6.これからの自然と人間との関係はどうあるべきか? 最も基本的なことは、自然があっての人間ではないということである。自然は人間のた めだけに存在するものでもないし、仕組みを変えてきたわけでないということを認識する ことが大事である。当初は自然と人間が一体であったものから、自然を様々な角度から見 るようになって、そこで様々な自然からの恵みを選択するような生活形態を得てきたよう に思われる。しかし、近代経済が進展してくると、自然の恩恵を享受するだけでなく、逆 に自然の懐にまで入っていくような試みさえ見え始め、時には抑制や抑止を試みようとす ることもあった。実際には、ほとんど不可能ではあったが、自然のサイクルを無視したよ うな、一時的な利益を得るためだけの刹那的な行動が頻発するようになった。その一例が、 環境に対する対応というか無視するものであった。自分たちの利益のみを視点になるよう に、相手を無視しての行為は、不利益なものとしてわが身に帰ってくるということに全く 無知であった。これらの行動は、科学技術という狭い空間での一方的な行為で、この行為 があまりも優先的に行われると、自然のサイクルやシステムを量的にも質的にも狂わせる ことになり、そのリスクは顕在化することなく潜在化させるということがある。 今後の我々の活動は、「自然のさま」を理解して、自然のシステムを狂わすような行為は 避けることであるが、今までの学習成果を活用して、賢い生き方を構築しないと永続的な豊 かな地球は続かないと思われる。 ヨハン・W・ゲーテのいう「自然は、常に正しく、誤りはもっぱら私の側にある。自然に 順応することができれば、ことはすべて成就する」のことばは、いまこそ実践すべきである。 今までのもので、復元できるものがあれば、率先して取り組まなければならないし、明らか にマイナスになることがあれば削減に努力しなければならない。 この自然に対する考え方について、様々な視点での取り組みが必要なところであり、身の まわりからリスクマネージメントを実施することが大事である。例えば、自然のエネルギー 資源の活用、地産地消的なライフスタイル、都市機能のコンパクト化などが構想されつつあ るが、最も重要なことは市民が、地域の人々が理解して、実践し、豊かになることである。 社会資本とは何か、一方的な視点だけになっていないか、モノは廃棄まで見通して作ってい るか、誰のために、何のために、負の代償になっていないかなど環境倫理が、ものごとの基 本になる必要がある。 このような自然に対する見方、考え方などの解決能力の醸成の基本は、初期教育から始め て、国民力とならなければならない。そのためには、現状を的確に認識することが大事であ り、フィールドを重要な視点にした教育活動が必要である。そういう意味では、わが国は地 形地質も多様で、周辺が海洋でもあり、気象にもメリハリがあって自然環境を観察する場と して優れていて、それ故に恵みも災害もあるという、いわば博物館のような国土である。加 えて、先進的な科学技術に優れたことも、公害なども経験しているという、正負の教科書を 持っている。自らが学ぶこと、学べるところがあるわけで、世界の国から学びの場として、 観光・教育立国を目指してもよいかもしれない。
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