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20150521
信号処理システム特論
本日の内容
○ マルチレート信号処理
ダウンサンプリング/アップサンプリング
サンプリングレート変換
○ サブバンド信号処理の概要
サンプリングレート変換
f1 でサンプリング
t
f 2 でサンプリング
レート変換
種々のメディアのサンプリング周波数
CD
SACD
DVD-Audio
MP3
WMA
AAC
電話
:44.1kHz
:2.8224MHz
: 44.1/48/88.2/96/176.4/192kHz
: 32/44.1/48kHz
:8/11.025/16/22.05/32/
44.1/48/88.2/96kHz
: 8~96kHz
:8kHz
レート変換システム
D/A
A/D
 一度アナログ信号に戻してから再サンプリング
 D/A, A/Dの非線形性
 量子化誤差
 回路規模の増大
ディジタル
レート変換
システム
 フルディジタル
レート変換システムの要素
ダウンサンプラ
y (m)
x(n)
アップサンプラ
x(n)
y (m)
D
D ごとに1つのデータを取り出す
U
U-1 個のゼロ を挿入
0を挿入
レート変換システムの要素
ダウンサンプラ
y (m)
x(n)
D
D ごとに1つのデータを取り出す
y (m) = x(mD )
アップサンプラ
y (m)
x(n)
U
U-1 個のゼロ を挿入
 x(m / U ),
y ( m) = 
0,
m = Un
otherwise
ダウンサンプラと周波数スペクトル
アナログ
帯域:0~2kHz
1
フーリエ変換
f
0 1 2 3 4 5 6
[kHz]
サンプリングレート
ディジタル
fs =
1
T
1
== 4kHz
T
f
T
ダウンサンプリング
D =2
1
0 1 2 3 4 5 6
[kHz]
f 's =
fs
= 2kHz
D
DT
f
0 1 2 3 4 5 6
エイリアシング
[kHz]
アップサンプラと周波数スペクトル
サンプリングレート
fs =
1
T
1
= 4kHz
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
f 's = Uf s = 8kHz
アップサンプリング
U =2
イメージング
1
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
0を挿入
参考) 離散時間フーリエへ変換
X ( jω ) =
∞
− jωnT
x
(
nT
)
e
∑
n = −∞
デシメーションフィルタ
データを間引く前に
j ωT
アンチエイリアシングフィルタ H L (e ) が必要
サンプリングレート
H L ( e j ωT )
ディジタル
fs =
1
= 4kHz
T
f
T
0 1 2 3 4 5 6
[kHz]
ダウンサンプリング
D=2
1
T
fs
= 2kHz
f 's =
D
f
0 1 2 3 4 5 6
[kHz]
インターポレーションフィルタ
データを増やすには,零点挿入後に
イメージング除去のためのフィルタ H L (e jωT ) が必要
H L ( e j ωT )
f 's = Uf s = 8kHz
イメージング
1
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
0を挿入
イメージングを除去するように
ローパスフィルタを適用
f 's = Uf s = 8kHz
U
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
有理数比のレート変換①
L / M 倍のレート変換
サンプリングレート
fs =
例) 2/3の場合
LPF1
3
1
= 6kHz
T
2
fs =
LPF2
LPF1
LPF2
ダウンサンプリング
アップサンプリング
1
= 4kHz
T
有理数比のレート変換②
L / M 倍のレート変換
サンプリングレート
fs =
例) 2/3の場合
2
LPF1
1
= 6kHz
T
LPF2
fs =
1
= 4kHz
T
3
ダウンサンプル
サップサンプル
+
LPF1
LPF2
有理数比のレート変換
アップサンプリングを先に
LPF1
U
LPF2
D
1つのフィルタで実現できる
LPF
U
D
U , D が互いに素であれば回路は簡略化可
• インターポレ―ションフィルタ(LPF1):H U (z )
• デシメ―ションフィルタ(LPF2): H D (z )
• 共通化したフィルタ(LPF): H (z )
U<D
の場合
H ( z ) = HU ( z ) ⋅ H D ( z )
D >U
の場合
H ( z) = H D ( z)
レート変換のマルチステージ構成
直接構成
x(n)
y (m)
LPF
fs = 10,000 Hz
100
fs = 100 Hz
急峻な特性
≈
45 50
5,000 Hz
マルチステージ構成
x(n)
LPF1
fs = 10,000 Hz
50
LPF2
2
200 Hz
LPF1の特性
y (m)
fs = 100 Hz
LPF2の特性
緩やかな特性
150
≈
45
5,000 Hz
45 50
100 Hz
マルチレート信号処理の応用例①
● サブバンド符号化
M 分割フィルタバンク
各フィルタの振幅特性
【画像データ】
256
●256×256画素,
●各画素8bit(256階調):256=28
(8bit=1byte)
256
データ量
256×256×1byte = 65536 byte
(カラーなら(×3byte))
4K,8K時代の到来で爆発的に情報量は増えている!
Waveletの構成例①
2
2
2
2
2
2
(a) 分析器
Waveletの構成例②
2
+
2
+
2
2
+
2
(b) 合成器
2
マルチレート信号処理の応用例②
● オーバーサンプリングA/D,D/A変換器
普通のレートによるA-D変換
オーバーサンプリングA-D変換
オーバーサンプリングD-A変換
マルチレート信号処理の応用例③
● 周波数シフト
f s = 4kHz
1
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
アップサンプリング ( L = 2 )
イメージング
L
f 's = 8kHz
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
バンドパスやハイパス
フィルタなどでイメー
ジング成分を抽出
L
T
f
0 1 2 3 4 5 6 7 8 [kHz]
サブバンド信号処理の概要
(a)
(b)
(c)
(d)
2 チャネル フィルタバンクの構成
FIR 完全再構成 2 チャネル フィルタバンクの例
スペクトル例
サブバンド信号処理のメリットとデメリット
【メリット】
(1):時間稼ぎ
サンプリング周波数fs=16kHz で2000タップのフィルタリングを行う場合、
2000回の積和演算を1サンプル周期内(62.5us)で処理する必要がある。
サンプリング周波数を落とすことでフィルタのタップ長も減り(fs=8kHzなら1000
タップ)、また125us以内で処理できれば良い。
ただし,低域と広域で処理が必要なので、積和演算数はほとんど変わらない。
⇒ 処理能力の低い計算機でのリアルタイム処理実現,回路の小型化
(2):帯域毎の処理が可能
各帯域の信号やシステムの性質に応じて、帯域毎に異なる処理が可能。
⇒ 処理の効率化や性能向上
(3):スペクトル形状の平坦性の仮定
元の全帯域で見れば平坦でない有色信号、各帯域では白色信号として扱える可能
性がある。
⇒ 適応アルゴリズムなどの収束特性の向上
【デメリット】
他にもメリット多々あり
(1):遅延とメモリの増加
ローパスフィルタでの遅延。⇔ 分割・合成の精度とトレードオフ関係