「開かれた学校と学校支援ボランティア」校長武田義治公立学校は，子供達の通学範囲がある程度固定されており，地域社会と密接な関係を持っています。学区には，母校に愛着と誇りをもっている多くの卒業生をはじめ，学校や子供に対して関心を持たれている方，期待を寄せられる方，「学校の役に立ちたい」と思っている方が少なくありません。登校中の子供達を見守ってくださっているボランティアの方もそうです。学校には時々，地域の方から子供に係る情報や学校に対する意見が入ってきますが，公立学校は地域を支える人材を育てる役割を担っていることから考えると当然のことです。私はこのような地域と学校のつながりこそ，公立学校の強みと考えています。この強みを生かすためには，学校を家庭や地域にしっかり開いていくことが何よりも大切です。学校は現在，参観日の授業や学習発表会等の行事を通して児童の姿をしっかり見ていただくだけでなく，経営方針や様々な教育活動の状況を各種便りやホームページでお知らせしております。同時に，保護者や地域からの意見や要望等を受け止め，改善に生かしているところです。もう一つ，これからも地域と連携した活動として進めていきたいのが，地域の方に支援ボランティアとして学校に入っていただくことです。現在，本校では年間を通じて生活科や総合的な学習の時間を中心に，地域の皆様が時々，いわゆるゲストティーチャーとして活躍しておられます。先日は「三訪会」の皆様に講師になっていただき，全児童が三成地区の史跡を巡る学習を実施しました。また，来年度はクラブ活動に新しく「囲碁・将棋」と「茶道」を取り入れることにしました。地域の方が指南役です。親や先生以外の，地域の歴史や文化に詳しい方や優れた技能をお持ちの方とふれ合うことで，子供達は多くのことを学びます。学校支援ボランティアの方は学校にとっては単なる「人材」ではありません，宝となる「人財」なのです。かつての地域社会は人のつながりが強く，幅広い年齢層の大人や少し年上の先輩が身近にいて，大人になるための学びの機会がたくさんありました。しかし現在，つながりが弱くなり，多様な人間関係の中で子供達が自然に身につけていた「生きる力」が育ちにくくなっています。そんな時代だからこそ，地域の「人財」による教育的効果は計りしれません。ただ，地域と連携した教育活動には，相応の負担がかかります。打ち合わせを行い，ボランティアの思いや学校の意図・目的をお互い理解しておくことが求められます。また，学校という人間形成の場に入っていただく以上，ボランティアの方でも一定の制約やルールを強いることもあります。それでも子供達の学びを豊かにするためには欠かせません。教師がただ知識を伝授する授業ではこと足りなくなっているからです。教師が授業を開き，教室を開き，地域の教育資源を取り入れて学ぶ必要が生じているのです。三成小学校は，地域とともに歩む学校として，地域とのかかわりを強めながら，地域の皆様の力をお借りして学校づくりを進めていきたいと考えています。