冠飾句と関係文 冠飾句が関係文と同じような働き(名詞の修飾)をしている点に関する補充です。 (1)冠飾句 Das in Fäulnis übergegangene Fleisch ist ungenießbar. 腐りだした肉は食べられない。 (2)関係文 Das Fleisch,das in Fäulnis übergegangen ist,ist ungenießbar. (同上) 一見すると,同じことを表わす表現形式が名詞の前にも後にも現れるわけで,なにかぜい たくのような,ムダのような感じがしませんか?しかしドイツ語においてこのように,名 詞を修飾する文的表現(動詞的要素を含む表現形式)が名詞の前にも後にも現れるのは, 言語の一般傾向からながめますと,けっして恣(し)意的なことではないのです。すなわ ち,どういうことかと言いますと,言語学の方で『「定形」の動詞が文末に置かれる言語 (たとえば日本語)では名詞を修飾する文的表現が名詞の前に現われ,「定形の動詞」が 第2位に置かれる言語(たとえば英語)では名詞を修飾する文的表現が名詞の後に現われ る』ということが確かめられております。この観点からながめますと,ドイツ語では,み なさんもよく知っているように,定形の動詞が第2位(主文の場合)にも,文末(副文の 場合)にも置かれるのですから,名詞の文的修飾句がドイツ語において名詞の前(=冠飾 句)にも,後(=関係文)にも現われるということはきわめて理にかなったことになるの です。上述した名詞の文的修飾句の位置と「定形」の位置との関係をわかりやすくするた めに図示してみると,次のようになります。 定形 文末 → 日本語 定形 第2位 → 英語 → 文的修飾句が名詞の 後 定形 文末 → 文的修飾句が名詞の 前(冠飾句) → ドイツ語 → 文的修飾句が名詞の 前 第2位 後(関係文) 1
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