地域再生計画(港整備交付金) 事後評価

平成27年2月 鹿児島県・長島町
地域再生計画(港整備交付金) 事後評価
地域再生計画の名称
地域の資源を活かした「安全でゆたかな漁村」づくり計画
地域再生計画の区域
指江港(鹿児島県出水郡長島町)及び蔵之元漁港(鹿児島県出水郡長島町)
地域再生計画の作成主体の名称
鹿児島県,長島町
計画期間
平成17年度∼平成21年度
交付金交付期間
平成17年度∼平成21年度
地域再生計画の取り組みの背景
長島町は,鹿児島県本土の北西部に位置し,西部海岸が東シナ海に,北西部海岸が八代海に面しているという地理的特性を生かし,沿岸漁業や海面養殖漁業などの水産業が盛んな地域である。近年,資源量
の減少傾向が見られ漁獲量,漁獲金額についても減少傾向にあることから,地域をあげて資源の管理及び種苗放流に力を注ぎ,漁場拡大を推進し,漁獲量の増大・漁民所得の向上を図る必要がある。しかしな
がら,指江港は台風時や荒天時において,港内の静穏度が十分に確保されていないことから,安全に係留できず,蔵之元漁港に避難する状況となっている。一方,蔵之元漁港においては係留施設が不足してい
る中で避難船を受け入れている状況である。
地域再生計画の目標
指江港は,鹿児島県が管理する地方港湾であり,砂・砂利を取扱う公共埠頭と漁船等の係留施設があるが,荒天時に港内の静穏度が悪く船舶の係留に支障をきたしている。また,蔵之元漁港は,長島町が管
理する第1種漁港であり,係留施設や用地が不足している。このことから港整備交付金を活用し防波堤,護岸(改良),物揚場,道路,用地等の整備を行い,船舶の安全係留と地域漁民の漁業振興及び生活基
盤の安定を図る。
地域再生基盤強化交付金事業の概要
〔施設の種類(事業区域)事業主体〕指江港 鹿児島県,蔵之元漁港 長島町
〔事業期間〕港湾施設 平成17年度∼平成21年度 , 漁港施設 平成17年度∼平成18年度
〔整備量〕 港湾施設 防波堤,護岸(防波),航路 , 漁港施設 物揚場,護岸,道路,漁港施設用地,泊地
〔事業費〕総事業費 607,000千円(うち交付金 250,500千円)
(内訳)港湾 530,000千円(うち交付金 212,000千円)
漁港 77,000千円(うち交付金
38,500千円)
その他の事業
地域再生法による特別措置を活用するほか,「安全でゆたかな漁村」づくりを達成するため,以下の事業を総合かつ一体的に行うものとする。
①長島町と漁協が共同で行う「栽培漁業事業」を活用し,種苗放流等により水産資源の維持・増大を促進する。
②長島町と漁協が共同で行う「若者交流事業」を活用し,漁業青年の意欲ある担い手育成を促進する。
地域再生計画に記載した目標
目標1 漁業振興
指標
単位
トン
漁獲量
日
目標2 荒天時の避難を減らし効率的な漁業活動を行う 出漁日数
基準値
目標値
実績値
(平成17年度)
(平成21年度)
(平成25年度)
339
370
383
(平成17年度)
(平成21年度)
(平成25年度)
200
230
240
目標達成度
出漁日数の増加,船体補修が減少し,効率的な漁業活動が可能に
なったことから,漁獲量の目標を達成することができた。
港湾,漁港における防波堤,物揚場,護岸等の整備により,避難日数
が減少し,出漁可能日数を増加することができた。
各施設の整備状況写真
指江港 整備状況写真
(交付金対象施設)
(できるだけ漁船が係留されている状況
の写真が良い)
指江港
蔵之元漁港 整備状況写真
(交付金対象施設)
(できるだけ漁船が係留されている状況
の写真が良い)
蔵之元漁港
漁業活動の写真
(指江港または蔵之元漁港での
水揚げ状況等の写真)
蔵之元漁港での水揚げ状
総合評価
地域再生計画の目標である漁獲量については平成25年度で383トンとなっている。交付金事業直後には予期せぬ赤潮被害等による大幅な漁獲量の減少があったものの回復しているところである。また,
指江港を利用している漁船は,港整備交付金を活用した防波堤等の整備により,台風時や冬期風浪等の荒天時に避難する漁船数や船舶同士の接触による船体損傷も大幅に減少することができた。また蔵之元漁
港においても物揚場等の整備が進み,漁船の安全な係留が可能となった。このことにより出漁日数は,平成25年度で240日となり目標を達成した。
今後は整備された港湾や漁港を活かした更なる水産業の振興に努め,「安全で豊かな漁村」をより良いものとする必要がある。