Journal の発刊にあたって - JAILA(日本国際教養学会)

Journal の発刊にあたって
日本国際教養学会(JAILA)も設立以来、早や 4 回目の全国大会を岡山大学にて開催することになりま
した。これを機に会員の皆様の研究の成果を発表する場として Journal を発刊することにいたしました。
これもひとえに会員の皆様のご支援、ご協力の賜物と心より感謝申し上げます。
日本国際教養学会は、研究分野の細分化と専門化が果てしなく続く現在の研究および学会活動の潮流の
中で、真に必要とされる知識と教養を国際的な視野に立って共有することを目的として設立されました。
その成果を Journal に掲載し社会に発信し、貢献していきたいと思っております。
よりグローバル化する社会、複雑化する社会において従来の学問、研究はより細分化、専門化してきま
した。しかし、研究の進歩と人類の明るい未来とは必ずしも符合してないように思われます。世界から大
きな戦いは無くなりましたが、世界中いたるところに争いの種はつきていません。世界は平和な時代を迎
えているとは言え、民族問題から家庭の問題まで種々の火種を抱えています。人口問題は経済学的にも、
環境問題としても大きな問題です。1987 年の世界の人口は 50 億人でした。現在は 70 億人を超え、2050
年には 96 億人になると見込まれています。21 世紀は人類にとって大きなターニングポイントの世紀のよ
うに思われます。環境問題の専門家の中には今後 200 年以内に現在の種の 75%が絶滅危惧種に指定され
ると警告しています。また、より現実的な問題の地球温暖化に関しては IPCC がもはや政治的決断をすべ
き時であるとの報告書を出しています。ある日恐竜が絶滅したように人類がその危機に瀕しないようにと
危惧しています。
トマ・ピケティの『21 世紀の資本』と言う経済学書が全世界で読まれ、その中でアメリカ社会の富の
25%は上位1%の人々によって所有されていると書かれました。それがきっかけで、アメリカで格差社会
反対のデモが引き起こされたと言われています。学問的成果はそれほど社会に大きな影響力を持ちます。
学問がよりいっそう緻密・繊細になるほど人間としての知性・教養とは何かという総合的な知見が重要
になっていくのではないでしょうか。本学会を支えていただいている研究者の方々はいろいろな分野の専
門家です。その研究の成果をこの Journal で発表していただき人類の未来に少しでも貢献できれば
Journal 発刊の意義があるのではないでしょうか。また、若手研究者の方々には新たなる問題を提議する
場としても大いに活用していただきたいと思います。
会長 市川 一夫
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