開発協力大綱の決定

開発協力大綱の決定
経緯
平成27年2月
外務省国際協力局
 1992年 政府開発援助(ODA)大綱の閣議決定 ⇒ 2003年 改定の閣議決定
 2014年3月 岸田外務大臣から,ODA大綱の見直しを発表
“新しい時代を迎え,60年の歴史を積み重ねてきたODAも進化しなければなりません。
そういったことから,ODA大綱を改定することを決定させていただきました。”
 2015年2月 開発協力大綱の閣議決定
背景
 ODAが対峙する開発課題の多様化,複雑化,広範化⇒協力の地平の拡大
(国内格差,持続可能性,ガバナンス,法の支配,中所得国の罠,脆弱性,卒業国の課題)
 途上国の開発にとってのODA以外の資金・活動の役割増大⇒連携の必要性
(民間セクター,NGO,OOF,PKO等との連携)
 グローバル化⇒途上国と共に国際社会の平和,安定,繁栄を作っていく必要性増大
名称変更
ODA大綱
⇓
開発協力大綱
開発協力大綱のポイント

日本の開発協力の理念を明確化
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
⇒ ポスト2015年開発アジェンダに向けて
「質の高い成長」(包摂性,持続可能性,強靱性)と,それを通じた貧困撲滅
=経済成長の基礎(インフラ,人づくり等),脆弱性からの脱却(人間開発,社会開発)
包摂性(格差是正,女性の能力強化,ガバナンス等),持続可能性(環境,気候変動等),強靱性(防災等)
開発の基盤としての普遍的価値の共有,平和・安全な社会の構築
=法の支配,グッドガバナンス,基本的人権,民主化,平和構築,法執行機関の能力強化,テロ対策
特別な脆弱性を抱える卒業国,「中所得国の罠」への対応
触媒としての開発協力
触媒としての開発協力
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
平和国家として,非軍事的協力により世界に貢献(軍事的用途への使用を回避)
人間の安全保障(人間一人ひとりに焦点を当て,その保護と能力強化)
開発途上国と対等なパートナーとして協働
新しい時代の開発協力

⇒ 民間セクター等との連携
官民連携,自治体連携,NGO/市民社会との連携
多様な主体の開発への参画
多様な主体の開発への参画

⇒ 平和国家として,国際社会の平和,安定,繁栄に積極的に貢献
⇒ 包摂的で公正な開発を目指して
女性の参画の促進,社会的弱者等あらゆる主体の開発への参画
開発協力大綱 骨子
1.理念
(1)開発協力の目的
 我が国は,国際社会の平和と安定及び繁栄の確保により一層積極的に貢献する
ことを目的として開発協力を推進する。
 こうした協力を通じて,我が国の平和と安全の維持,更なる繁栄の実現,安定性及び透明性が
高く見通しがつきやすい国際環境の実現,普遍的価値に基づく国際秩序の維持・擁護といった
国益の確保に貢献する。
 ODAは,開発に資する様々な活動の中核として,多様な資金・主体と連携しつつ,様々な力を
動員するための触媒,ひいては国際社会の平和と安定及び繁栄に資する様々な取組を推進す
るための原動力。
(2)基本方針
ア 非軍事的協力による平和と繁栄への貢献


非軍事的協力による世界の平和と繁栄への貢献は,平和国家としての我が国の在り方を体現するも
のとして高い評価を得ている。
今後も,開発協力の軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避するとの原則を遵守しつつ,国際
社会の平和と安定及び繁栄の確保に積極的に貢献。
イ 人間の安全保障の推進



人間の安全保障の考え方は,我が国の開発協力の根本にある指導理念。
脆弱な立場に置かれやすい人々に焦点を当て,その保護と能力強化を通じて,
人間の安全保障の実現に向けた協力を行う。
女性の権利を含む基本的人権の推進に積極的に貢献。
ウ 自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話・協働による自立的発展に向けた協力



開発途上国自身の自発性と自助努力を重視。自立的発展に向けた協力を実施。
人づくりや経済社会インフラ整備,法・制度構築等,自助努力,自立的発展の基礎の構築を重視。
相手国からの要請を待つだけでなく,我が国から積極的に提案を行うことも含め,相手国等との対話・
協働を重視。
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2.重点政策
(1)重点課題
ア 「質の高い成長」とそれを通じた貧困撲滅


