平成27年度事業計画 平成27年度の我が国経済は、平成26年4月の消費税増税の反動減からプラス成長へ の転換に時間を要しているものの、平成26年10月には大幅な金融緩和が行われ、12 月の総選挙においてアベノミクスの継続方針が確認されたことから、デフレ脱却に向けた 景気回復の動きが顕在化し、企業収益の拡大を賃金上昇、雇用の拡大につなげ、堅調な消 費が更なる企業収益の拡大を促す好循環が徐々に実現して行くものと見込まれる。 住宅取得・不動産投資についても、平成26年4月の消費税増税の反動減と建築コスト の高止まりの影響は継続するものの、消費税率10%への引き上げ時期が平成29年4月 に延期されたことから、雇用・所得環境、企業収益の改善に加え、住宅関係の政策効果等 により、プラス成長に転じることが予想されている。 また、景気回復の動きを持続的な成長につなげるため、平成26年6月に策定された「日 本再興戦略改訂2014」において、日本の立地競争力の更なる強化のための「都市の競 争力向上」へ向けて、東京等の大都市について、創造拠点としての環境整備を推進するほ か、地方においても、都市の集約や地域交通機関網の再構築により、地域間の機能分担や 連携を進め、 「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の形成を推進することとされた。 これらの政策の方向性のもと、国土交通省においては、中古住宅の流通や活用に向けて 不動産取引に必要な情報の集約と消費者への情報提供が適時適切に行えるシステムの検討、 中古住宅の適切な評価手法についての指針策定の検討、ITを活用した重要事項説明の社 会実験の検討などが進められている。 当協会は、これらの政策の具体化にあたり、市場の実情を踏まえた意見具申を行ってい くと共に、良質な中古住宅の増加や少子化、高齢化による消費者ニーズの変化に対応した 税制・金融等の要望活動を推進する。 また、売買契約書等の共通化や買主に提供するマンション管理情報の拡充等について、 他団体・関連業界と協働して推進するとともに、IT化の進展への対応、従業者の教育研 修、消費者への啓発活動等について会員の意見集約に努め、計画的に実施する。 1 Ⅰ.公益目的事業 1.調査研究事業 (1)調査研究 不動産流通の活性化・円滑化等に向けた調査・研究を実施し、その成果を政策提言 等に活用する。 a.「不動産流通業に関する消費者動向調査」 b.「FRK既存住宅流通量推計」 ・・・地域指標(1都3県、中部圏、近畿圏)の算出、全国指標の検証及び 公表 ・・・当協会「不動産流通統計ハンドブック」に掲載 c.「不動産流通市場動向調査」 d.契約書式の共通化 ・・・共通契約書式(東日本不動産流通機構)の検討 e.マンション管理情報の提供の拡充 ・・・「管理に係る重要事項調査報告書」の普及に向けた協議 f.その他 ・・・世界不動産連盟(日本支部)の活動推進 5 月クアラルンプール(マレーシア)で開催の世界総会、9 月ハワイ (米国)で開催のアジア太平洋不動産会議への参加等検討 (2)政策提言 国土交通省における不動産流通促進に向けた検討会等において意見具申を行うと ともに、不動産流通の活性化・円滑化等をめぐる諸情勢を踏まえた各種の提言を 行うことについて検討する。 a.「不動産に係る情報ストックシステム検討会(仮称)」 ・・・一部地域における試行運用と検証、運用上の課題に関する検討 2 b.「ITを活用した重要事項説明等の検証検討会(仮称)」 ・・・社会実験の結果の検証及び運用上の課題等の検討 (3)税制改正要望 a.平成27年度に期限切れとなる各種特例措置の実効性の検証及び延長要望 (主な特例措置) ・居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除制度 ・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除制度 ・特定の居住用財産の買換え特例 ・買取再販事業者により一定の質の向上のための改修工事が行われた中古住宅 を取得した場合に買主に課される登録免許税の軽減措置 ・新築住宅に係る固定資産税の減額措置(マンション 5 年、戸建 3 年)等 b.中古住宅流通促進の観点からの要望の検討 c.平成 29 年度消費税引き上げに向けた対応 (4)金融関連要望 住宅金融支援機構の「フラット35」の金利優遇措置等についての要望検討 (5)法改正等への対応 a.改正犯罪収益移転防止法への対応(ハンドブック改訂等) b.民法改正への対応 c.反社会的勢力排除への取組 d.第二種金融商品取引業における規制への対応 (6)その他 東京都住宅政策審議会(企画部会、マンション部会)における意見具申 2.研究助成事業 不動産流通分野における研究を促進し、その研究成果を政府の政策立案、業界の政策 提言等に活用するため、研究への助成を継続して実施する。あわせて、広く社会に不動 3 産流通への理解を広げていくため、ホームページにて研究成果の公表を行う。 3.消費者啓発事業 消費者の中古住宅流通への関心と不動産取引の知識の向上を図り、不動産流通業界へ の親近感・信頼感を醸成するため、引き続き以下の活動を実施する。 a.「FRK住まいと暮らしのセミナー」 b.ホームページ等を活用した、消費者の不動産取引への理解促進のための情報提 供の拡充 c.