中国教育部国際合作・交流司 劉宝利巡視員(局長級) 第8回中日大学学長フォーラム 開幕式挨拶 (会場記録に基づく参考資料) 尊敬する厦門大学・朱崇実学長、立命館大学・川口清史学長、尊敬する日本文部科学省・ 中岡司審議官、中国と日本の大学の校長、機関の代表の皆さん、またご来場の皆さん、 大家早上好! みなさん、おはようございます!(日本語) 第 8 回中日大学学長フォーラムは、 “中国で最も美しいキャンパス”との誉れを持つ厦 門大学での開催となりました。中国教育部を代表し、今フォーラムの開催に心よりの祝賀 を申し上げます。 「中日大学学長フォーラム」は 2000 年 10 月に初めて東京で開催されて以来、両国でこ れまで 7 回の開催を続け、両国の高等教育交流の重要な場となっております。中日両国の 教育部門の閣僚に見守られ、北京大学と東京大学を初めとする両国の著名大学の積極的な 参加と共同の努力の下、フォーラムは、両国の大学のハイレベル人材の育成、先端科学研 究での協力などを推進するために実務的な協力を重ね、また重要な役割を発揮してまいり ました。 本日、私は皆さんに3つの事柄についてご説明したいと考えております。 まずは、中国の高等教育の発展状況について簡単にご説明します。 教育は国民の福祉に関 わり、国家と民族の希望を背負う分野であります。13 億の人口を抱え発展途上にある私た ちは、国家の近代化を実現し、すばらしい未来を切り開くには、科学技術が要(かなめ) となり、人材が根本となり、教育が基礎となるということを深く認識しております。 高等教育は、科学技術の最初の生産力であり、同時に人材の最初の資源でもあり、国家 の発展において非常に重要な位置と役割とを持っています。中国は一貫して高等教育を経 済社会発展の要点と位置付け、長年にわたるたゆまぬ努力を経て、重要な発展を実現して きました。 第一に、高等教育の大衆化が実現しました。改革開放以来、中国高等教育は、歴史的飛躍 を実現し、 大衆化の段階へと躍進し、 国民が高等教育を受ける機会が大きく拡大しました。 2012 年の中国大陸部の高等教育機関在学者数は 3,325 万人に達し、粗入学率(ある年の高 等教育機関の学生数が当年の 18 歳から 22 歳までの人口に占める割合)は 30%に達しま した。中国の高等教育在学者の総規模は世界一となり、中国はすでに名実ともに高等教育 大国となったということができます。 第二に、 高等教育の質と革新能力の重点的向上に取り組みました。 皆さんもご存知の通り、 高等教育の質を向上させるため、中国は、高等学院・学校を対象とした“211 プロジェク ト”と“985 プロジェクト”を相次いで実施しました。これらの措置により、世界の高等 教育分野でよく知られているように、中国の国家革新体系に対する高等学校の作用はます ます際立ち、経済社会の発展に寄与する能力は大きく高まりました。これら二つのプロジ ェクトの延長と発展として、私たちは 2013 年、もう一つの新たなプロジェクト“2011 計 画” 、すなわち“高等学校革新能力向上計画”を始動いたしました。この計画の目標は、国 家の政策と資金の支援を通じて、研究機関や企業と大学との密接な協力を奨励し、共同で 革新を実現する戦略連盟を打ち立て、資源の共有を促進し、重大な研究プロジェクトの難 関攻略を共同で展開し、カギとなる分野で実質的な成果を挙げることです。 第三に、高等教育の国際競争力が着実に向上しました。中国の高等学校の国際的な知名度 と評価は日増しに高まっております。英紙『タイムズ』が発表した最新の「2013-2014 世 界大学ランキング」では、大陸部の大学 10 校がトップ 400 に選ばれました。中国の上海 交通大学やスイスの IMD ビジネススクールも各自の評価指標に基づいて世界各国の大学 のランキングを作成しておりますが、これによっても中国の高等学校の全体的なランクが 大きく高まりつつあることがわかります。こうしたランキングは大学全体の水準を全面的 に反映するものではありませんが、中国の高等学校の発展状況を客観的に把握するための 参考を私たちに与えてくれるものと言えます。 しかし同時に、私たちは、中国がまだ高等教育強国ではないということをはっきりと認識 しております。中国の高等教育が抱える問題はまだ多く、同じ東アジア地区にある教育強 国日本とはまだ大きな格差があります。21 世紀の新技術革命がもたらすチャレンジに向け て、私たちは今後 10 年の発展目標として以下の目標を掲げています。安定した発展と質 の向上との結合を堅持し、質の向上を重点とする。教育を中心とすることを堅持し、人材 の育成を第一の職務とする。経済社会発展の人材に対する多様なニーズに適応し、特色の ある学校経営の理念とスタイルを形成する。一流の大学と一流の学科の建設を加速し、 2020 年までに、国際的な知名度を持つ一群の高等学校を出現させ、数校の大学では、世界 一流大学に到達もしくは接近した水準を実現する。 次に、中国と日本の教育交流の基本情況について簡単にご説明します。 