きりによる穴あけ技能の習得を目指した教材 ・教具について

きりによる穴あけ技能の習得を目指した教材・教具について
谷 口 義 昭・和 田 考 起
(奈良教育大学木材加工研究室)
山 尾 文 夫
(奈良教育大学附属中学校)
Teaching materials to have the skH of driHng a hole into wood
Yoshiaki TANIGUCHI and Takaki WADA
(Wood Working Laboratary, Department of Technological Education, Nara University of Education)
Fumio YAMAO
(Attached Junior High School of Nara University of Education)
要旨:両手を互いに前後運動させて柄を回転し、下方へカを加える、これら2っの作用を同時にしなければならない
きりもみ作業は、未経験者には難しい。近年子どもたちの多くは木工道貝の一つであるきりを使う経験が少なくなり、
正しい使い方がマスターされていない。
本研究は、中学校技術・家庭科のものづくり実習できりによる穴あけ技能を効率的に習得できる方法を開発するこ
とを目的に、技能を数値化して習得を早める方法を提案した。そして、中学生を対象にしてその効果を検討した。そ
の結果、体重計を用いてきりもみ技能を数値化する方法は、きりの左右の振れと前後の振れの程度を小さくでき、技
能を向上させるのに効果的であることを立証した。きりの推進力と振れの関連性を検討した結果、左右の振れが推進
力に大きく影響を及ぼす因子であり、脇を締めてきりもみ作業を行うことによって高い推進力が得られることを裏付
只蝣fiat
キーワード:きりdrill、技能skill、教材・教員teaching material
1.はじめに
と技術の習得を通して、生活と技術の関わりについて
理解を深め、進んで生活を工夫し創造する能力と実践
ものづくり教育の大切さが見直され、学校教育や生
的な態度を育てる。」を掲げ、生活技術・技能の習得
涯学習にものづくりの活動を取り入れる試みがなされ
ている1)2)3)。これには、ものづくりを通して創造力
を目指している。しかしながら、ものづくりの経験の
少ない子どもたちが実習で短時間に技能を習得するこ
や問題解決能力、他と協調する能力の育成、ものの価
とは年々難しくなってきている。さらに新しい学習指
値の再認識など多くの教育的効果が期待されている。
導要領では技術・家庭の授業時間数の削減が示され5) 、
実習作業に割り当てられる時間数が減るため、効率よ
このものづくり教育の見直しの背景には、私たちの
生活において便利な製品が廉価でかつ豊富にあること、
く、確実に技能を習得させる方法が教育現場では強く
欲すれば簡単に手に入ること、故障しても修理をしな
求められている。
い、または修理ができないものが多いこと等、ものに
著者等は今までにげんのうの打撃技能の向上6)、材
対する考え方に変化が生じてきていることがある。一
料の強度7)、くぎの引き抜き力8)を数値で理解する教
方、子ども達の手先は、生活の便利さに反して、不器
材・教具の開発を行い、従来の定性的理解や評価でな
用になったとよく言われる4)。それは、手先を使って
く定量的理解や評価が学習に効果的であることを指摘
ものを作るという経験が乏しくなり、ものを作る技能
してきた。
そこで本研究は、ものづくりの実習作業できりを用
が昔に比べて格段に低下していることからもわかる。
いた穴あけ技能の向上を目指した定量的理解に主眼を
ものづくり教育の一環を担っている中学校技術・家
庭では、その教育目標に「生活に必要な基礎的な知識
おいた教材・教具を開発することを目的とする。なお、
139
谷口 義昭・和田 考起・山尾 文夫
2. 2. 1 実験方法
きりを研究の対象としたのは、今までに指摘されてき
た問題点9)10)と著者等が実際に実習の授業を参観して
気づいた以下の理由からである。
(彰きりの柄をげんのうで打って穴をあける。
②千枚通しのように柄を握る。
③両方の手を互いに前後させて柄を回転できない。
2. 1 で示したように、体重計の上で穴あけ作業
することによって、穴あけに必要な力すなわち推進力
を計測した。また、きりもみ中のきりの振れは、生徒
の前と横にビデオカメラをセットし、作業後再生して
計測した。生徒の前のビデオカメラはきりの左右の振
れを、横のビデオカメラは前後の振れをそれぞれ収録
した。実験の様子を図1に示す。
・ 1回目実験 平成11年12月1日
④振れが大きくて作業中にきりを折損させる。
(昏きりが上方から下方にもめない.
