11 - 素形材センター

鋳 造
光生アルミニューム工業株式会社 / 株式会社ソミック石川
ハイブリッドスクイズによるロアアーム開発
高品質低コストの両立が可能な強靭アルミ鋳物製造技術
ロアアームも自動車重要保安部品の一つで品質が厳
1.開発の目的
しく要求される。特にボールジョイント部分は、カシ
自動車サスペンションは車体を支え、車の走行性・
メ加工が必要でその際に発生する微小な割れでもアー
操縦性、更に乗員の乗り心地までに影響を及ぼす重要
ムの機能喪失に繋がりかねないためあってはならな
保安部品である。軽量化とパフォーマンス向上のため、
い。また、アーム全体的に強度と延性を備えた強靭さ
一部高級車にアルミ鍛造品が採用されているが、製造
が求められる。鋳造組織の微細化と鋳造欠陥や介在物
コストが高いため、普通車までに普及は進んでない。
の少ない総合効果で製品の要求仕様を達成した。
また、高圧鋳造(スクイズキャスティング)のアルミ
3.開発の成果
サスペンション部品の応用例もあるが、設備投資が大
きいため、この製法の適用は一部メーカーに限られて
開発されたアルミサスペンションロアアーム
(写真 3、
いる。低コストと高品質を両立できる新製法の開発は
アームの外観と一部断面を示す)は、ボールジョイン
期待されている。
トのカシメ加工、カシメ部抜き荷重等の強度試験及び
機能性耐久試験共に合格した。材料の回転曲げ疲労試
2.開発の内容
験結果を図 1 に示す。
(1)ハイブリッドスクイズ製法概要
ハイブリッドスクイズ(HS)製法とは、低圧鋳造の
給湯方式と高圧鋳造の溶湯加圧方式を合わせた仕組み
カシメ部拡大
で、当社と宇部興産機械㈱が共同開発した新しい鋳造
技術である。キャビティへの給湯工程と加圧凝固成形
工程を分けて行うため、溶湯への圧力は従来スクイズ
の 1/3 ∼ 1/4 程度まで低く抑えられた。その結果、鋳
素材(加工前)
写真 3 サスペンション用ロアアーム開発品外観
250
ハイブリッドスクイズ鋳造機の外観を示す)。溶湯加圧
と急冷効果により鋳造組織の微細化を実現した(写真
2 は GDC 組織との比較を示す)。更に、独自のショッ
ト毎給湯法と湯面カスのダブル除去法により、溶湯の
清浄度を常に高いレベルに維持でき、鋳巣・介在物の
少ない健全・緻密な高品質鋳物の生産は可能になった。
ホイール試作品の機械性質に関して AC4CH 材 T6 処理
応力振幅 σa (MPa)
造設備と金型のコンパクト化が実現し、従来スクイズ
に比べ設備投資は大幅に削減が可能になった(写真 1
組付け後
材 質 :アルミ合金
AC4CH
試 験 温 度:RT
試験片形状 :平滑試験片
繰返し速度 :3600rpm
200
150
疲労限(平滑):105MPa
100
50
0
1.E+04
未破断を示す
1.E+05
1.E+06
1.E+07
1.E+08
破断繰返し数 N f (cycles)
図 1 ロアアーム切出し材回転曲げ疲労曲線
の場合は、引張強度≧ 300MPa、伸
4.特記事項
び≧ 10%の当初開発目標を達成した。
1 )ハイブリッドスクイズ製法特許:
①特許第 4054051 号 ②特許第 5084789 号
2 )当該開発は、経産省平成 16、17 年度地域新規産
業創造技術開発費補助事業を経て社内開発で進化
100μm
GDC:DASⅡ:35.5μm
させ、実施したものである。
100μm
HS:DASⅡ:19μm
DASⅡ:Dendrite Arm Spacing
写真 2 GDC と HS 製法鋳造組織 DASⅡ比較 写真 1 ハイブリッド
スクイズ鋳造機外観
(2)サスペンション・ロアアームの開発
足回りのナックルやキャリヤに対してはアルミ化で
重力鋳造製法での実績はあるが、アーム類についてのア
ルミ化は鍛造製法による実績になっている。今回伸びを
向上させるため、新製法によるロアアームを開発した。
光生アルミニューム工業 株式会社
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株式会社ソミック石川
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わ が 社 の 素 形 材 技 術 最 前 線
鋳造-光生アルミ① 131217.indd
1
Vol.55(2014)No.1
SOKEIZAI
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2014/01/09
15:25:02