鋳 造 光生アルミニューム工業株式会社 / 株式会社ソミック石川 ハイブリッドスクイズによるロアアーム開発 高品質低コストの両立が可能な強靭アルミ鋳物製造技術 ロアアームも自動車重要保安部品の一つで品質が厳 1.開発の目的 しく要求される。特にボールジョイント部分は、カシ 自動車サスペンションは車体を支え、車の走行性・ メ加工が必要でその際に発生する微小な割れでもアー 操縦性、更に乗員の乗り心地までに影響を及ぼす重要 ムの機能喪失に繋がりかねないためあってはならな 保安部品である。軽量化とパフォーマンス向上のため、 い。また、アーム全体的に強度と延性を備えた強靭さ 一部高級車にアルミ鍛造品が採用されているが、製造 が求められる。鋳造組織の微細化と鋳造欠陥や介在物 コストが高いため、普通車までに普及は進んでない。 の少ない総合効果で製品の要求仕様を達成した。 また、高圧鋳造(スクイズキャスティング)のアルミ 3.開発の成果 サスペンション部品の応用例もあるが、設備投資が大 きいため、この製法の適用は一部メーカーに限られて 開発されたアルミサスペンションロアアーム (写真 3、 いる。低コストと高品質を両立できる新製法の開発は アームの外観と一部断面を示す)は、ボールジョイン 期待されている。 トのカシメ加工、カシメ部抜き荷重等の強度試験及び 機能性耐久試験共に合格した。材料の回転曲げ疲労試 2.開発の内容 験結果を図 1 に示す。 (1)ハイブリッドスクイズ製法概要 ハイブリッドスクイズ(HS)製法とは、低圧鋳造の 給湯方式と高圧鋳造の溶湯加圧方式を合わせた仕組み カシメ部拡大 で、当社と宇部興産機械㈱が共同開発した新しい鋳造 技術である。キャビティへの給湯工程と加圧凝固成形 工程を分けて行うため、溶湯への圧力は従来スクイズ の 1/3 ∼ 1/4 程度まで低く抑えられた。その結果、鋳 素材(加工前) 写真 3 サスペンション用ロアアーム開発品外観 250 ハイブリッドスクイズ鋳造機の外観を示す)。溶湯加圧 と急冷効果により鋳造組織の微細化を実現した(写真 2 は GDC 組織との比較を示す)。更に、独自のショッ ト毎給湯法と湯面カスのダブル除去法により、溶湯の 清浄度を常に高いレベルに維持でき、鋳巣・介在物の 少ない健全・緻密な高品質鋳物の生産は可能になった。 ホイール試作品の機械性質に関して AC4CH 材 T6 処理 応力振幅 σa (MPa) 造設備と金型のコンパクト化が実現し、従来スクイズ に比べ設備投資は大幅に削減が可能になった(写真 1 組付け後 材 質 :アルミ合金 AC4CH 試 験 温 度:RT 試験片形状 :平滑試験片 繰返し速度 :3600rpm 200 150 疲労限(平滑):105MPa 100 50 0 1.E+04 未破断を示す 1.E+05 1.E+06 1.E+07 1.E+08 破断繰返し数 N f (cycles) 図 1 ロアアーム切出し材回転曲げ疲労曲線 の場合は、引張強度≧ 300MPa、伸 4.特記事項 び≧ 10%の当初開発目標を達成した。 1 )ハイブリッドスクイズ製法特許: ①特許第 4054051 号 ②特許第 5084789 号 2 )当該開発は、経産省平成 16、17 年度地域新規産 業創造技術開発費補助事業を経て社内開発で進化 100μm GDC:DASⅡ:35.5μm させ、実施したものである。 100μm HS:DASⅡ:19μm DASⅡ:Dendrite Arm Spacing 写真 2 GDC と HS 製法鋳造組織 DASⅡ比較 写真 1 ハイブリッド スクイズ鋳造機外観 (2)サスペンション・ロアアームの開発 足回りのナックルやキャリヤに対してはアルミ化で 重力鋳造製法での実績はあるが、アーム類についてのア ルミ化は鍛造製法による実績になっている。今回伸びを 向上させるため、新製法によるロアアームを開発した。 光生アルミニューム工業 株式会社 〒 471 - 0804 愛知県豊田市神池町 2 - 1236 TEL. 0565 - 80 - 5885 FAX. 0565 - 80 - 4100 http://www.koseijp.co.jp/ 株式会社ソミック石川 〒 435 - 8560 静岡県浜松市南区古川町 500 TEL. 053 - 425 - 2132 FAX. 053 - 425 - 2179 http://www.somic.co.jp/ わ が 社 の 素 形 材 技 術 最 前 線 鋳造-光生アルミ① 131217.indd 1 Vol.55(2014)No.1 SOKEIZAI 11 2014/01/09 15:25:02
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