前にも書きましたが

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『3.トスについて』
今までは、レシーブ体形を説明しました。
前にも書きましたが、スパイクを決める場所とレシーブの位置は非常に大きな関係があるわけです。
相手が打ってくるコースにレシーバーがいる。これが基本で、大前提になるものです。
だから、スパイクは人がいない所に打つ事を要求されるわけです。
トスがネットから離れたり、相手コートに入ってしまったりしていては、アタッカーが十分な力を発揮することが
非常に難しいものになってしまいます。打つコースも単調になってしまいます。
いいスパイクを打たせる。そのためには、いいトスを上げることが、重要になってきます。
いいアタッカーを育てるには、スパイク練習の時に いいトスで打たせないと アタッカーの技術が上達しません。
特に、未経験者の場合は、いいトスだけで打たせてあげてください。
【1.トスの種類】
スパイクを決めるためには、トスが必要です。一言にトスと言っても、高さ、長さで多種多様に分類されます。
そこで、基本的なトスとその一般的な名称について説明します。
⑩
⑥
⑪
⑤
⑧
⑨
⑦
②
①
③
④
図-27 基本的なトスの種類
一見花火のような上図は、一般的なトスの種類を表しています。
概ね①~⑪までの11種類あります。
これを上から見ると、左図の実線のようにトスと長さ、高さに関係なく
同じ軌跡上に上げることが基本となります。
セッターにきれいにレシーブが帰らない場合ば、二重破線のように
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対角線のポールを目掛けてあげる事になります。
尚、新ルール等でスパイカーが片方にしかいない場合は、そちらに
上げるしかないですが。
図-28
図-27の個々のトスについて説明します。
大きく分類して①~④はクイック系。⑤~⑨はセミ系。⑪と⑫はオープン。に分類されます。
『クイック系』
①=Aクイック
セッターからレスト側50cm~1mの距離で打ちます。
アタッカーは、セッターの手に羽根が入るタイミングでジャンプします。
②=Bクイック
セッターからレスト側2.5m~3mの距離で打ちます。
アッタカーは、セッターの手に羽根が入るタイミングでジャンプします。
③=Cクイック
セッターからライト側50cm~1mの距離で打ちます。
アタッカーは、セッターの手に羽根が入るタイミングでジャンプします。
④=Dクイック
セッターからライト側2.5m~3mの距離で打ちます。
アタッカーは、セッターの手に羽根が入るタイミングでジャンプします。
クイック系のトスの高さは、ネット上30cm~50cmですが、スパイカーのジャンプ力に合わせて、高さを変える
ことが必要です。
『セミ系』
⑤=Aセミ
セッターからレフト側1m~1.5mの距離で打ちます。
⑥=Bセミ(B裏)
セッターからレフト側3.5m位の距離で打ちます。
⑦=レフト平行
レフトポールから50cm~1m内側(コート内)で打ちます。
⑧=Cセミ
セッターに対しライト側1m~1.5mの距離で打ちます。
⑨=ライト平行
ライトポールから50cm~1m内側(コート内)で打ちます。
セミ系のトスの高さは、ネット上1.5m~2.0m位です。トスの高さは、チーム毎に決めることになります。
ただし、毎回上げるトスは、同じ高さで同じ距離にする事が必要となります。
以上、⑦と⑨以外は、セッター基準の位置となります。したがって、セッターが移動しても、セッターからの距離を
絶えず守ることが基本となります。
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『オープン系』
⑩=レフトオープン
平行と同様、レフトポールから50cm~1m内側(コート内)で打ちます。
⑪=ライトオープン
平行と同様、ライトポールから50cm~1m内側(コート内)で打ちます。
平行トスとの違いは高さです。オープンはネット上2m以上の高いトスとなります。
【2.なぜ何種類ものトスが存在するのか】
インディアカでこれだけの種類のトスが本当に必要なんでしょうか?