動画を活用した「不動産の知識(建築基準法)」の要点解説 4.適正取引推進事業 不動産業者による不当な顧客の誘引を防止し、消費者による自主的かつ合理的な選 択及び不動産業者間の公正な競争を確保するため、以下の活動を実施する。 a.「首都圏不動産公正取引協議会」の構成団体として同協議会の運営に参画し、 同協議会と連携して、不動産取引の公正化と消費者利益の保護を推進 b.「FRK広告マニュアル」を活用した会員への研修及び普及・啓発及びインタ ーネット広告を対象としたマニュアル作成を検討 5.不動産情報交換事業 不動産取引市場について、適正なルールに基づく運営により、消費者からの信頼性 を高める。 a.各地域の「指定流通機構」の構成団体として、機構の運営への参画と、適正なレ インズ利用ルールの徹底を図るとともに、他団体との連携を強化 b.「東日本不動産流通機構」の中期事業計画に沿った業務運営の見直し及びシステ ム改修への協力 ・課金制度の設計、運用基準検討 ・レインズの機能向上(ステータス情報の明示) 4 Ⅱ.共益事業 1.標準書式事業 宅建業法等の法令改正に合わせ、迅速な情報提供と必要な様式改訂を行う。 東日本不動産流通機構による共通契約書式の策定に伴い、FRKとして採用する ほか、同機構事務局と連携の下、不動産業団体間において定着を図る。 マンション管理情報の提供について、取引の実情に関する情報収集や意見交換を 行い、関係団体等による検討に活用する。 2.研修事業 不動産流通業務の高度化により、従業者の育成が益々重要度を増しており、不動 産取引基礎研修・不動産取引実務研修・不動産取引管理者研修を三本柱とした階層 別研修を継続して実施する。 また、法令改正や税制改正など最新の不動産関連情報を迅速かつ的確に伝達する ためのセミナーのほか、平成 26 年度宅建業法改正の趣旨を踏まえ、コンプライアン ス向上等、宅地建物取引士の自己研鑚に資する研修を実施する。 (1)不動産取引基礎研修 入社 1~2 年の営業職を対象とし、 「重要事項説明」 「税務知識」 「資金計画」 「セー ルス実務」「価格査定」等 (2)不動産取引実務研修 入社 5 年以上の営業職を対象とし、 「法律」 「税務」を中心として、 「重要事項説明」 「建物診断」 「トラブル防止」 「不動産広告の規制」 「リフォーム」 「賃貸仲介」 「競売 不動産」「登記実務」「価格査定」「不動産信託受益権取引」等 (3)不動産取引管理者研修 営業管理職を対象とし、リーダーシップ、マネジメント等を内容として実施 (4)その他の研修 法令改正や税制改正など最新の不動産関連情報を迅速かつ的確に伝達するため 5 の説明会等を実施する。 3.インターネット事業(ホームナビ事業) 不動産物件情報を幅広く消費者に提供するため、提携サイトとの関係を維持しつつ、 掲載画像増加、掲載エラー減少等の改善要望を継続的に行う。 ポータルサイト(ホームナビ)については、情報化の進展に伴い一定の役割を終え たことから、現行システムの保守期限(平成 27 年 6 月)を以て閉鎖し、一方、会員ニ ーズの高い提携サイトへの無償情報提供について事業を継続するため、情報提供ハブ 機能に特化した次期システムの開発、運用を行う。 次期システム稼働にあわせて、「インターネット運営規程」「インターネット運営規 程の運用基準」の見直しを行う。 また、会員各社から提携サイトへの直接の無償掲載について、次期システム稼働後 も、継続的に交渉を行う。 4.会員交流及び情報交換事業 事業委員会一般仲介部会・法人仲介部会・新築部会・金融商品部会等を活用し、会 員間の交流及び情報交換を支援する。 Ⅲ.支部活動及び協会運営 1.支部活動 各地域の流通機構構成団体として、各流通機構の運営に協力する。 また、地域における活動を支援し、本部・支部連携のもと支部における会員間交 流を促進する。その他の主要な事業計画は以下の通り。 (1)北海道支部 北海道不動産公正取引協議会の加盟団体としての広告研修、違反広告撤去活動 (2)東北支部 a.東北地区不動産公正取引協議会の加盟団体としての広告研修、違反広告撤去活動 6 b.宮城県不動産流通協議会として他団体との共催による一般市民型講演会の開催 (3)中部支部 a.不動産取引実務研修の実施 b.中部地区他団体との共催による税制改正説明会等各種セミナーの開催 (4)近畿支部 a.不動産取引実務研修及び国土交通省とタイアップしての研修会・意見交換会 の実施 b.マスメディア・国土交通省とタイアップした消費者向け不動産セミナーの開催 c.不動産コンサルティング近畿ブロック協議会活動への参画及び不動産コンサル ティング技能に関する研修会の受講者とりまとめ d.関西不動産関連団体協議会等を通じての政策提言・要望活動への参画 (5)中四国支部 広島県不動産警察連絡協議会活動への参画 (6)九州支部 a.九州不動産公正取引協議会の加盟団体としての活動 b.福岡県不動産コンサルティング協議会活動への参画 2.協会運営 一般社団・財団法人法に基づく公益目的支出計画の実施等、的確な事業運営を行う。 会員各社への迅速な情報提供、事務局及び会員各社相互の連絡事務の効率化へ向け、 電子メールの活用促進のほか、協会ホームページ及び会員サイトの見直しを行う。 以上 7
© Copyright 2024 ExpyDoc