物流センターにおける ピッキング業務の設計と改善 ピッキング業務とは 顧客からのオーダーに基づいて、保管場所から商品を選定し、出荷箱やオ リコン(折りたたみコンテナ)などの通い箱に商品を投入するまでの一連の作業をいいます。このピッキング業 務は物流センターの業務において、もっともコストがかかります。全運用コスト中、約50%を占めているといわ れています。またピッキング業務は絶対に間違いが許されない業務でもあります。出荷先に間違った商品が届 いた場合、クレームや返品などで大変なことになるからです。また必ず時間内に終了させなくてはなりません。 納品の遅延につながるからです。ですから、ピッキング業務は物流センターの中でも最重要業務に位置づけら れています。当研究室では、ピッキング業務における無駄を削減するため、「ピッキング方式の選択」、「棚のレ イアウトと通行方法の決定」、「商品ロケーションの決定」などの研究を行っています。 ピッキング方式の選択 棚レイアウトと通行方法の決定 ピッキング方式(ピッキングのやり方) は、大きく「摘み取り方式」と「種まき方 式」に分けられます。摘み取り方式は、 オーダー別(顧客別)に商品を集品す る方法です。種まき方式は商品ごとに オーダーの総数をいったん集め、次に オーダー別に商品を配分する方法で す。どちらを選択するかは、オーダー 数(顧客数)や商品数やピッキングリス トの行数などにより異なります。その基 準を明らかにするため、検討を行って います。 関連研究(3)を参考 ピッキング現場で、商品を保管する棚をどのように置くか、通路を一 方通行とするか、双方向通行とするかを検討しています。うまく設計 しないと、回りこむ移動が生じ、作業時間が伸びます。物流シミュレー ション等を用いて、その最適な方法の検討を行っています。 関連研究(1), (4)を参考 棚横置き 棚縦置き E: オーダー数(顧客数) I: 商品数 L: ピッキングリストの行数 E, I, Lの大小関係 望ましい ピッキング方式 E≪I≒L 摘み取り方式 E<I=L 商品ロケーションの決定 棚とピッキングする商品 一方通行の通路 双方向通行の通路 ピッキングの経路 ピッキングの開始・終了位置 適切な商品ロケーション(種々の商品の置き場所)は、ピッキングの 移動距離を短縮するポイントの1つです。例えば、よく出荷される商品 をピッキングの開始・終了位置の近くに、さらに同時に注文されてい る商品を同じ通路に配置します。これを注文データ等の統計分析か ら判断する方法について検討を行っています。 関連研究(2)を参考 I≦E≦L (E=I=L除く) E=I=L 種まき方式 現状 同じ ※前提条件:ピッキングの開始・終 了位置と商品の距離は商品間の距 離より長い 改善後 通路① 通路② 通路③ 通路④ 通路⑤ 通路⑥ 通路⑦ 通行回数 29以下 30~49 50~69 70以上 ピッキングの 開始・終了位置 関連研究一覧 ピッキング業務の設計と改善に関する研究 (1) レイアウトシミュレーションによるピッキング場設計支援, 2007年 (2) ピッキング作業の改善のための注文データから見た商品ロケーションの決定方法, 2011年 (3) 注文データに基づくピッキング方式の選定に関する研究, 2013年 (4) バッチピッキングにおけるピッキング場レイアウトの設計に関する研究, 2014年 「黒川研究室」で検索!<http://lse6.u.e.kaiyodai.ac.jp/index.html> 流通情報工学科 黒川研究室
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