私個人的には、ここまでの種類は必要ないと思います。
オープントスだけもいいのですが、欲を言えば、平行トスと、Aセミ位があれば十分だと思います。
更に、試合でカッコよく見せるには、Aクイック程度あれば十分だと思います。
ここまで トスの種類を上げ分ける必要はいらないと思います。
しかし、アタッカーにとって、トスは絶えず一定の高さ、長さ、ネットからの距離でなければ打つことが出来ません。
良く アタッカーに合わせたトスを上げるっていいますが、それは、アタッカーが好きな高さを指しているだけで
アタッカーに合わせたトスを上げている訳ではありません。
また、アタッカーは トスを見てから 助走してジャンプする訳ではありません。
トスの軌跡を想像し、自分のジャンプした高さの位置に羽根が来る時間を把握して そのタイミングに合うように
助走を開始しジャンプする訳です。
そのため、アタッカーが想像したトスの軌道と実際のトスの軌道が違うと、タイミングが合わず、無理な体勢や
思い切ったジャンプが出来ずに 無理してスパイクを打つことになります。
そのため、低いトスでバラツクとタイミングが全く合わない事になります。
多くの素晴しいアタッカーは、多少のバラツキを吸収するために、調整がしやすい高いトスを求める訳です。
いつもバラツくトスを上げていて たまに上がった 見た目にいいトスは 実は アタッカーにとっては めっちゃ
悪いトスだということを覚えていてください。
ネットから離れようが、短かろうが、絶えず同じ高さ、長さのトスの方が アタッカーにとってはいいトスです。
運動能力の高いアタッカーの場合、どんなトスでも打ってくれますが、それに甘えることなく セッターが一定の
トスを上げてください。
さて、話を戻しますが、トスの種類が多い理由ですが、アタッカーにとって好きなトスは一人一人違います。
Aさんは、こう Bさんはこう って 人で判断していると、セッターによってトスも違ってきます。
それを 防ぐために トスの種類で判断するようにするわけです。
Aさんは、オープンだとか、Bさんは平行だとか。
それに、セッターにもトスのイメージを覚えさせるためです。
アタッカーから センター って 言われて 上げたトスが レフトへのオープントスになってしまった経験を
多くの方がお持ちだと思います。
トスの種類、これを上げる練習をすることで、トスの変化 メリハリをつける事が出来ます。
トスの種類、トスの高さ 長さ等は、個人で決めるものではありません。
チームのアタッカー セッターみんなで決めてくださいね。
トスは、 誰が上げても 同じ高さ、同じ長さになるのが理想です。
それに、これを覚えると どこのチームで上げても そこのアタッカーの希望するトスが簡単に上げられます。
セッターとしての トス技術向上には 上げ分ける技術を覚えることも 大変重要なことです。
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【3.セッターの立ち位置】
では、いいトスを上げるために、セッターは何処にいればいいのでしょうか?
図-30
基本的には、コート中央のネット際になります。
ここに立つのが基本です。
では、なぜここが基本となるのでしょうか?
それについて説明します。
図-29
『理由 その1:固定位置』
レシーブが正確になる。
セッターの位置を固定すると、レシーブ位置からセッターへ返す方向、距離が一定になります。
よく、セッターがレフトの場合はレフトポール際、ライトの場合はライトポール際にいるケースを見掛けますが、
その場合、レシーバーは、セッターの位置に合わせて、レシーブ方向、距離を変えることになります。
図-31 セッター位置が複数
図-32 セッター位置が固定
上の図-31がセッター位置が複数の例で、図-32が固定の場合です。
見てわかるように、セッターの位置に合わせてレシーバーが返球する事になります。
返球する場所が増えるたび、難しさがどんどん高くなります。
とういう事は、1ヵ所に返す練習を1とすると、返す場所が2ヶ所になれば、練習量が2分の1になります。
同じ量だけ練習しようとすると、倍以上の練習量が必要になります。
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経験が多い方が安定したプレーに繋がるという事です。
人間は、咄嗟の時には、日頃数多くこなしている行動が出てくる事になります。
相手からのスパイクや、フェイントをレシーブする際、自分に余裕がない時でも(特にラリー中)如何に正確に
セッターへ返球するかが大切になります。
その時に、セッターの位置を固定しておけば、一々セッターの位置を確認しなくても、同じ所に返すだけで、いい
レシーブになります。
レシーブする時に 色々考えて 周囲を見て それで返球する場所を決めて・・・ なんてことを レシーブの都度
考えてプレーなんかなかなか出来ません。
セッターが転んだりしているときは、そんな事も考えないと良いプレーになりませんが、通常は何も考える事無く
練習通りに プレーすれば 良いプレーになるようにする事が重要です。
