神戸市業務継続計画(地震・津波対策編)【概要版】

神戸市業務継続計画(地震・津波対策編)【概要版】
平成 28 年8月
I
3 業務継続計画の効果
神戸市業務継続計画の特徴
災害発生時には、業務量が急激に増加し、それらを迅速
1 神戸市業務継続計画(地震・津波対策編)策定の基本的な考え方
かつ的確に処理しなければならない。業務継続計画を策
定し必要な措置を講じることにより、以下の3つの効果
(1) 業務継続計画策定の目的
が期待できる。
業務継続計画は、災害時に行政自らが被災し、人、物、情報等利用できる資源に制約がある状況下にお
いて、優先的に実施すべき業務を特定するとともに、業務の執行体制や対応手順、継続に必要な資源の確
①業務立ち上げ時間の短縮、
保等をあらかじめ定め、適切な業務執行を行うことを目的とするものである。
②発災直後の業務レベルの向上、
業務レベル100 %超過分
は受援などにより対応
業
務
レ
ベ
ル
(
量
)
【緊急業務】
発災後、市が実施する業務は、
新たに緊急業務が発生することに
より急激に増加
非常時優先業務に
該当する経常業務
【非常時優先業務に該当する経常業務】
発災後も継続する経常業務
(右図:「大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引き」平成
ても、市民の生命・身体及び財産を保護し、市民生活への影響を最小限とすることができるよう、迅速に
28年2月を参考に神戸市版を作成)
災害対応業務を開始するとともに、最低限の行政サービスを維持しつつ、可能なかぎり早期に本市の機能
は「本計画」という)を策定する。
【非常時優先業務以外の経常業務】
発災直後は停止するものの、
1ヶ月以降に再開する
発
災
約2週間
約1ケ月
時間軸
発災後に神戸市が実施する業務の推移
4 業務継続計画の発動
を回復させることを目的として「神戸市業務継続計画(地震・津波対策編)」(以下「業務継続計画」又
非常時優先業務
以外の経常業務
発災後一旦中止するものの、
1ヶ月以内に再開すべき経常業務
③災害対応業務のために必要なマンパワーの確保
阪神・淡路大震災の経験と教訓を踏まえ、大規模な地震等の発生により本市の機能が低下する中にあっ
緊急業務
本計画を発動する時期について次のように設定し、計画を発動した場合には、緊急業務及び市民生活の
維持に必要な優先度の高い経常業務を継続するとともに、不急の業務の休止を行う。
(2) 本計画で対象とする業務
①「市内で震度6弱以上の地震発生」:業務継続計画を自動的に発動する。
① 対象業務
本計画の対象業務は、地域防災計画に記載されている緊急業務(応急対応業務と災害復旧業務)、及び
②「市内で震度5(強・弱)の地震発生」:被害規模によって、災害対策本部本部員会議で検討する。
③その他災害対策本部長が必要と認めたときに発動する。
災害発生時においても継続すべき経常業務とする。この2つの業務を合わせて非常時優先業務とする。
② 対象期間
本計画の対象期間は、経常業務への移行や地域の主要産業の復旧等も考慮し、また受援計画の期間とも
II
被害想定
整合をとり、災害発生後1か月までとする。
本計画では、神戸市地域防災計画を踏まえ「内陸部直下型地震」として兵庫県南部地震を、「海溝型地
2 「神戸市災害受援計画」と整合させた計画
震」として南海トラフ巨大地震を想定する。また、非常時優先業務の遂行に必要な職員の参集が最も困難
阪神・淡路大震災と東日本大震災で受援側及び支援側として双方の経験した本市では、災害発生後の他
であると予想される勤務時間外に発生した場合を想定する。
都市や民間事業者からの「支援」を効果的に生かすために、「支援」の在り方だけでなく、あわせて「受
援」の在り方も表裏一体のものとして考えることが重要であると認識するに至った。これを受けて、今後
III
発生が予想される南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模災害に備え、業務単位で支援を効果的に受入
れるために「神戸市災害受援計画」
『地域防災計画』
(以下「受援計画」という)を、全
緊急業務
国に先駆けて策定した。
『受援計画』
支援を要する緊急業務
・応急対応業務
・災害復旧業務
災害発生により、職員数が限られる状況下にあっても、対応が必要な業務について、全市共通の下記選
定基準にもとづき、各局室区において非常時優先業務として抽出を行った。
優先区分(時間区分)
選定基準(対応すべき主な業務)
第1フェーズ 地震発生から
・市の初動体制を確立するための業務(災害対策本部の確立)
6時間後まで
・人命救助や被災者の支援に係る業務(避難所等の開設・運営)
これらのうち
1か月以内に実施す
る必要のあるもの
計画で定めた災害発生後の緊急業
各部で対応可能な緊急業務
務及び経常業務と整合をとること
(平常時)
で、業務の継続のために最も重要な
経常業務
した。
時間区分ごとの非常時優先業務の選定
非常時優先業務
支援を要する経常業務
本計画の策定に当たっては、受援
人的資源の確保・活用を図るものと
『業務継続計画』
継続すべき
各担当課で対応可能な
経常業務
経常業務
非常時優先業務
第2フェーズ
中止する
経常業務
地域防災計画、受援計画、経常業務と業務継続計画の関係
1
6時間後から
24時間後まで
・人命救助や被災者の支援に係る業務(継続)