⑥椅子に座ったまま作業をしている。
⑦視点がきり先に向いていない。
きりによる穴あけの方法は全く教示せずに作業を行
わせ、ビデオカメラによる映像データを収集した。こ
のとき体重計の目盛りは被覆した。これを指導前とす
る。その後、きりの上方から下方まで一定の推進力で
もみ、その時の力を体重計の計器をみながら作業させ
た。計器の振れが小さいと良好な穴があくことを説明
した。そして、次回にもう一度きりもみ作業を行うた
2.方 法
2. 1 大学生の穴あけ基礎実験
2. 1. 1使用した木材ときり
穴あけの方向による硬度のばらつきを無くすために、
均質な木材であるレッドラワン材35×35×100mmを用
め、練習しておくように指示した。
・ 2回目実験 平成11年12月8日
生徒は体重計の計器を見ながらきりもみ作業を行っ
児am
きりは、きり身(木材を切削するための刃を有する
た。これを指導後とする。
部分)の長さ40mm、柄の長さ230mmの4つ目きりを用
いた(㈱トップマン製、サイズは「中」に分類されて
いる)。穴あけ深さを一定にするために先端から17mm
の位置にテープで印を付けた。
生徒
2. 1. 2 推進力ときりもみ回数
きりもみ方向へ加える力(以降、推進力とする)を
ビデオカメラ
体重計(精度:0.5kgf)で測定した。レッドラワン材
を両面テープで体重計に張り付け、体重計を見ながら
一定の推進力で17mmの深さまできりもみした回数を計
測した。なお、きりもみ回数は柄の上端から150mmの
位置に印されたところまでの手の移動を1回とした。
[≡]体重計□
推進力を1、 2、 3、 4、 5kgfの5段階に分けてき
りもみ実験を行った。
ビデオカメラ
2. 1. 3 きりもみ時の推進力実験
技術教育に所属する木材加工実習を経験した10名の
学生を対象に、 「体重計の計器を意識しないで通常ど
おりのきりもみ作業を行うこと」という条件で、きり
による穴あけ作業を再現し、そのとききりに加えられ
る推進力を計測した。なお、実験では学生側からは体
重計の目盛りは見えず、観測者だけが見えるように計
器部に遮蔽板を置いた。
図1 きりの振れと推進力の計測方法
2. 2. 2 使用した木材ときり
2. 2. 1 で示した木材およびきりと同様のもの
を用いた。
2. 2. 3 評価のためのデータ収集方法
ビデオカメラで撮影したきりもみ作業の映像から図
2に示すきりの振れを、また体重計からきりの進行方
向の推進力をそれぞれ計測した。
2. 2 中学生の穴あけ実験
生徒の穴あけ技能の現状を把握し、本研究で検討す
る教材・教具の効果をみるために2回に分けて実験を
行った。対象は、奈良教育大学附属中学校第1学年の
うちの1クラス40名(男20名、女20名)であった。生
徒は1回目の実験時には授業でまだきりによる穴あけ
作業は経験していなかった。
3.結果と考察
3. 1 きりによる穴あけの基礎実験
140
きりによる穴あけ技能の習得を目指した教材・教具について
大学生10名を対象にしてきりによる穴あけ作業を行
い、その時のきりの推進力を測定した。その結果、平
均値3.4kgf (標準偏差0.7kgf)であった。図3の推進
力ときりもみ回数の関係から、大学生のきりもみ回数
は約5回であると推測できる。
3. 2 中学生の穴あけ実験
中学生による穴あけ実験のうち、ある生徒の第1回
目の様子を図4に、第2回目の様子を図5に示す。指
導前は前屈した姿勢であり、動作にもぎこちなさが感
じられ、またきりの延長線上に頭部が位置していない
ことから、きりの左右、前後の振れは大きいと推察さ
れる。 -方、指導後は体重計の計器を見ながらきりも
みを行った結果、姿勢および頭部の位置にも大きな改
善がみられた。
1回目のきりの振れのデータと大学生の推進力およ
びきりもみ回数の結果から、中学生の穴あけ実験にお
けるきりの振れと推進力の評価基準を作成した。表1
に示すように、きりの振れと推進力を5段階に区分し