『理由 その2:ネット際』
ネットに近いレシーブの処理が簡単にできる。
ネットに近い羽根をトスに結びつけやすくなります。
よく、ネット際にきた羽根を、ネットに向かって、しゃがんで下で待っているセッターや、ジャンプしたのに届かず、
ネットに羽根があたってしまうところを見かけます。
これは、ネットからセッターが離れて立っているためです。
左図では、ネット際にセッターがいます。
ネットの上端付近に羽根が返ってきても、
ネット手前で手が届く範囲で処理できます。
短い場合は、右側に移動する事により
オーバーでもアンダーでもトスを上げる
事ができます。
図-33
左図ではネットから離れてセッターがいます。
ネットの上端付近に羽根が返ってくる場合は
この時点では届きません。
また、左側に移動する場合、ネットが障害と
なり、上手くトスを上げることができません。
これが、ネット際に羽根を落とすミスをする
ケースです。
図-34
ネットから離れていると、ネット際への返球は必ずといっていいほどミスになります。
最初にも書きましたが、ミスをしない、ミスにならない確率が高いプレーをすることが基本なので、ミスを出す
ポジションにいる事自体間違いなのです。セッターは、ネット際からコートエンドへ動く。これが基本です。
ネットから離れてあげるトスは、練習で上手くなります。そういう練習も必要です。がんばりましょう。
『理由 その3:攻撃の幅を広げる』
ルールが変更になって、混成でも男子の2人攻撃が可能になりました。
男子2名をフルに活用しない程勿体無い事はありません。
その為には、やはりセッターはクイックやバックトスも使える位置にいるのがベストです。
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【4.サーブカットの返球】
いいスパイクを打つためには、いいトスが必要で、いいトスを上げるのは いいレシーブが必要になります。
悪いトスをスパイク技術でカバーすることは不可能ではありませんが、これでは個人の能力の差で良し悪しが
決まることになってしまいます。
同じように、悪いカットから いいトスを上げるのも同じことが言えます。
でも、いいカット、いいトスであればもっといい結果が出せるし、個人の能力の差の影響も小さくなってきます。
いいトスを上げさすために、いいレシーブをすることは 基本中の基本なのです。
『レシーブの軌跡』
レシーブからの返球は、何処に、どんな形で行うのがいいのでしょうか?
いい返球とは、セッターの位置にピタリと返すのが最高の返球となります。
では、どんな高さ、速さでもいいのでしょうか。
左図の A・B・C のうち、一番いい形の
返球はどれでしょう。
Aは、高くてセッターの頭から落ちてくるカット
Bは、放物線に近いカット
Cは、床と平行に近いカット
C
A
答えは、Aです。
一番いけないのが、Cになります。
B
Bのカットでもいいのですが、セッターに
とっては頭の上から落ちてくるカットの方が
図-35
色んな方向に上げ分け易いです。
レシーブする側にとっては、セッターの位置に返すのは、Cが一番楽なのですが、それではセッターがトスを
上げることができません。 時間的にも余裕がある高さが一番良いカットです。
このレシーブをするコツは、羽根を上に上げるのではなく、斜め45°上方へ押し出すようにレシーブします。
慣れるまでは違和感がありますが、慣れてしまえば、レシーブの確実性はグッと上がります。
サーブカットはレシーブのなかでも、絶対にミスをしてはいけないプレーの一つです。単純なプレーですが、
単純であるが故、繰り返し練習することで、ミスの発生を防ぐ必要があるわけです。
【5.セッターのブロックフォロー位置】
トスを上げた後は アタッカーがスパイクを打ちますが、この時 セッターは必ず フォローに入ります。
どこにトスを上げるか、どんなトスはセッターが一番早くわかります。
だって、自分がどこにどんなトスを上げるか決めるわけですから。
セッターのブロックフォローですが、ブロックされたのをフォローするのも当然ですが、それに加えて
アタッカーがネットにかけたものをフォローするのも セッターの役割です。
セッターが一番初めに動くことで、周りのフォローも動きやすくなります。
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セッターは、トスを上げたら、直ぐにアッタカーの近くに
移動します。
セッターは、ネットから少し離れたところで ネット近くに
落ちてくるブロックされた羽根と、ネットにかけた羽根を
フォローします。
この時、姿勢を低くして なるべく 床に近いところで
待つことが重要です。
それと、ネットに近い短いトスを上げた場合、アッタカーが
突っ込んでスパイクを打ちます。
当然、アッタカーは助走の勢いで、そのまま前に突っ込んで
きます。
その時、セッターがネット際にいると、ぶつかってしまいます。
ケガ防止のためにも、ネットに近い短いトスを上げた場合は
ネットから離れて、アタッカーの逃げ道を作ってください。
少なくてもネットから50センチ以上離れることを心掛けてください。