環境バイオテクノロジーの発展と普及 渡邉一哉

環境バイオテクノロジーの発展と普及
渡邉一哉
東京薬科大学
生命科学部
応用生命科学科
Advancing and outreaching environmental biotechnology
Kazuya Watanabe
Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences
環境バイオテクノロジーとは、我々の生活環境の改善に貢献するバイオテクノロジーと定義
される。典型的な例としては、廃水・廃棄物の処理や汚染環境の修復が挙げられるが、これ
らに加えてグリーンエネルギー生産、産業や生活の省エネ化、自然生態系の保全など、幅広
い分野に関連するバイオテクノロジーである。本講演では、演者が関わってきた微生物を用
いた環境バイオテクノロジーを紹介し、その課題や将来展望について述べたい。特に、演者
が近年携わってきた発電菌に関する基礎研究とそれを用いたバイオテクノロジー(微生物燃
料電池や微生物電気合成)の開発について、最近の進捗を紹介したい。また、それらを基に
未来のバイオプロセス(下図)を提案したい。
発電菌を用いた未来の循環型バイオプロセス
少量のエネルギーのインプットで、廃棄物から付加価値のある化学物質を合成
するバイオプロセス。合成された化学物質は社会や産業で使用され、このプロセ
スの原料となる廃棄物として戻ってくる(物質循環系の形成)。