東日本大震災後の 被災町村議会の対応について

東日本大震災後の
被災町村議会の対応について
全国町村議会議長会会長
髙 橋 正
我が国に未曾有の災害をもたらした東日本大震災については、発災後 1 年半が経過した
ものの、原子力事故からの回復も手間取っており、復興という面ではようやく緒についた
ばかりの感であります。真の復興はまだまだこれからと思われます。
こうした中、発災後、被災町村議会がどのような活動を行い対応されたかについて、本
会では特に被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県、茨城県の26の町村議会に調査を依
頼し、本年 7 月にその概要を取りまとめたところであります。以下その主な内容についてお
伝えします。
まず、被災後の議会活動としては、JR・道路・農地・漁港等の被災状況の調査を実施、
被災した市町村議会で連絡協議会を組織し協議や要請活動を実施、特別委員会を設置し復
旧・復興やがれき処理等に関する対応策をとりまとめ提言、復旧・復興について国や県に
要請活動を頻繁に実施、町内各団体(社会福祉協議会、漁協、農協、商工会、区長会等)
と会議を開催し緊急要望を町村長あてに提出したことなどが挙げられています。そのほか、
仮設住宅住居者や農林水産業及び商工業の関係者と復興についての意見交換、集団移転場
所や公的施設の設置場所のあり方、防犯体制や防虫体制、ボランティア受け入れ体制、義
捐金の扱い等の検討、災害補償及び賠償に関する勉強会を行うなど、通常の議会活動以外
に幅広く活動したことが挙げられています。
次に、議会として苦労したことについては、議員の安否確認が速やかにできなかったこと、
議員が町外に避難したため招集が困難であったこと、議会開催会場の確保や固定化が難し
かったこと、会議に当たり必要な資機材がなかったこと、各地からの視察の対応に追われ
たこと、避難対策で手一杯であったこと、全国各地に避難している住民の声を集約できな
かったことなどが挙げられています。
また、議員として苦労したことは、議員活動が多忙になり体調を崩す人が多かったこと、
住民感情を考えると本音での議論が難しかったこと、住民から議員の姿が見えないと言っ
た声があったことが挙げられています。
そして、反省点としては、執行部と議員が被害状況、被災住民への支援策等について情
報を共有化する必要があったこと、連絡が困難な災害時においても迅速に議会としての活
動が出来るよう参集する場合の取り決めや活動内容、役割を事前に整理しておく必要があっ
たことなどが挙げられています。
私自身、いつ何時新たな大地震が起きるとも知れない中、平時から議会における大規模
災害を想定した取り組みの必要性を強く感じた次第であり、本会としてもこの調査結果を今
後の町村議会の活動に生かして参りたいと考えております。