・発災後24時間以内に着手しなければ、被災者及び社会経済活
動の維持に重大な影響を及ぼすため、優先して実施する業務
第3フェーズ
24時間後から
72時間後まで
第4フェーズ
72時間後から
1週間後まで
1週間後から
2週間後まで
2週間後から
1カ月後まで
第5フェーズ
第6フェーズ
IV
・人命救助や被災者の支援に係る業務(人命は、72時間が経過
すると生存率が急激に低下するため、このフェーズまでの間は
人命救助に資する業務を最優先する。)
・発災後72時間以内に着手しなければ、被災者及び社会経済活
動の維持に重大な影響を及ぼすため、優先して実施する業務
・遅くとも7日以内に着手しなければ、被災者及び社会経済活動
の維持に重大な影響を及ぼすため、優先して実施する業務
・発災後、1週間を超え1か月以内に、被災者及び社会経済活動
の維持のために実施する業務(特に優先度の高いものは、2週
間までの間に開始する。)
2 業務執行環境の確保
(1)庁舎
・「神戸市耐震改修促進計画」にもとづき、市
有建築物の耐震化の促進に取り組んでいる。
・本庁、区庁舎の代替施設候補を選定している。
・市有施設以外の公共施設、更には民間施設の
利用も含めて代替施設を検討する。
(2)通信手段
(6)非常用電力
・各拠点施設に災害時優先電話等を設置してい ・サーバーやOA機器、災害対応に必要な部屋
る。
に電力が供給されるよう優先順位を明確にす
・情報連絡が重要な拠点施設については、災害時 る。
優先電話回線の増強や他の通信手段の導入を検 ・非常用電源の定期的な試運転の実施と燃料の
討する。
備蓄方法を検討する。
業務継続体制の現状と対応策
1 人的資源の確保
(1) 参集可能人数の現状
神戸市では、時間外に大規模地震が発生した場合、平時の所属に参集する所属動員のほか、指定された
場所に参集する指定動員、最寄りの区役所に参集する直近動員の3種類の参集で、職員が災害対応できる
体制をとっている。これに、阪神・淡路大震災時の参集率をもとに参集人数を算出している。
フェーズ
参集率
(2) 対応策
~6時間
40%
~24時間
40%
~72時間
70%
~1週間
90%
~2週間
90%
(5)資機材・用品等の確保
・消耗品は常に一定の在庫を確保する。
・資器材についても、定期的にメンテナンスを
実施し使用に支障のないように準備をすすめ
る。
~1か月
90%
フェーズ別参集率
①平常時からの備え
○職員の取組として、災害時における職員自身及び家族の安全確保の方策の事前設定、自宅からの参
集手段、参集ルートについての確認等を行う。
○職員調整に関する取組として、職員の安否確認や参集状況の確認方法・手順の確立、他部署や他都
市等からの応援職員を円滑に受け入れるための業務マニュアルを作成する。
○応援職員受入れの事前準備として、受援計画の見直しや拡充を適宜実施する。
V
(3)重要道路
・必要な路線を緊急輸送道路ネットワークとして
指定している。
・平時から災害発生時における道路規制や啓開活
動について、関係機関との連携強化を図る。
(7)執務環境
・什器類の固定に取り組む。
・代替施設や代替スペースの確保について検
討する。
(4)搬送
・緊急輸送拠点運営の各業務について、民間運送
事業者等との協定締結や官民連携による協力体
制を確立する。
(8)食料・飲料水等の備蓄
・各業務に従事する市職員の食料・飲料水や、
仮設トイレ等の備蓄について、全庁的な対応を
推進するとともに、職員個人の備蓄についても
普及啓発を実施する。
業務継続計画の定着に向けて
1 業務継続計画の継続的な改善
本計画は、一定の前提を踏まえて検討・策定したものである。今後、前提条件の変化にも対応しつつ、
訓練や実際の災害対応の経験等を通して、計画の点検・是正を行う業務継続マネジメント(BCM)を推
②初動体制の確立
○勤務時間内に大規模地震が発生した場合、職員は、予め定められた場所で緊急業務を実施する。
○勤務時間外に大規模地震が発生し、全市防災指令第 3 号の自動発令時には、自らや家族の安全を
確保した後、直ちに予め指定された場所へ出動する。
進し、計画の実効性を高めていく。
2 教育・訓練等
③職員の安否確認
○特に初動段階で投入できる職員の概数を把握するため、職員及びその家族の被災状況を確認する。
本市では、既に阪神・淡路大震災の経験・教訓を継承するための職員研修を計画的に実施している。こ
れらの研修プログラムをふまえ、今後業務継続計画の実効性を高めるために必要な研修や訓練を検討し、
④調整
○初動活動期には、災害対策本部は地震直後に参集できた職員によって機能を維持するが、その後参
集した職員の配備をもって機能の強化を図る。
○発災後概ね 72 時間以内は生命の安全確保を第一に対策を講じる時期であるため、異なる部門に応
援配置することが考えられる。
新たに追加・実施していくことが必要である。
⑤応援要請
○応援受入の総合的窓口として受援計画にもとづく「応援受入本部」を設置する。
を策定していることが望ましく、関係機関へのBCPの普及の促進・啓発を行う必要がある。
3 関係機関・協力事業者へのBCPの普及
大規模災害時に本市の業務を円滑に実施するためには、本市だけではなく関係機関、民間事業者もBCP
⑥人的資源の有効活用のために
○職員の健康を維持するために、健康管理及び安全管理の統括を行う。
2