Fluent ™ 開発の舞台裏

TJ
Fluent ™ 開発の舞台裏
Fluent ラボラトリーオートメーションソリューションの新システムは、従来のアプリケーション本
位のプラットフォームをさらに充実。セルベースアッセイや生化学アッセイのプロトコールを完
全自動化する既存のシステムに化合物の自動管理とアッセイプレート作製の機能を組み合わ
せ、幅広い新規ユーザーに提供する。Fluent ワークステーションの革新的な自動リキッドハ
ンドリング機能の特長について、開発チームのメンバーが詳細を語った。
全に囲いこまれる傾向が高まる中で、サービス作
Fluent プラットフォームには、核心となる独自の
結果、ほぼすべてのモジュールや装置をデッキの
コンセプトがある、とリキッドハンドリング製品およ
上下や周辺に配置し、システムに統合できます。」 業にかかる時間と多忙なラボのダウンタイムが大
幅に短縮されます。」
びアプリケーションチームのマネジャー、Kevin
Moore は述べる。「多くのラボでは、人材不足 「私たちは、全く新しいプラットフォームを設計する
によってアプリケーションを自前で開発する余裕
とともに、Tecan と他社の装置を簡単かつ安定
新しい FluentControl ™ ソフトウェアの開発チー
が失われつつあります。その結果、メーカーが
的に統合するため、電子機器とモーターを管理す
ム責 任 者、Hal Wehrenberg も開 発の背 景を
開発し、バリデーションした『すぐにランできる』 る新たなハードウェアも開発することとなりました。 語った。「私たちはラボの自動化に長年携わり、
これによって個々の装置のスピードと動作を確実
すでに使いやすさと機能性で市場をリードしていま
す。そこで Fluent は、マーケットリーダーである
に制御できるだけでなく、安定性を高め、『ティー
す。そのため企業として『更なる進化への取り組
Freedom EVO® シリーズのオープン構造のワー
チフリー』ハードウェアモジュールを導入し、外
み』ができるのは大いなる喜びです。これはまさ
クステーションが成功したことを踏まえ、最初から
部装置を Zero-G ワンタッチティーチングででセッ
に FluentControl の設計理念です。おそらく最
ソリューションのニーズがますます高まっていま
お客様のアプリケーションを重視したリキッドハンド トアップできるようになります。またメンテナンスも、 大の進化は、日々の研究で生まれるニーズがシス
リングワークステーションの開発を設計コンセプト
装置のセットアップや操作と同じく簡単でなければ
テムプログラマのニーズとは異なる、という事実を
としました。」
なりません。Fluent プラットフォームは、すべての
認識したことでしょう。私たちはこのふたつをともに
メンテナンス作業をシステムの前面で実施できる
重視し、別々のソリューションで直接対応すること
「さまざまな機能を統合して簡単にセットアップでき
よう設計されています。これは瑣末なことと思われ
でどちらのニーズも満たすよう開発を進めました。」
る自動運転機能を確保しつつ、一方で個々のラ
がちですが、リキッドハンドリングプラットフォーム
ボのワークフローに適応する柔軟性を維持するの
がセルベースアッセイなどのアプリケーションに完 「まず、ラボの日常ワークフロー向けに最適化した
はきわめて困難でした。しかし大学や企業の専門
家らの協力を得て、どの Fluent ラボラトリーオー
トメーションソリューションも日常的な作業で抜群
の精度とスループット、自動運転時間を確実に
発揮できるようになりました。」
リキッドハンドリング製品部門のシニアマネジャー、
Bronwen Forster が話を引き継いだ。「これは
実に刺激的なプロジェクトでした。ラボのワーク
フローについて、ごく一般的なサンプルフォーマッ
トから研究の最終段階まで多様な状況を想定し、
これらに対応しました。ハードウェアの面から見た
おもな目標のひとつは、お客様固有のニーズを
満たすシステム構成を簡単に実現し、ニーズが
変化しても特注なしで対応するためのモジュール
化と柔軟性の向上でした。Fluent の Dynamic
Deck ™ は、その一例です。デッキの収容能力
を高め、独自の多次元アクセス方式を採用した
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PRODUCT NEWS TECAN JOURNAL 2/2015
各専門分野からなる Fluent ワークステーションハードウェア開発チーム
TJ
「そのため企業として『更な
る進 化 への 取り組み 』が
できるのは大いなる喜びで
す。」
専用インターフェースの開発から始めました。 ス
することができます。タッチスクリーンは、ユーザー
ています。これは、どのプロトコールにも含まれる
マートフォンやタブレットのデザインをヒントに、直
やアプリケーション別のニーズに合わせて完全に
試薬の分注やサンプルの移動などの操作を実行
感的な操作でメンテナンスやアッセイをセットアッ
カスタマイズすることも可能です。たとえばデッキ
するためのシンプルなプログラミングツールです。
プし、可能な限り簡単に実験をランできるようにし
の画像を取り込むことも、プレートシールの正しい
これらの操作のスクリプトを 1 行ずつ作成すると、
ました。業界全体に普及した標準的なタッチスク
剥がし方などを示す動画を追加することもできま
時にはコードが最大 30 行にもなります。そこで、
リーンのインターフェース-同じコマンドで大きめの
す。」
トを埋め込める特別のコマンドを採用しました。こ 「また一方では、高度な技術を持つユーザーやプ
れは市場を見回しても完全に当社固有のもので
お客様が必要なパラメータを入力するだけで完成
する 1 行のコマンドを導入しました。 高度技術
ボタンを使用-とは異なり、当社は画像やテキス
はまだまだあり、考えうるタスクをほぼすべて実行
ログラマーのニーズも無視することはできません。 できるほどですが、まずは基本的なプロトコールを
しょう。各ラボで SOP を参照しやすいよう1つの
そこで別のプログラム用インターフェースを開発し
迅速に作成できるようにしました。また社内のア
バインダーにまとめることもありますが、このタッ
ました。このインターフェースでは、使いやすさと
プリケーション専門家やベータ版のテスト技術者
チスクリーンを用いると、実行するランに必要な
いうテーマを掲げながら、きわめて画期的な新コ
と緊密に連携し、Smart Commands が一般的
SOP だけを部分的に参照できるようセットアップ
ンセプトのひとつ、Smart Commands も導入し
なレベルのプログラマーだけでなくハイエンドユー
ザーにも役立つことを確認しています。これは興
味深い設計課題でした。しかしこの課題を克服し、
Tecan リキッドハンドリングプラットフォームに求め
られる安定性や柔軟性、性能を維持しながらプ
ログラミングと操作をこれまでになく簡略化したこと
について、大きな達成感を得ています。」
Tecan の Fluent ラボラトリーオートメーションソ
リューションに関する詳 細は、www.tecan.
co.jp/fluent を参照してください。
■この記事は 2015 年 6 月発行 Tecan Journal 2/2015
に掲載されているユーザーストーリーをテカンジャパ
ンが日本語翻訳したものです。翻訳文の表現等に疑義
が生じた場合は、原文をご参照ください。
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