CT・LCI における画像再構成の原理

札幌市放射線技師会 イブニングレクチャ(3 週目)
講演2
CT・LCI における画像再構成の原理
東芝メディカルシステムズ株式会社 CT 営業部 営業技術担当
兼 CT 開発部 臨床応用開発担当
津島 総
1.はじめに
CT 画像は収集した投影データから画像再構成を行うことで作成される。画像再構成法の
種類は様々あるが、
解析的再構成法と代数的再構成法の大きく 2 種に分類される。
CT では、
解析的再構成法の FBP(フィルタ逆投影法)及び Feldkamp が主に利用されているが、近
年、代数的再構成法(逐次近似法)を利用または応用した再構成法が開発されている。逐
次近似法による再構成は初期の CT 装置で使用されていたように、それ自体が新しい技術で
はないが、様々なノイズ低減技術を取り入れることで大幅な画質改善を可能とする。
本日は CT 及び LCI(Low Contrast Imaging)の主な再構成法である FBP と、近年改め
て着目されている逐次近似法の違いについて述べる。また、東芝の逐次近似応用再構成法
AIDR 3D についても実臨床データを用いながら紹介する。
2.AIDR 3D について
AIDR 3D は収集された投影データ上で複数種のモデルを用い、大幅な画質改善を図る新
再構成法である。検出したカウント値に対して、スキャナーモデルと統計学的ノイズモデ
ルを利用することで、効果的なノイズ及びアーチファクト低減を行うことができる。また、
アナトミカルモデルを用いたノイズ成分の繰り返し除去処理を合わせることで更なる画質
改善を実現した。これにより最大 50%のノイズ低減と 75%の被ばく低減効果が得られる。
AIDR 3D はスキャンプランに組み込むことができ、AEC(Auto Exposure Control)と
の連動や心電同期、呼吸同期との併用も可能である。更に、外付けユニットやハードウェ
アの追加を必要とせず、通常検査にストレスを与えない再構成時間で画像を作成できる。
3.おわりに
現在 AIDR 3D は国内で 20 以上の施設で使用されている。東芝は AIDR 3D の更なる普
及と改良を進め、全ての患者に対する CT 検査の被ばく低減に貢献したい。
AIDR 3D の flow と再構成画像(120kV/ 3.5mAs)
(左:従来再構成 右:AIDR 3D)
データ提供:慶應義塾大学病院様