合がある。 そこで、Time-lapsemonitoringsystem(TLM)を用いて、凍結胚盤胞移植を行った胚盤胞の発 育速度と着床の関係について、また、そのグレードについて後方視的に検討した。 【方法および対象】 2013 年 4 月から 2014 年 10 月までに TLM を行った症例のうち、その後、凍結融解胚盤胞移植を 行った 53 個の胚(40 採卵周期、53 融解胚移植周期)を対象とした。凍結融解胚移植の結果、着 床した胚と着床しなかった胚に分けて検討した。TLM として EmbryoScope を用い、発生速度を観 察した。また Gardner 分類を参考にし、Day5 で 3BB 以上、Day6 で 4BB 以上の胚盤胞を良好胚盤 胞とした。 【結果】 53 個の融解胚移植の結果、23 個が着床(着床率 43.4%)した。着床した胚盤胞では、着床しな かった胚盤胞に比べ 8 細胞期分割完了時間(58.9±8.9hrvs.63.6±10.5hr)以降の成長スピー ドが速くなる傾向があった。また、胚盤胞形成速度は、着床した胚が着床しなかった胚に比べて 有意に速かった(105.6±7.6hrvs.114.1±11.2hr:P<0.01)。着床した胚と着床しなかった胚 の良好胚盤胞の割合は 56.5%、56.3%と差は見られなかった。 【結論】 TLM の普及によって、様々な卵割間の時間や同期性とその後の発育および発育能との関連が研究、 報告されはじめている。今回、8 細胞期以降の成長スピードがより速い胚盤胞は、着床する可能 性が高い胚盤胞であることが示唆された。凍結融解胚移植において複数の胚盤胞がある場合は、 胚盤胞のグレードのみならず、その成長スピードに着目し、スピードの速い胚盤胞を選択する必 要があると考えられる。
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