植物由来保健機能成分による脂質 代謝改善、糖尿病予防に関する研究

植物由来保健機能成分による脂質
代謝改善、糖尿病予防に関する研究
和歌山県立医科大学 内科学第一講座
特別研究員
竹島 健
本研究の特徴
和歌山の特産品である梅干に着目し、その生
成過程にできる梅酢の効能についてエビデン
スを確立できる。
肥満、糖尿病など日本人に増加するメタボリッ
ク症候群の項目を検討するため、一般の方に
も興味を引く研究テーマとなっている。
梅酢ポリフェノールなどの脂肪細胞に与える影
響をイメージングを用いて視覚的に評価するこ
とで、一般の方へも分かりやすく効果を伝える
ことができる。
背景
生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)は、
脳梗塞、心筋梗塞などの危険因子として予防が
重要な課題となっている。
生活習慣病の背景には肥満があり、この結果、
メタボリックシンドロームが発症する。
メタボリックシンドロームで動脈硬化症が進行す
る機序に、酸化ストレスとその後に脂肪細胞から
分泌される生理活性物質(アディポカイン)の異
常、炎症の発生が関与が報告されている。
メタボリックシンドローム
不健康な生活習慣
内臓脂肪の蓄積
アディポサイトカイン
高血糖
脂質異常症
高血圧症
動脈硬化
糖尿病合併症
脳卒中、心疾患
脂肪細胞とアディポカイン
アディポネクチン
PAI-1
HB-EGF
レプチン
アンギオテンシ
ノーゲン
高カロリー
運動不足など
成熟脂肪細胞
前駆脂肪細胞
TNF-α
レジスチン
FFA
IL-6
アディプシン
B,C3, H, I因子
プロペルジン
肥大化脂肪細胞
研究目的
梅酢ポリフェノールをはじめとする抗酸化物質
に着目し、これらが脂肪細胞から分泌される
生理活性物質に対し、どのように影響を与える
か検討する。
研究計画概要
初年度:培養脂肪細胞を用いた各種ポリフェノール
誘導体の生理機能スクリーニング
2年目:光イメージング可視化技術による
ポリフェノール誘導体の生理機能の解析
3年目:肥満マウス・糖尿病疾患モデルラットを
用いたポリフェノール誘導体の生体内での
機能解析と有用性の検証
初年度:培養脂肪細胞を用いた各種ポリフェノ
ール誘導体の生理機能スクリーニング
抗酸化機能を有する各種ポリフェノール成分に関して、
培養脂肪細胞を用い、脂肪分化に与える影響、糖代謝、
脂肪蓄積、アディポカイン遺伝子発現に与える影響を検
討する。
各種ポリフェノール
3T3L-1細胞
transfection
ルシフェラーゼベクター
+ アディポサイトカイン
プロモーター
分化誘導
前駆脂肪細胞
肥大化脂肪細胞
2年目:光イメージング可視化技術による
ポリフェノール誘導体の生理機能の解析
ライブセルイメージング法により脂肪細胞分化
過程や成熟脂肪細胞に対する効果について
解析を行う。
<イメージ画像>
抗酸化ポリフェノール・レスベラトロールによる脂肪細胞のアポトーシス誘導
3年目:肥満マウス・糖尿病疾患モデルラット
を用いたポリフェノール誘導体の生体内
での機能解析と有用性の検証
OLETFラットやob/obマウスを用いて化合物を経口
投与した際に培養脂肪細胞と同等の効果がみられ
るか、検討する(糖代謝、脂質代謝への影響解析)。
<イメージ画像>
抗酸化ポリフェノール処理前後における
高度肥満マウスob/obの腹部CT画像と体重変化