て数値化した。
表1 きりの振れと推進力による評価
図2 きりの振れの計測
3. 1. 1 推進力ときりもみ回数
一定の推進力を加えながら一定の深さまで穴をあけ
るのに必要なきりもみ回数を計測した。その結果を図
3に示す。推進力Ikgfでは、きりもみ当初にきり先
が約5mmまで木材に進入したが、それ以降何回きりも
振れ (mm)
みをしてもきり身は進行しなかった。推進力2kgfで
はきりもみ回数24回で設定の深さ17mmまで穴をあける
ことが可能であり、同様に3kgf、 kgf、 5kgfでは
それぞれ7回、 4回、 3回であった。実験結果から明
らかなように2kgfと3kgf以上できりもみ回数に大
きな差があり、この推進力を境にして木材へきりが進
-
評点
0 - 30
5
- 推進力 (kgf)
評京ll
3 .1 -
31- 4 0
4
2 .5 - 2 .9
4 1- 50
3
2 .0 - 2 .4
51- 70
2
1 .1 - 1 .9
7 1′
}
1
一
、一+0
ちなみに図4と図5に示された生徒の指導前の評価
は、左右の振れ1、前後の振れ1であり、指導後は左
右の振れ4、前後の振れ4、推進力は3であった。
入する現象、すなわちきり先による木材繊維の分離と
きり身による木材の切削力の増大が顕著であると推察
s^l
3. 2. 1 指導前のきりの振れ
指導前のきりの左右の振れと前後の振れの評点の度
数分布を図6に示す。左右の振れでは、評点2が最も
多く、続いて評点3、評点1の順であり、評点4と評
点5は少なかった。前後の振れでは、評点2が最も多
く、評点1を合わせると全体の約88%はこの範囲に分
布し、著しい偏りがみられた。前後の振れで評価が低
いことから、指導前にはきりもみにおいて両手の前後
運動がスムーズに行われていなかったことがわかる。
● 呼
4
L
v
J
ivlMI蝣Iは訟n
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v %&
3. 2. 2 指導後のきりの振れと推進力
指導後のきりの左右の振れと前後の振れの評点の度
数分布を図7に、推進力の度数分布を図8に示す。き
りの左右および前後の振れは、評点4が最も多く、次
に評点3であった。
推進力は評点4が最も多く、評点3、評点5の順で
あった。基礎実験において大学生の推進力の平均値は
3.41krfであった。これを表1の評価表でみると評点
5に分類できることがわかる0 -万、中学生のきりの
0 1 2 3 4 5 6
指導後の左右の振れ評点
図3 きりの推進力ときりもみ回数の関係
3. 1. 2 きりもみ時の推進力試験
141
谷口 義昭・和田 考起・山尾 文夫
図4 第1回目の実験の様子
正面側
横 側
図5 第2回目の実験の様子
本実験では体重計によって作業の数値化が可能であり、
生徒は技能の向上を目指して数値情報をフィードバッ
クして練習を行い、その結果自然と脇を締めての作業
になったと推察される。
推進力の結果から、評点4と評点5が全体の58%を占
め、また15-25回のきりもみ回数に相当する評点3を
入れると約88%の生徒は厚さ17mmまでラワン材に対し
て穴をあけることが可能であるといえる。
今回の実験では動作分析を行なわなかったため、作
業姿勢等の定量分析はできないが、観察者が次のこと
を指摘していた。 -回目のデータ収集の後きりもみを
指導したが、指導には脇を締めて作業を行う項目は無
かったにもかかわらず、指導前に比べて指導後は脇を
締めてきりもみを行う生徒が多くなった。このことは、
3. 2. 3 指導効果
指導前と指導後のきりの左右、前後の振れおよび推
進力の評価をまとめた結果を表2に示す。左右の振れ
では指導後の評点において1.0の増加、前後の振れで
は1.6の増血であった.母平均の差の検定において、
1-12
きりによる穴あけ技能の習得を目指した教材・教具について