脆弱国等には,人道的観点からの支援,脆弱性からの脱却のための支援を実施。
貧困問題の解決には,人づくり,インフラ整備,法・制度構築,そしてこれらによる民間部門の成長等を通じた経済
成長の実現が不可欠。経済成長は,「質の高い成長」(包摂性,持続可能性,強靱性)でなければならず,日本の
経験・知見・技術を活かして,これを支援する。
 この観点から,経済成長の基礎及び原動力の確保並びに基礎的生活を支える
人間中心の開発の推進のための支援等を実施。
イ 普遍的価値の共有,平和で安全な社会の実現


「質の高い成長」による安定的発展の実現のためには,一人ひとりの権利が保障され,人々が安心して経済社
会活動に従事し,社会が公正かつ安定的に運営されることが不可欠。
このような発展の前提となる基盤を強化する観点から,普遍的価値の共有や平和で安定し,安全な社会の実現
のための支援を実施。
 普遍的価値の共有:法の支配の確立,グッドガバナンスの実現,民主化の促進・
定着,女性の権利を含む基本的人権の尊重等
 平和・安定・安全な社会:平和構築,緊急支援(災害救援等),安定・安全への
脅威への対応(海保,テロ,治安維持,国際公共財等)
ウ 地球規模課題への取組を通じた持続可能で強靱な国際社会の構築

地球規模課題は一国のみでは解決し得ない問題であり,ミレニアム開発目標(MDGs)・ポスト2015年開発ア
ジェンダ等の議論を十分に踏まえ,国際社会全体として,持続可能かつ強靱な社会の構築を目指す。
(2)地域別重点方針

世界各地域(ASEAN,南アジア,中央アジア・コーカサス,アフリカ,中東,中・東欧,中南米,大洋州・カリブ)に
対し,その必要性と特性に応じた協力を戦略的,効果的かつ機動的に実施。
 地域統合,地域レベルでの取組,広域開発,連結性強化等の動きを踏まえる。
 開発の進展が見られても様々な開発課題を抱える国々や,一人当たり所得が一定の水準にあっても小島嶼国等
の特別な脆弱性を抱える国々等に対しては,各国の開発ニーズの実態や負担能力に応じて必要な協力を行う。
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3.実施
(1)実施上の原則
ア 効果的・効率的な開発協力推進のための原則
(ア) 戦略性の強化

外交政策に基づき,開発協力方針の策定・目標設定を行う。
ODAとODA以外の資金・協力との連携を図ることで相乗効果を高める。


政策や事業レベルでの評価を実施。結果を政策決定過程に適切にフィードバック。
(イ) 日本の持つ強みを活かした協力

民間等からの提案を積極的に取り入れる。インフラ建設等のハード面のみならず,システム,人づくり,制度づくり等のソフ
ト面の両面で日本の知見と経験を総合的・積極的に活用。
(ウ) 国際的議論への積極的参加
イ 開発協力の適正性確保のための原則
(ア)民主化の定着,法の支配及び基本的人権の保障に係る状況
(イ)軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避
 軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避。非軍事目的の開発協力に軍又は軍籍を有する者が関係する場合には,
実質的意義に着目し,個別具体的に検討。
(ウ)軍事支出,大量破壊兵器・ミサイルの開発製造,武器の輸出入等の状況 (エ)開発に伴う環境・気候変動への影響
(オ)公正性の確保・社会的弱者への配慮 (カ)女性の参画の促進 (キ)不正腐敗の防止 (ク)開発協力関係者の安全配慮
(2)実施体制
ア 政府・実施機関の実施体制整備
イ 連携の強化
(ア)官民連携,自治体連携
 民間部門や地方自治体の資源の取込み,民間部門主導の成長促進により,開発途上
国の経済発展を一層力強く,効果的に推進。日本自身の力強い成長にもつなげる。
 官民連携の推進に当たっては,開発協力が,民間部門が優れた技術・ノウハウや豊富
な資金を開発途上国の課題解決に役立てつつ経済活動を拡大するための触媒としての
機能を果たすよう努める。
 中小企業を含む企業や地方自治体,大学・研究機関等との連携を強化。
(イ)緊急人道支援,国際平和協力における連携
 緊急人道支援のための国際機関やNGO等との連携,PKOとの連携推進に引き続き取り組む。
(ウ)国際機関,地域機関等との連携 (エ)他ドナー・新興国等との連携 (オ)市民社会との連携
ウ 実施基盤の強化
資金的・人的資源等,持続的に開発協力を実施するために必要な基盤を強化すべく,必要な努力を行う。
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(ア)情報公開,国民及び国際社会の理解促進 (イ)開発教育の推進 (ウ)開発協力人材・知的基盤の強化