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かかわりの発達心理学
第10回 6月18日
第6章
自分を知り,自分らしさを築く
関わりの中で育まれる自己
 行動のレパートリーが増加
他者からはたらきかけられ
 手段目的関係の理解
「意図」をも
つ
存在
自己
他者
他者にはたらきかけ
「意図」をも
つ
他者
 自分の欲求と相手の欲求とが異なること
 自分と他者とが異なる心的状態をもつ存在であること
 ある心的状態を有するカテゴリーとしての
自己への気づき
自己主張や拒否の意味すること
• 単に,何かを獲得するのみでなく,その過程にお
ける「自分の意図」の実現が求められるようになる
• 「つもり」の実現:世界を思い描く主体としての自己
の明確な現れ
• 「自己としての意識」の明確な現れ
幼児は自己をどうとらえている
のか
入力
感覚記憶
注意
短期記憶
記銘
出力
想記
長期記憶
手続き的記憶
宣言的記憶
エピソード記憶
意味記憶
概念的自己の理解…経験や知識から構成される自己の側面
 周りの人が自分に対して付与した属性語による理解
 物語的な構造をもったものとして理解→そこからの一般的
知識としての理解
早期~前期児童期(3‐4歳)
・全体的自己の理解なし
・目に見える
具体的な内容
単一の表象のみを扱う
“全か無”の思考
視点取得の能力が低い
早期~前期児童期(3‐4歳)
・全体的自己の理解なし
・目に見える
具体的な内容
単一の表象のみを扱う
“全か無”の思考
視点取得の能力が低い
非現実的なまでに
ポジティブ
中期児童期(5‐7歳)
・単一次元上で自分や他
者を理解する
・全体的自己の理解なし
“全か無”の思考
二分法的思考がさかん
非現実的なまでに
ポジティブ
後期児童期(8‐11歳)
・より抽象的な性格用語
での理解
・全体的自己をとらえるよ
うになる
・社会的視点取得が発達
・抽象的レベルでの表象理解
自己知覚が少しずつ
否定的なものになる
早期青年期(13歳くらい)
・全体としての自己の差異化
・状況や人間関係で異なる
色々な自分への気づき
個別の抽象的表象を扱う
抽象的レベルでの
“全か無”の思考、二分法的思考
自己への評価や感情は
場面や状況で変動
中期青年期(15歳くらい)
・状況や人間関係に応じた多
様な自己
・抽象的表象感の比較・検討
・他者からの評価に強い関心
?
抽象化された表象間の比較が可能
自己内の矛盾に気づき始める
「自己の真実性」に
ついての葛藤
ポイント
• □1 赤ちゃんは五感を用いて外界や自分の身体を感知
することや,他者との感情のやりとりを通して,自分に関す
る知識を得ていく。
• □2 幼児期に入り客体的自己意識が獲得されると第I次
反抗期が本格化したり自己意識的感情が生じたリ,自己
の経験を語るようになるなど,子どもの心的世界にさまざま
な変化がもたらされる。
• □3 言葉を話すようになった子どもは,身近な大人と緒に
自分自身や自身が経験したことについて会話することを通
して自己に関する概念を形成し自己理解を深めていく。
• □4 自己制御には「自己主張」と「自己抑制」の2つの側面
があり 自己制御は幼児期をかけて発達していく。また,自
己制御の個人差には, 生まれつきの個性である気質と,
周りの大人が子どもをどう社会化する(しつける)かの両方
が関わっている。
予習課題
• Question 7‐1 *予習課題
• 自分自身の子どもの頃のことを思い出してみよう。何歳頃から,他
者の感情や考えていることがわかるようになったのだろう。また,
何歳頃からうそをつけるようになったのだろう。
• Question 7‐2
• 「心の理論」がない世界を想像してみよう。私たちがお互いに,人
の行動を,欲求や信念といった心の状態と関連づけて考える能力
をもっていない私たちがふだんしていることで,できなくなることは
なんだろうか。
• Question 7‐3 *予習課題
• 私たちは幼い頃から「うそをつくな」と親や教師から指導を受けるも
のである。それでは,本当に「うそをつくことが許されない」とすれ
ば,私たちの日常にどんな不都合が生じるだろうか。
• Question 7‐4
• 共感性には,感情認知と感情共有の2つの側面がある。ここで,も
し,どちらか一方がうまく働かないとしたら,どのようなことが生じる
だろうか。具体例をあげて考えてみよう。