複数の宅建業者が関係する 取引では、重要事項説明は どのように行い

「月刊不動産流通」2014年8月号より転載
vol.379
国土交通省 土地・建設産業局不動産業課
複数の宅建業者が関係する
取引では、重要事項説明は
どのように行いますか?
宅地建物取引業法(以下「業法」という)
た事項に間違いがあれば、売主業者も責任
第35条は、
宅地建物取引業者(以下「業者」
を負うことになります。すなわち、業法上
という)が、宅地または建物の売買等を行
は、売主業者、媒介業者はそれぞれの立場
う場合や宅地または建物の売買等の代理ま
で、業法第35条に規定する重要事項の説明
たは媒介を行う場合には、その売買等の契
義務を負っているわけです。
約が成立するまでの間に、買主等に対して、
しかし、このことは、実際の説明をそれ
その者が取得しようとしている宅地または
ぞれの業者が別々に行わなければならない
建物に関する重要事項について説明する義
ことを意味するわけではありません。すな
務を規定しています。
わち、売主業者と媒介業者両方のために、
これは、宅地建物の買主等が、取引の対
一人の主任者が重要事項説明を行うことに
象となる物件の私法上の権利関係や公法上
より、業法上の義務は果たされると考えら
の制限、取引条件等について、十分知らな
れるからです。また、交付すべき重要事項
いまま契約することによって発生する多く
説明書についても別々に作成しなければな
のトラブルを防止するためです。
らないというものではなく、売主業者と媒介
この重要事項説明は、宅地建物取引主任
業者が一つの書面を作成し、それぞれの取
者(以下「主任者」という)が主任者証を
引主任者が内容の正しいことを確認した上
提示し、
書面(主任者が記名押印したもの)
で当該書面に記名押印することで足ります。
を交付することによって行うこととされて
このことは、媒介業者が複数いる場合、
います。
または代理業者が複数いる場合等において
も同様に考えることができます。いずれの
●複数の業者が取引に関与する場合
場合においても、実際の作業をどの業者が
実際の宅地建物の取引では、複数の業者
行うかに関わらず、業法上の説明義務はす
が取引に関与することがあります。この場
べての業者に等しく課せられるということ
合、当該取引に関係するすべての業者に重
に注意が必要です。
要事項説明を行う義務が課せられていま
す。したがって、自ら売主となる業者が他
消費者の保護を図る上で、重要事項説明
の業者に媒介を依頼した場合において、媒
は業法上最も重要な規定の一つです。業者
介業者が重要事項説明を怠ったときは、売
の皆様におかれては、今後とも業法に則り
主業者および媒介業者の両方が業法第35条
適切に業務を行っていただくようお願いい
に違反します。同様に、媒介業者が説明し
たします。 (文責:大内健太)
68