中日両国の国交正常化以来、とりわけ両国の戦略的互恵関係構築以来、中日両国の各分野 での協力の深みと広がりはかつてない水準へと発展してきました。中国高等教育が発展し、 近代化を実現するためには、国際化が不可欠となります。日本は、中国の最も重要な教育 交流パートナー国の一つであり、両国の教育交流はすでに、中国の教育国際協力と交流の 重要な構成要素となっております。 第一に、1985 年より、中国教育部と日本文部省は、 「中日両国の教育交流に関する会談紀 要――中日教育交流 5 カ年計画」の交換を開始し、教育分野のハイレベル往来を維持し、 教育代表団が頻繁に相互訪問を行って参りました。2012 年 5 月、中国教育部の袁貴仁部 長が日本を訪問した際には、当時の平野博文・文部科学大臣との会合が行われ、両国の今 後しばらくの教育分野での交流と協力の後ろ盾となる枠組みが作られました。 第二に、留学生交流は双方の教育交流の主軸であります。2012 年には中国で学ぶ日本人 留学生数は 2 万 1 千人に達し、世界各国から中国に派遣された留学生のうち第 3 位となり ました(第 1 位は韓国、第 2 位は米国。米国人留学生数は近年急速に成長) 。中国の日本 への留学者数は 10 万人を超え、世界各国の留学生のトップを占めています。 第三に、両国の青少年の交流規模が不断に拡大しています。1999 年から現在までに、中 国教育部を窓口として、中日政府間の青少年交流プロジェクトを通じて、1 万人近い中国 の高校生が日本への訪問を実現しました。両国の若者はお互いへの理解を深め、友情を育 み、さらに良好な社会的効果も生み出しました。 第四に、中国教育部は長年にわたって、日本学術振興会や国際交流基金、電通、東芝など の日本の民間団体や企業などと多層的でさまざまな形式の協力研究や人材育成を行い、長 期的で安定した協力関係を維持してきました。 最後に、未来の中日教育交流に対する期待を申し上げたいと思います。 ここまでご紹介した通り、両国の長期にわたる交流の歴史の中で、主な流れとなっている のが友好ということでございます。しかし河の流れはいつも順調ではなく、逆流もあれば 危険な早瀬もあります。皆さんがご存知の原因で、昨年下半期以来、中日両国の関係は国 交正常化以来の最も厳しい局面を迎えております。最近の世論調査の結果では、中日両国 で相手国に対して好感を抱いていない国民の割合は両国でいずれも 90%を超えたという ことです。しかし同時に私たちは、この調査の中で、 “相手国が重要で、関係を改善する必 要がある”と考えている両国民の割合もまた 70%を超えていたということを無視してはな りません。両国民の感情は大きな影響を受けているけれども、お互いに良好な関係を築い ていくことは十分に重視され、大事に思われているということです。 また同時に、日本在住の中国人留学生の厳俊君が水に落ちた子どもを救った勇敢な行為が 日本社会で強い反響を呼んでいるといううれしいニュースもあります。日本の各メディア はこれに対して肯定的な報道を行い、日本のインターネット利用者もさまざまな形式で厳 俊君に対して敬意を表しているということです。厳俊君の行動は、谷間に落ち込んだ中日 両国の関係にいちるの温かい流れを注ぎこみました。中日間の友好が根本的には両国民の 間の友好にかかっているということを再度証明したできたこととなりました。 中日両国が相互利益と共同発展の道を歩むことは、両国と両国民の根本的利益にかなって いるのみならず、地域と国際社会との共同の期待でもあります。このような困難な時期に こそ、私たちは、両国民の根本利益から出発し、友好という信念を堅持し、両国民の間の 相互理解と信頼の増進に努め、お互いの隔たりと疑いとを解消し、信頼を深めて疑念を取 り除き、相違点はさておきまずは共通点を求め、両国関係をさらに理性的で寛容な社会的 雰囲気の中で発展させていかなければなりません。私の前の皆さんは一人ひとりが両国の 著名人、有識者でいらっしゃいます。皆さんが、両国関係の改善に知恵を与えてくださる ことを、私たちは心から希望しております。 皆さん、秋は、収穫の季節であります。このような季節に開かれた今回の中日大学学長フ ォーラムでは、大きな成果が次々と生まれることになるでしょう。今回のフォーラムをき っかけとして、中国と日本の高等教育の交流協力が新たな段階へと歩みを進め、両国の高 等教育を新たな発展の高みへと率いていくことを信じてやみません。私はまた、日本の各 界の有識者の皆さんが、中日両国が 40 年余りにわたって作り出してきた友好的交流の成 果を重視し、叡智を見せ、力を与えてくださることを心から希望しています。中国の同僚 たちもまた、皆さんとともに努力し、両国の教育分野での交流と協力を推進し、両国民の 相互理解と友情を深めるのに積極的な貢献をしていくことを願っております。 フォーラムの大成功をお祈りして、最後の言葉とさせていただきます。皆さん、ありがと うございました!
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