第 25 回記念福岡シンポジウム Poster 発表応募用紙 様々な外部刺激に応答した蛍光性分子の合成とその光物性 Preparations and Photophysical Properties of Fluorescent Molecules in Response to Various External Stimuli 萩原隆介、唐澤 悟、古賀 登(九州大学大学院薬学研究院) 我々の研究室では、Donor-Acceptor 型の蛍光分子を合成し、様々な外部刺激に対して応答した光 物性と構造変化について研究を行っている。これまで 1,3-ジアミノベンゼン(又はピリジン)を出 発物質とし、Combes quinoline 合成、Buchwald-Hartwig cross coupling によりキノリン誘導体及びジ ナフチリジン誘導体を合成し、結晶加熱相転移による構造と発光変化について報告してきた。1) 今 回、新規キノリン及びナフチリジン誘導体において、1)キノリン誘導体におけるメカノクロミズ ムと2)発光変化を伴ったジナフチリジン誘導体の光反応について詳細に検討を行った。 1)キノリン誘導体におけるメカノクロミズム キノリン誘導体 1 は結晶融解後、室温付近 で過冷却 (SCL)を示し、この SCL 状態に機械的刺激(スクラッチ)を与えることで、その部分の みが結晶化する。SCL 状態と結晶状態によって蛍光の波長と強度が変化することから、スクラッチ (入力)と加熱(消去)によるメモリ様の性質を示した(Fig. 1)。置換基 R を変えることによって、 消去温度と蛍光強度波長を制御した。2) Fig. 1. 1-Et の入力・消去挙動。左から 1-Et を塗布したガラス板に「P」入力(ス クラッチング) 、消去(加熱)、 「L」入力、消去。365 nm 下での画像。 2)発光変化を伴ったジナフチリジン誘導体の光反応 ジキノリン誘導体 2 は、高圧水銀 ランプによる光反応において、分子内環化反応しカルバゾール体 2C が定量的に生成することを既 に明らかとしている。一方、ジナフチリジン誘導体 3 は、分子内環化反応は進行せず、メチル基の 開裂反応が定量的に進行し、3E を与えた。メタノール中、亜鉛イオン存在下での 3 の光反応によ って、定量的に[Zn(3E-)2]錯体が生成し(Fig. 2)た。得られた亜鉛錯体[Zn(3E-)2]の蛍光強度は、光照 射前に比べ 10 倍以上増加した。 Scheme 1. 2 と 3 の光反応による生成物の違い Fig. 2. [Zn(3E-)2]のX線構造解析 <参考文献> 1)Harada, N.; Abe, Y.; Karasawa, S.; Koga, N. Org. Lett. 2012, 14, 6282. 2)Karasawa, S; Hagihara, R.; Koga N. et al. Cryst Growth Des. 2014, 14, 2468-2478 発表者紹介 氏名 萩原隆介 (はぎはら 機能分子合成化学分野 学年 修士課程 1 年 研究室 古賀研究室 りゅうすけ)
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