3. 有害物質が含まれる塗膜の試験方法とその処理

3. 有害物質が含まれる塗膜の試験方法とその処理
( 1 ) 塗装塗替え時における事前調査・・・・事業者は、化学物質の有害性の調査を行い、労働
者の健康障害を防止する措置を講ずる。(安衛法第57条3、特化則第1条)
※ 塗膜には、PCB・鉛・クロムが含まれることがあるので事前に塗膜の有害物質調査を
必ず行う必要があります。
① PCBの試験方法
塗膜にPCBが含まれるかの試験方法は、「低濃度PCB含有廃棄物に関する測定
方法」(第2版)(環境省)の第2章 8 塗膜くず(含有量試験)に明記されています。
この中に厚生省告示第192号(部材採取法)で行い その判定については
0.01㎎/㎏以下(封入していない)となっています。
※ PCB含有廃棄物については、環境省ではなく各都道府県の判断になります。
② 鉛の試験方法
産業廃棄物として鉛を含む特別産業廃棄物かどうかの試験方法は、「産業廃棄物の
検定方法に係る分析操作マニュアル」(環境省 H25年5月)にあるようにJIS K0102 54
の溶出試験で行います。
安衛法の鉛業務に該当するかについての試験方法は、特に明示されていませんが
鉛中毒予防規則でいう労働者への有害物としては、含有量で規定されているので
含有量試験で判定します。
③ クロムの試験方法
安衛法では、「クロム酸及びその塩」として作業環境基準に基準がありますが工事現場
での規制はありません。産業廃棄物としては、「六価クロム又はその化合物」としてJIS
K0102 65.2 の溶出試験によりその基準は1.5㎎/ℓ以下です。
六価クロムは、非常に有害であるため土壌汚染対策法、水質汚濁防止法・排水基準
などでは、厳しく規制されています。
( 2 ) 有害物を含む塗膜の除去作業(1種ケレン)と産業廃棄物の処理
含まれる有害物の種類や量により労働安全衛生法により規制されています。
① PCBが含まれる場合
別紙 『PCBが含まれる塗膜の処理と関連法規』 参照
② 鉛が含まれる場合(含鉛塗料の剥離、かき落とし作業)・・・(濃度や量の規定がない)
安衛法、鉛規則では、下記事項を実施することが義務付けられています。
・事業者は、鉛作業主任者を選任する。
・健康診断を行う(作業従事前と作業終了後に鉛健康診断を実施)
・屋内作業では局所排気装置またはプッシュプル型換気装置を設置する。
・屋内作業では、作業員は、電動ファン付呼吸用保護具を着用し、フィルターを
適切な期間に交換する。
・屋内作業では、他の作業員を隔離する。(立入禁止)
・鉛粉が付着した作業衣は、粉じんを持ち出さないように洗浄を行う。
・手洗い溶液、つめブラシ、石けん及びうがい液の設置
・作業場内での喫煙、飲食の禁止
鉛が含まれる塗膜カスの産業廃棄物
金属を含む産業廃物に係る判定基準により「鉛又はその化合物」が0.3㎎/ℓ以上
の場合には、特別管理産業廃棄物の特定有害鉱さい(鉛)になります。
③ クロムが含まれる場合
金属を含む産業廃物に係る判定基準により「六価クロム化合物」が1.5㎎/ℓ以上
の場合には、特別管理産業廃棄物の特定有害鉱さい(6価クロム)になります。