表2 指導前と指導後の評価結果
表3 きりの振れと推進力の評価の重回帰分析
指導前 指導後
説明変数
左右の振れ前後の振れ 左右の振れ前後の振れ 推進力
重回帰分析
標準化偏回帰係数 t値
きりの左右の振れ .39 2.17 *
平均値 2.4 1.9 3.4** 3.5 ** 3.7
きりの前後の振れ -.06 0.36
標準偏差 1.1 0.9 1.0 1.1 1.2
重相関係数 .36
決定係数 . 13
*サ:p<OI
自由度修正済み決定係数 .08
回帰式の分散分析P値 2.70
* :pく.05
1 2 3 4 5
1 2 3 4 5
評 点
評 点
(2)きりの前後の振れ
(1)きりの左右の振れ
図6 指導前のきりの振れの評価
20
16
18
14
16
12
14
E12
ォ1-
壷10
8
叫 6
叫
6
4
2
0
亡
* 8
■〃■ m
4
2
事I 蝣
■〃書 題
0
1 2 3 4 5
1 2 3 4 5
評 点
評 点
(2)きりの前後の振れ
(1)きりの左右の振れ
図7 指導後のきりの振れの評価
左右の振れ(t-5.62、 P<.01)および前後の振れ(t9.13、 pく.01)は有意であった。推進力の評点平均値
は3.7であり、図3から推進力値では2.0-2.5kgf、き
りもみ回数では15-25回の範囲であることがわかる。
143
谷口 義昭・和田 考起・山尾 文夫
次に、きりの推進力と左右および前後の振れとの関
連性を検討する。指導後の推進力を目的変数にとり、
指導後のきりの左右の振れと前後の振れを説明変数と
して垂回帰分析を行った。その結果を表3に示す。き
りの左右の振れは標準化偏回帰係数が0.39で有意であっ
相関性の検討を試みた。両者の関係を 図11に示す。
この結果から、両者の間に正の相関性があり(r0.62)、前述のように脇を締めてきりの左右の振れを
小さくすることによって推進力が上昇することがわか
る。
F^^Vj
i
たが(t-2.71、 p<.05)、きりの前後の振れの標準化
偏回帰係数は-0.06で有意でなかった。したがって、
きりの推進力には左右の振れが大きく影響することが
わかる。このことから、きりもみ作業においては、両
手の前後運動に関連する前後の振れをあまりにも気に
しすぎて左右の振れに注意が散漫となり、また脇が甘
くなって左右の方向に大きく振れ、その結果推進力を
下げる原因となることが推察できる。このことは、図
7のきりの左右の振れで評点1や評点2に属する生徒
に言えよう。
a.ォ
ォ
・
m
C
● ●
^EZz>i
M
噸箆岩盤Q)神棚e感嫌狸
n
* +
㌔
(回)点 噸
0 1 2 3 4 5
指導前の左右の振れ評点
00 6
図9 指導前と指導後のきりの左右の振れ
指導前と指導後のきりの左右の振れおよび前後の振
れの関係を検討した。その結果を図9と図10に示す。
図中の斜線は指導前と指導後の評点が1 : 1に対応し、
斜線よりも上側は指導による効果、すなわちきりもみ
技能の向上を意味し、下側は指導効果のないことを意
味している。左右の振れを示す図9において、 3名が
斜線の下側、 28名が上側、 9名が線上にそれぞれ位置
している。指導前に左右の振れが大きいと評価された
評点1および2の多くの生徒が1ランクあるいは2ラ
ンク上昇し、技能の向上がみられた。前後の振れを示
す図10において、指導前の評点5の生徒を除いて他の
生徒は斜線上あるいは上側に位置し、特に2ランク以
上上昇している生徒が22名と過半数以上を占め、指導
による技能の向上に効果があったことが明らかである。
きりの推進力と振れの関係を重回帰分析した表3が
示すように、推進力に及ぼす影響としてきりの左右の
振れが有意であった。そこで、左右の振れと推進力の
**
図8 指導後のきりの左右の振れと推進力の関係
● ′ ●
4 3 2
J サ
評 点
b
噸臨岩盤Q)潜在Q潜妙控
1 2 3 4 5
. > .
