第四章 瞑想修行に用いられる象徴の意味 瞑想修行に用いられる象徴の

第四章 瞑想修行に用いられる象徴の意味
瞑想修行には、さまざまな象徴が用いられる。その象徴の意味をよく理解しておくこと
は、その修行効果を高めることになる。
たとえば、仏陀という言葉が「目覚めた人」という意味を持つことは、仏教の教えのエ
ッセンスを端的に示した象徴だということもできる。すなわち、この現実の世界が、夢と
似た性質を持つことに気づき目覚めることが、仏教の教えの中核にあるという意味で、目
覚めた人の教え=仏教と呼んでいるのである。
1 仏像・仏画
また、仏陀に関連して、日本で仏陀・仏様というと、仏像を意味することがある。しか
し、この仏像や仏画自体は、決して仏陀ではなく、物理的には、木製か金属製の物質であ
る。
しかし、仏像や仏画は、その視覚的な効果によって、それを見た人の中の神聖な意識(仏
性)を引き出す効果がある。その意味で、仏像・仏画は、仏陀の象徴、特に、人の中の仏
性の象徴なのである。
ひかりの輪の代表的な仏陀・仏性の象徴物の中には、非常に著名な仏像である京都広隆
寺の弥勒菩薩半跏思惟像などがある。
2 手印が象徴するもの:感謝・決意・瞑想、そして輪と和の法則
瞑想修行の際に、手に結ぶ「手印」がある。手印は原語サンスクリット語で、Hasta-Mudra
いん
いんそう
いんげい
と言う。この Mudra=ムドラーとは、印、印相、印契などと訳されて、仏や菩薩の悟りの
しるし
内容や働きを象徴的に表現する 印 を意味する。そして、手印とは、いろいろな印の中で、
手指の組み合わせによって示したものである。
ひかりの輪の儀式では、合掌・金剛印・定印などの手印を用いることが多い。合掌は、
感謝・尊敬・祈願を象徴し、金剛印は、堅固な心・決心・帰依心を象徴し、定印は、禅定・
深い瞑想を象徴する。そして、単に象徴するだけでなく、象徴する心の状態に誘導する精
神的な効果があると考えている。
また、ひかりの輪が用いる手印は、右手と左手を組み合わせている。これによって、両
腕で輪が形成されるので、これは輪の思想・輪の法則の象徴である。
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さらに、後に詳しく述べるが、右手は男性原理・陽の気を表し、左手は女性原理・陰の
気を表し、右手と左手を組み合わせ、体の中心線上に置くことで、その両者の統合・調和・
バランスを重視する思想を象徴している。こうして、手印は、輪と和の象徴になっている。
3 法具とその聖音の象徴:輪と覚醒と無限の広がりの心
法具とその聖音の象徴:輪と覚醒と無限の広がりの心
まず、ひかりの輪が用いる、ほとんどの仏教法具は、輪の形を含んでいる。金剛杵(ヴ
ァジュラ)
、金剛鈴(ガンター)
、ティンシャー、ドニパトロ、法輪(ダルマチャクラ)
、神
柱法輪、数珠、如意宝珠など、すべては、輪・円形・球形である。
そして、それぞれの法具の象徴するところについては、ティンシャー・ガンター・ドニ
パトロなどの聖音を奏でる法具については先ほど多少説明したが、より詳しくは、ひかり
の輪の公式HPの「仏教の法具と瞑想」のコーナーを参照されたい。
4 「ひかりの輪」が象徴するもの
ひかりの輪という団体名は、聖地で体験した太陽の周りの虹の光の輪に由来している。
ひかりの輪のメンバーが、さまざまな聖地・自然において、不思議と空に太陽の周りの虹
の光の輪を見ることが多くあった。その中には、非常に重要な輪の思想に関する気づきが
あった直後に現れたものもあった。
「輪」という言葉は、輪のように万物が一体で平等という世界観を示しており、聖徳太
子の「十七条憲法」でも、輪をたとえとして、
「万人を平等に尊重すべき」と説かれている。
また、この「輪」は、太子が説いた日本精神の根本である「和」にも通じる。万人・万物
を平等に尊重する「輪」の思想から、万人・万物の「調和」を重視する思想が出てくるか
らだ。
また、心理学者カール・ユングの研究では、輪は、世界の諸宗教や文化に共通する「神
聖なシンボル」ともいわれる。仏教の法輪、大乗仏教の曼荼羅、禅宗の円相、仏陀やキリ
ストの輪状の後光、道教の円形の太極図、古代遺跡のストーンサークルなどがある。
「ひかり」とは、物理的な光に限らず、智恵の光、精神的な光を意味する。光がなけれ
ば、物を見ることができないように、幸福になるために必要なのが、智恵の光である。仏
教でも、物事を正しく理解できず、不幸になることを無明・無智といい、これを越えるも
のが、仏陀・菩薩の智恵(智慧)の光とされる。
こうして、
「ひかりの輪」とは、万人万物が平等一体という「輪」の「智恵の光」と、そ
れに基づいた、万人・万物への尊重や愛を示している。
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5 「太陽の周りの虹の光の輪」
:宇宙の実相と万物への愛
また、太陽の周りの虹の光の輪が象徴する意味を、より詳しく説明するならば、それは、
宇宙の過去から現在までを象徴し、それゆえに、輪の思想・輪の法則のすべてを象徴して
いる。
まず、中心にある太陽は、宇宙の根源・始まり=ビッグバンの象徴である。ビッグバン
も太陽も、水素とヘリウムを中心した火の固まりである。また、仏教が説く宇宙の根元仏
も、大日如来であり、宇宙万物は大日如来の現れとされるが、この仏は、文字通り太陽神
の仏である。
また、周辺の虹の光の輪は、現在の宇宙である。仏教でも曼荼羅や円相の思想が説くよ
うに、輪・円は、宇宙・真理・悟りの象徴である。そして、無数の色が連続してつながっ
て現れた虹は、この宇宙が無限の多様性を持ちながら統合されている様相の象徴である。
さらに、虹は、光と水によって現れる現象だが、これは、陰と陽・男性原理と女性原理
の二極の結合・バランスを示し、それによるさまざまな生命の誕生や成長を象徴している。
この二極の結合については後に述べる。
こうして、太陽の周りの虹の光の輪は、宇宙の始まりから現在までの実相を象徴し、言
い換えれば、宇宙が、無数の生命体を含めて無限に多様でありながら、その万物は同根で
あり一体であることを象徴している。この宇宙の実相を理解すれば、万人・万物を受容し
て育む愛、宇宙の母の愛を育むきっかけとなる。
最後に、太陽の周りの虹の光の輪は、太陽とその形から、人々を育む上で重要なポイン
トとなる「時」や「時の輪」といったものも象徴する。古来、人は、天空の太陽の循環に
より、時を知ったからである。
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