博物園スタッフ内で以前から梅雨時期 になると「腐生

自然博物園情報誌『ネットワーク月山』
第132 号
月山学講座「特別編」報告
テーマ:ブナの森における
カビの役割
講師:横山 潤氏
(山形大学准教授)
博物園スタッフ内で以前から梅雨時期
になると「腐生植物はいったい何に寄生
しているのだろう」との会話が続いてい
ました。さらに長岡氏から「ヤドリギが寄生植物といわれるが、実態としては共生なのでは
ないか」などの問題提起がありました。
そんな疑問を解決するための「月山学講座」特別講座が 7/22 に開催されました。
横山先生が力説された語録を紹介します。
「自然界でのカビの役割が分解者として理解されているが、もっと大事なことは植物を育て
るということです。ギンリョウソウやショウキランは勿論のこと、ブナも含めて、ほとん
どの植物は自らの根が菌根菌に包まれ、そのお陰で窒素・リン酸・カリなどの栄養を取り
込める仕組みを創っているのです。カビが関わっていない植物は 2 割もいません」
「カビと植物の関係は 4 億年も前から続いているのです。これは双方がよほどうまい関係
ができていることを示していますが、中にはこの関係がずれて、カビに寄りかかりすぎて
しまった植物が生まれ、その極端な例が腐生植物といわれるものです。腐生植物というと
動物の遺体などを栄養にしている植物のように思われますが、植物でありながら生産者で
なくなり、カビに対して、自ら作り上げた炭水化物を与えることなく、一方的に、ギンリ
ョウソウならベニタケから、オニノヤガラならナラタケから栄養を横取りしてしまう植物
が現れたということです。腐生植物というより菌寄生植物と呼ぶように提唱している所以
です」
「でも森を見る場合に大事なことは、何に寄生しているとか、寄生植物は自然界に何を貢献
しているのか、ということ以上に、ヤドリギも含めて、彼等のよりかかった生活を支え、
養えるだけの余力がある森であると見る
こと。これらが豊富に生息できる森は、そ
れだけ豊かな生態系が維持されていると
いうことなのです」
急な講座でしたが、とてもタイムリー
で楽しい講座になりました。来年は正式
なテーマとして取り上げていきたいと
思います。
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