重要無形文化財保持者(人間国宝) す だ 木工芸 須田 け ん じ 賢司 氏 群馬県甘楽町大字国峰在住 現在、群馬県内では唯一の人間国宝 「木工芸」 豊富な樹種に恵まれた我が国の木工芸は、弥生時代の鉄製工具の普及、古墳時代以後の大陸から の技術者の渡来等によって急速に発展した。特に、正倉院の木工芸品は現代の木工芸にも大きな影 響を与えている。その後、我が国特有の素材を生かした和風化が進み、近代には木工芸の各技術分 野に名匠が現れ、我が国の工芸の重要な一部門として認められるようになった。 木工芸には、指物(さしもの) ・刳物(くりもの) ・彫物(ほりもの) ・挽物(ひきもの) ・曲物(ま げもの)等の技法があり、いずれも長期にわたる入念な工程を経て、素材の特色を生かした制作が 行われている。 昭和 59 年 4 月 9 日に重要無形文化財に指定され、現在、保持者(人間国宝)として6人が認定 されている。 須田氏の概要 そう げつ 昭和 29 年、東京都北区で祖父須田桑月氏の代から続く木工芸家の家に生まれ、昭和 48 年から父・ そう すい 須田利雄(雅号 須田桑翠)に師事して指物を中心とする木工芸の技法を習得し、その後さらに研 鑽を積み、木工芸の技法及びその表現について研究を深めた。また、母方の祖父に漆芸を師事した。 技法の特色は、木工芸の技法のうち、組手等と呼ばれる手法で かえで くろ がき 板を接合し、家具、箱等を造形する指物技法にある。楓 、黒柿、 桑等の国産材のほかフランス産の楓等の特色ある洋材を取り入 れ、これらを効果的に組み合わせて素材の美しさや色彩を生かし こ だん す て用い、金具で連結し内部にも精緻な工夫を凝らした小箪笥等の 楓拭漆小箪笥「碑林玄英」 ぞう がん ふき うるし 独創的な形態を造形しており、象嵌等の装飾や拭 漆 仕上げ、金 具の制作等の全工程を自ら手掛ける。緻密で高度な指物技法を駆使して繊細で個性的な作品を制作 しており、現代的な造形感覚にあふれつつ、雅趣に富み気品を備えた独自の作風を確立している。 日本伝統工芸展鑑査委員を歴任している。 須田賢司氏 略歴 昭和29年 東京都北区に生まれる 昭和48年 父須田桑翠の下で木工芸を学ぶ、外祖父(漆芸家・柴田是眞 曽孫弟子)に 漆芸を学ぶ 昭和50年 伝統工芸新作展、日本伝統工芸展に初入選 昭和54年 社団法人日本工芸会正会員に認定される、以後入選を重ねる 昭和60年 第2回伝統工芸木竹展、文化庁長官賞受賞 平成 4年 工房を甘楽町大字国峰に移転 平成 6年 第41回日本伝統工芸展、奨励賞受賞 平成 7年 英国ヴィクトリア・アルバート美術館「日本の工芸-伝統と前衛-」展招待 出品 イタリア・クレモナ市にて木工家具修復技術を習得 平成11年 NHK主催「日本の工芸・今、50人展」 (パリ)招待出品 平成15年 群馬県総合表彰受賞 日本伝統工芸展50回記念展招待出品 東京国立近代美術館「現代の木工家具」展招待出品 平成16年 仕事風景を天皇皇后両陛下、デンマーク女王、同王配殿下の天覧に供す 平成18年 第53回日本伝統工芸展優秀賞(朝日新聞社賞)受賞 「木の邦に生まれて-木工藝 須田賢司の仕事」vol.1 展(三越本店) 平成20年 第55回日本伝統工芸展特待者、日本工芸会保持者賞受賞、宮内庁買上 平成21年 文化庁より平成20年度文化交流使に使命されニュージーランドにて活動 群馬県立近代美術館主催「群馬の美術 1941-2009」招待出品 平成22年 紫綬褒章受章 東日本伝統工芸展「世界の眼」審査委員特別賞受賞 熱海MOA美術館賞受賞 平成24年 文化庁主催「近・現代工芸の精華」展(フィレンツェ・ピッティ宮)招待 出品 「美術工芸の明日を担う20人」展招待出品(兵庫県立美術館他) 「現代日本の工芸展」招待出品(外務省・文化庁主催 平成25年 米国マイアミ) 「工芸から Kògei へ」日本伝統工芸展第60回記念展招待出品(東京国立近 代美術館工芸館) 「木の邦に生まれて-木工藝 平成26年 須田賢司の仕事」vol.2 展(三越本店) 「美術工芸の明日を担う20人展」招待出品(瀬戸市美術館) 重要無形文化財「木工芸」保持者に認定 甘楽町名誉町民 作品収蔵 東京国立近代美術館、国立富山大学、北海道立旭川美術館、熊本伝統工芸館、 アルゼンチン近代美術館「日本の家」 他
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