㌔
0 1 2 3 4 5
指導前の前後の振れ評点
図10 指導前と指導後のきりの前後の振れ
図3の推進力ときりもみ回数の関係から、推進力の
評点が2の場合穴あけには多くのきりもみ回数が必要
であり、評点1では穴があかないことがわかる。そこ
で、図11において推進力の評点が2以下の生徒5名に
注目する。きりの左右の振れが評点2の生徒は、推進
力の評価も低く、本指導方法では技能向上の効果がな
いことを示している。左右の振れが評点4の生徒は、
振れを気にしすぎて手の前後運動と推進力の組み合わ
せに問題があったことがわかる。
144
きりによる穴あけ技能の習得を目指した教材・教具について
今回の実験に用いた4つ目きりは、板材をくぎで接
作のうちの一つである。しかし、一旦そのコツを覚え
合する際割れを防止するための下穴をあけることを目
ると、きりもみ中の力の強弱、穴あけ角度や探さまで
的としている。したがって、細くて長い四角錘形のき
も推察でき、精度の高い穴あけ加工が可能となる。そ
り身を有し、材質は硬度や耐摩耗性の高い鋼材ででき
こで、近年多くの子どもたちにとって使う経験が少な
ている111。その反面、折れやすいという性質があり、
くなった木工道貝であるきりに注目し、その使い方を
ものづくり実習の授業では大きな問題となる。この折
短時間にマスターする方法を検討した。具体的には、
損に最も影響する因子はきりもみ時のきりの振れであ
体重計の上できりもみ作業を行うことによって、計器
り、振れを小さくして木材への推進力を如何に大きく
を見ながら技能を数値で理解し、それを次の動作にフィー
作用させるかがきりもみの技能向上の秘訣であると考
ドバックすることによって習得を早める方法である。
える。本実験では指導前に10本のきりを準備していた
その結果、本研究で提案した方法は、きりの左右の
が、そのうち実験中に3本の折損が観察された。一方、
振れと前後の振れの程度を小さくし、きりもみ技能を
指導後は折損数がゼロであった。この折損数の差は、
向上させる効果を有することがわかった。また、きり
指導前と指導後のきりの振れに著しい上達が立証され
の推進力と振れの関連性を検討した結果、左右の振れ
た図9と図10の結果を裏付けている。
が推進力に大きく影響を及ぼす因子であることを統計
的に明らかにした。このことは、脇を締めてきりもみ
作業を行うことで高い推進力を得ることになり、ひい
ては効率的な穴あけ技能の習得につながる。
以上から、本研究で提案した教材・教具は、きりも
噸駄馬叫漕
み技能の向上に効果があることがわかった。
引用文献
3
1)日本経済新聞: 「教育 ものづくり体験の場提供」
平成13年12月22日朝刊(2001).
2)経済産業省・厚生労働省・文部科学省: 「製造基
盤白書 製造基盤新世紀に向けて」 pp.96-108、ぎょ
うせい(2001) .
3)文部省: 「生活体験・自然体験が日本の子どもの
0 1 2 3 4 5 6
心をはぐくむ-青少年の生きる力をはぐくむ地域社
会の環境の充実方策について-」生涯学習審議会答
申(1999).
4)矢田員公昭、村越 晃: 「子どもとマスターする
49の生活技術」合同出版(1995).
5)文部省: 「中学校学習指導要領」大蔵省印刷局、
指導後の左右の振れ評点
図11指導後のきりの左右の振れと推進力の関係
本実験は、体重計を用いてきりもみ時の推進力を観
察しながら穴あけ技能の向上を目指すことを研究の目
的とした。そのために、きりの使い方を全く指導しな
いときのデータと体重計を用いた実験後のデータに注
目し、その差を技能向上の効果、さらに本教材・教具
の効果として評価してきた。一方、体重計を用いずに
きりの使い方だけを教示した後のデータを収集しなかっ
たため、体重計を用いずに練習して技能を向上させた
pp. 80-87 (1998).
6)谷口義昭、榎田航介、吉田 誠: 「げんのうによ
る釘打ちに関する研究」 『奈良教育大学教育実践研
究指導センター研究紀要』 No.6、 pp. 59-67 (1997).
7)谷口義昭、水谷克己、小林喜史: 「木材加工用簡
易強度試験法について」 『日本産業技術教育学会
誌』第36巻4号、 pp. 313-318 (1994).
8)谷口義昭: 「木材加工教育におけるいくつかの試
み」 『日本木材加工技術協会誌』第52巻10号、 pp.
効果と体重計を用いた本教材・教具の効果が混在する
結果となり、後者の純粋な技能の向上効果は判別でき
ないという問題が残った。このことについては今後の
検討課題とする。
478-484 (1997).
9)木村 誠二「子どもの工作遊びと技能学習」 『技
4.まとめ
能教授研究会』 pp. 76-80 (1996).
10)竹歳 豊: 「中学校技術科の技能習得過程に関す
る研究-木材加工学習を中心に-」奈良教育大学修
士論文(1995).
ll)歌川 寛、安部栄一、棚木敏幸、谷内 剛: 「機
きりもみ作業は、両手を互いに前後運動させて柄を
回転し、しかも下方に力を加える、これら2っの作用
を同時にしなければならなく、未経験者には難しい動
145
谷口 義昭・和田 考起・山尾 文夫
械材料の実用知識」技術評論社(1983).
Mlう