A 正常呼吸音

28
吸気 ※1
呼気
呼気
29
吸気
▲
▲
▲
正常呼吸音
吸気
kHz
2.0
▲
A
第 3 章 聴診トレーニング−肺音種類別−
▲
第Ⅰ部 実践編
肺音という「音」の情報を、すべてソノグラムという画像で表現しました。
1.0
A. 正常呼吸音
気管呼吸音(成人、頸部)
1
2
3
呼気
4
5
吸気
6
7
呼気
8
9
吸気
10 秒
呼気
▲
▲
▲
▲
o 頸部で広く聴取されるが、特に甲状軟骨の両側および下方部は気管
0
kHz
2.0
▲
1 聴診部位
0
1.0
に近く音圧が強い。
0
10
11
12
13
▲ソノグラム
14
15
16
17
18
19
20 秒
Ave:12
×4
90
60
dB(SPL)
30
2 特徴と発生機序
以上に及ぶ。
o 声門などの上気道、気管、大気管支などで生じる乱流雑音で、吸気、呼気とも非常に強い。
0
20
40
60
80
100 msec
0
1.0
2.0 kHz
Web ▶ 15
気管呼吸音(成人、頸部)、安静呼吸
吸気
呼気
吸気
※2
呼気
▲
▲
▲
kHz
2.0
▲
o 声門は吸気で広く、呼気でやや狭くなるため、呼気でより強くまた高調に聞こえることが
▲
パワースペクトル(※1)
▲
時間軸波形(※1)
o 白色雑音様の音で、肺野で聴取される呼吸音に比較して高い周波数成分が多く、1 〜 2kHz
多い。
o 筋音(呼吸筋の収縮による音;200Hz 以下)の混入が少なく高周波数成分が多いため、吸気
1.0
と呼気が明確に区別される。
o 安静呼吸でも明確に聴取され、前胸部の呼吸音と比較すると、気管呼吸音の音圧は 0.2 〜
0.4kHz で約 10dB、0.4 〜 1.6kHz で約 20dB 強い。そのため呼吸のモニタリングに適し
0
2
3
4
5
呼気
6
7
吸気
8
9
10 秒
呼気
▲
▲
1.0
1
吸気
▲
3 肺音の解析
0
▲
ている。
kHz
2.0
o 安静呼吸、深呼吸ともに、ソノグラム上、1kHz まで比較的均一なスペクトル分布が認めら
れる。
o 流速が増加すると、より高い周波数帯域までその分布が拡大する。
0
10
11
12
13
▲ソノグラム
14
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18
19
20 秒
Ave:13
×4
o 吸気(▶)と呼気(▶)の山の間に大きな谷が認められるのは、この部分でほとんど流速が
60
dB(SPL)
0 になるためである。ちなみに呼吸音の音圧は流速の 2(〜 3)乗に比例する。
30
パワースペクトル(※2)
▲
時間軸波形(※2)
▲
o ※ 1 および※ 2 部分の時間軸波形はいずれも不規則な波形である。
90
0
20
40
60
80
100 msec
0
1.0
2.0 kHz
Web ▶ 16
気管呼吸音(成人、頸部)、深呼吸
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