きじむんの どぅ~ちゅいむにぃ~ 第4回

 どぅ~ちゅいむにぃ~ 第4回
きじむんの
久米村の竜
キーワード:
『遺老説伝』 竜 風水
はいさーい & はいたーい! きじむんやいびー
ん。今月は『遺老説伝』にある、ちょっと怖い竜の
お話を紹介しますよ!
泉崎交差点に行ってみよう!
那覇市の泉崎交差点の歩道橋から、久米大通りと
西消防署通りの間を見下ろすと、竜の顔のような植
込みが作られているのをご存知ですか? 実は、
この付近は琉球王国時代に対中国外交を担った
「久米村」とよばれる地で、竜と深い関わりがあ
る土地なのです。
久米大通り 西消防署通り
泉崎交差点(執筆担当撮影) 久米村の竜 『遺老説伝』には、久米村の竜について次のような説話が載っています。 久米村の南端にある大門(ウフジョー:現在の泉崎交差点近く)の前の土地
は竜の頭であり、街の大通り(久米大通り)は竜身であり、仲島の大石(那覇
バスターミナル近く)は竜珠である。竜は神聖なものであるため、屍をもって
大門を出入りしてはいけない、もし禁を冒せば、竜が怒り、大風を起こし、国
の災いとなる。 仲島の大石(執筆担当撮影) 久米村では、村全体を竜の体に見立てることで土地の気脈(竜脈)の流れを保
っていました。
『遺老説伝』のこの記事によれば、死体を運んで大門を出入りし
てはいけない、もし禁を冒せば竜の怒りに触れ、大風をおこすため、国の災い
になるとされていました。そして、この説を信じない者が死体を運んで大門を
出入りしたことで大風や飢饉などの災害が起きたことが記されています。 久米村と竜:風水 このお話は、風水と大きな関わりを持っています。風水とは、
中国から伝わった思想の一つで、災いを避け幸福を招くために地
相を見ることです。久米村人の中には福建にて風水を学び、風水
師として活躍した人がいました。彼らは、琉球国内の村落内の地
相をみて、
植林や墳墓の移転位置の指示など、
気脈が流れるよう、
よりよい方法をアドバイスしていたのです。島袋源七文庫の『久
米村神山里之子親雲上弐ヶ村風水御見分日記』等は、久米村人の
風水師が羽地間切の真喜屋・稲嶺の二つの村の風水を検分した資
(琉球・沖縄関係貴重資料デジタルアーカイブ
料で、植林(抱護林)や墳墓の移転、家畜の繋留等の具体的な風水
島袋源七文庫 No.2)
判断が記されています。 近世琉球の人々にとって風水は村落の発展や災禍を避ける意味でとても重要なものだったんだ。風水をさらに知りたい貴
方は参考文献を確認してみてね!(CT)
参考文献 :嘉手納宗徳編訳『球陽外伝遺老説傳 原文・読み下し』角川書店,1978、 窪徳忠編『沖縄の風水』平河出版社,1990 琉球大学附属図書館 沖縄資料担当 平成 27 年 7 月 1 日発行